キーマンインタビュー
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柯尼卡美能達軟件開発(大連)有限公司(コニカミノルタ)
董事 総経理 太田 健氏
類稀なる評価専門技術と
確立した現場の力を掲げ
切り拓く新事業へ向けて
メーカーでも稀な評価専門独立拠点
コニカミノルタは、オフィス用複合機(MFP)を筆頭に、商業用印刷機、マンモグラフィー等の医療機器、測色計センサー、市場をほぼ占めるブルーレイ・ディスクのピックアップレンズといった光学系技術製品、そして有機EL平面照明、液晶バックパネルシートなどフィルム系技術製品を手がけます。
ここ大連は、グループ全体利益の約8割を占める複合機のうち95%のシステム及びソフトウェアの最終評価(テスト)を行う専門拠点です。開発をサポートし、また開発の最終工程として機能や品質のチェックを行い、実際の使用に問題ない品質かを確認する最終ゲートウェイとなっており、コニカミノルタの特徴的な部門といえます。
最近の複合機は、通常では使うことのない高度なものを含め幾多の機能を有し、それに伴う膨大なテスト項目があります。ソフトウェアなど自動評価で進める部分もありますが、ボタンの過剰連打や誤操作など、人為的な部分のイリーガルなものにおいては、実際に人が動作確認せねばなりません。現在スタッフ360名体制で業務に当たっています。日本から直接依頼を受けるゆえ、最も求められるのは日本語力。各人が日本側とコンタクトをとり、ネット会議にも参加。テスト業務はソフトウェアの開発ほど専門知識を必要としませんが、一方でソフトウェアを直接操作するテストもありますので、約半数がソフトウェア知識を有する技術人材となっています。
5S徹底で生まれた体制強化への道
評価専門拠点として設立し、当初はテクニカルな部分は日本、単純なチェック作業は大連と、半々の割合を想定していました。しかし日本と比較しての低コストに加え、優秀な人材が予想以上に多かったことで、事業拡大のため年間150人ペースで増員した時期も。結果、急激な拡大はレベルの低下を否めず、日本からの評価も下がることに。
そんな体制を立て直すべく、トップダウン的な指導を行っていた時期もありました。しかし、ここは敢えて現場の力に任せ、スタッフ自身で考えさせ、行動してもらうよう方針転換を行い、中でも5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の徹底に重きを置きました。といいますのも赴任当初、フロアにはテスト複合機が乱雑に置かれ、人がその合間を縫って通る。一人もしくは複数人で1つ使用できるキャビネットを一人で複数持っているなど、整理整頓や管理ができていませんでした。そんな状態を改善すべく、現地のリーダークラスに対しひとつひとつ指摘し、ルール化させ指導していきました。キャビネットは一グループ1つ、机の配置が曲がっていたら、床にラインを引き、きちんと揃える……。一年ほど費やし、皆の意識が大幅に改善され、フロアは見違えるほど整然とした空間へ生まれ変わりました。
しかし、整理整頓することで業務効率を上げ、気持ちよく仕事することが狙いであったにも関わらず、整理整頓そのものが目的となってしまい、できていないときは減点対象になるなど、度を過ぎたルールを生み出すことに。物事に愚直に取り組み、突き進むのもひとつの中国のパワーなのだと感じると同時に、規則規則でがんじがらめにせず、習慣化することが大切だと改めて示し、今は増えすぎたルールを消していくようにとリーダーに指導するところです(笑)。
これらの経験を経て、自身で考え物事を改善する体制も確立し、今や人事制度も彼ら自身で手がける程に成長しました。
評価事業を活かし、一丸となって
立ち上げ→超スピード拡大→質の大転換と進めてきたこの10年。現在体制も落ち着きつつある中で、元来やろうとしていたソフトウェア開発を、さらには複合機だけではなく、グループプロダクツである医療機器ほか新技術のシステムソフト評価へも範囲を拡げたいと考えています。
ソフトウェア開発は後発となりますが、評価技術に長けている強みを大いに活かし、開発部分と相互作用することで、新しい立場から意見を掲げ、他会社と連携していけたらと気合いが入ります。スタッフにも機会を設けて異業種交流を行うように示したところ、自分達の仕事を外部に知ってもらうことを課題とし、積極的に場を設け頑張っているようです。
いまだ日中関係は理想的とはいえない状況ですが、組織の仲間として同じ目的に向かい、共に楽しく進むことがあるべき姿だと思います。私自身、今まさに皆と楽しく仕事をすることができ、さらなる社の発展に向け一丸となり、理想的な関係を続けて行きたいと思っています。
春節前恒例「紅包」を渡したときのショット。一年の感謝と労いの気持ちを込め、スタッフ一人一人に手渡します。わずか23名での創業から、現在1万1千㎡のオフィスに360名のスタッフが日々懸命に業務に臨みます。
PROFILE
おおた けん
1969年東京都生まれ、茨城県・水戸育ち。1992年京都大学理学部卒業後、ミノルタカメラ株式会社(現:コニカミノルタ株式会社)入社。技術者として画像処理テクニカル部門に携わる。米国・シリコンバレーに技術開発、プロジェクトマネージャー、GMとして計13年駐在。2013年9月より現職。趣味は海外旅行(田舎町のバー巡り)、読書(純文学、ファンタジー小説、ビジネス書)、クラシック音楽鑑賞。
<太田さんを知るキーワード>
中世、魔法…… ファンタジー好き
中世や魔法といったファンタジーな要素が元から好きでしたが、読んでみようかなという軽い気持ちから手を出した「ハリー・ポッター」にすっかり夢中に。原書で全シリーズ読破!
日本酒、ワイン…… お酒好き
とにかく酒好きで(笑)、特に日本酒とワイン! ワインはアメリカ産がメインでしたが、遅ればせながら漫画「神の雫」を読み始め、フランスなどのワインも目下勉強中です。
ドイツ・モーゼル川の葡萄畑にて
外国の田舎町のバーで、現地のお酒を飲み、現地の言葉で現地の人々と交流する一人旅が好き。昔はドイツやスペインの田舎町を転々としていたことも。(写真は27歳の頃)
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