キーマンインタビュー
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全日本空輸株式会社 大連・瀋陽支店
支店長 松山 真人氏
節目の年に改めて心に刻む
さらなる現地化を目指し
強固な組織をプロデュース
B787が成田線にて運航スタート
ANA大連支店は1987年4月16日、ANA初の中国路線となる成田ー大連ー北京線就航をきっかけに同年に開設。現在は成田、関西の旅客便がデイリーで、貨物便は週6便運航しています。
昨年の冬ダイヤ(10月30日~3月25日)より成田線においてボーイング787型機の運航を開始。カーボン繊維素材で機体が軽いために非常に燃費がよく、採算等の問題でこれまでは就航が難しかった都市にも路線を拡げることができるようになりました。大連ー成田線においてはさらにお客様が見込めることで、運航スタートに至りました。以前のボーイング767型機は座席数202に対し787は240と増加。ビジネスクラスの座席数も増えましたが、エコノミークラスでも足元が広くなる等居住性が大きく改善されています。さらに気圧や機内湿度の調整、エンターテインメントの充実など快適なものになっています。
世界第二位の航空大国で
中国は年間旅客数約4・4億人(15年実績)という世界第二位の航空大国。北京や広州、大連ほか新空港の建設等航空インフラへの積極的な投資がされており、海外への旅行需要の拡大と相まって中国は非常に魅力的なマーケットです。
そのためANAの国際線ネットワークにおいても中国線はアジア・オセアニア線の4割弱に次いで全体の3割強を占め、中国大陸、香港、台湾を含め13都市15空港に就航しています。JNTOの統計によりますと日中間の流動は13年では訪中日本人数288万に対し、訪日中国人数131万と訪中人数の方が多かったのですが、14年はほぼ同じとなり、15年には訪中日本人数250万に対し訪日中国人数が499万と倍近くに逆転。昨年は11月末までで訪日中国人数約595万という実績から、17年は700万を越えると見込まれています。安価なクルーズ船での訪日旅行ブームもあり、すべての方が飛行機で日本へ来られるわけではないのですが、今後も中国在住のお客様に対してのさらなるアプローチは、中国全拠点において強化すべきポイントです。
さらに仕掛ける現地化
広州支店に総務・営業マネジャーとして赴任した07年頃は支店・空港スタッフ総勢約60名中日本人は12名。その後現地化が推進され、現在大連では支店・空港合わせて総勢約50名中日本人は私と空港所長、整備マネジャー、整備の研修員の4名のみ。駐在員は3~4年で交代となり、得意不得意含め仕事のやり方が変わってきてしまうことが多く、新しく着任した人は生活環境を含め一から現地の勉強をすることから半年近くは手探りの状態。そんな手戻りをなくし、長期間にわたってぶれることなく事業を進めていくために優秀なナショナルスタッフ(現地社員)を登用することで、セールスのみならず空港でも税関や検疫といったさまざまな部門との良い関係を築き、強い組織を作ることができると考えています。大連では設立の翌年から在籍するスタッフをはじめ、比較的長く働いてもらっている方が多いことから総務、旅客営業、貨物営業、貨物運送の各セクションにおいてマネジャーとして活躍してもらっています。
さらに現地化を進めるべく副支店長や空港の副所長への登用だけでなく、ナショナルスタッフをトップに置き、その下に日本人駐在員という形も今後出てくることになると思います。もちろんそのためには次の世代を担う人材の育成は重要な課題です。中国のマネジメントスタイルはトップダウン。「指示するだけの人」と「やるだけの人」というケースが多く、これでは下が育たない。下の人を上手く使って育てながら、組織全体をコーディネートしていく。育成においても次だけではなく、その次の世代のことも考えなければなりません。次の世代候補を一人に絞ってしまうと努力しなくなるので、複数で競わせることが必要で成長に繋がります。その逆で、一度トップにしてしまうことでゆるんでしまうことも考えられます。いずれの場合においても良いプレッシャーと刺激を常に感じ、弛まぬ努力を続けてもらう環境づくりは重要なファクターです。
大連において「全日空」は他の都市より比較的知名度が高いように感じます。より多くの中国の方に知っていただくことも大きな使命。引き続き知名度向上に向け、輸送業としてできることを活かし社会貢献や文化事業のイベント等にどんどん関わっていきたいです。定期的に中国のお子様向けに開催する「ANA航空教室」もその一例。今年中国線就航・支店設立30周年という大きな節目を迎えるにあたり、いろんな形で積極的に仕掛けていきたいです。
PROFILE
まつやま まさと
1962年、大阪府生まれ。1986年早稲田大学商学部卒業後、全日本空輸㈱入社。国内線予約販売、総務、経理、広報室など多岐にわたる業務に携わる中で、(財)経済広報センター等外部機関において経済界の広報活動、中国経済の研究、日本各地の地域おこしのお手伝いに従事。海外は07年秋より約3年半広州支店に駐在。16年4月より現職。趣味はゲーム、ゴルフ。
<松山さんを知るキーワード>
『そうだったのか! 中国』池上彰著
特別塗装版も自慢の3DS
「ONEPIECE」好きです!
全日本空輸株式会社 大連支店
大連市西崗区147号森茂大厦1階
℡(0411)8360-6611
www.ana.co.jp/cn/j/
さらなる現地化を目指し
強固な組織をプロデュース
B787が成田線にて運航スタート
ANA大連支店は1987年4月16日、ANA初の中国路線となる成田ー大連ー北京線就航をきっかけに同年に開設。現在は成田、関西の旅客便がデイリーで、貨物便は週6便運航しています。
昨年の冬ダイヤ(10月30日~3月25日)より成田線においてボーイング787型機の運航を開始。カーボン繊維素材で機体が軽いために非常に燃費がよく、採算等の問題でこれまでは就航が難しかった都市にも路線を拡げることができるようになりました。大連ー成田線においてはさらにお客様が見込めることで、運航スタートに至りました。以前のボーイング767型機は座席数202に対し787は240と増加。ビジネスクラスの座席数も増えましたが、エコノミークラスでも足元が広くなる等居住性が大きく改善されています。さらに気圧や機内湿度の調整、エンターテインメントの充実など快適なものになっています。
世界第二位の航空大国で
中国は年間旅客数約4・4億人(15年実績)という世界第二位の航空大国。北京や広州、大連ほか新空港の建設等航空インフラへの積極的な投資がされており、海外への旅行需要の拡大と相まって中国は非常に魅力的なマーケットです。
そのためANAの国際線ネットワークにおいても中国線はアジア・オセアニア線の4割弱に次いで全体の3割強を占め、中国大陸、香港、台湾を含め13都市15空港に就航しています。JNTOの統計によりますと日中間の流動は13年では訪中日本人数288万に対し、訪日中国人数131万と訪中人数の方が多かったのですが、14年はほぼ同じとなり、15年には訪中日本人数250万に対し訪日中国人数が499万と倍近くに逆転。昨年は11月末までで訪日中国人数約595万という実績から、17年は700万を越えると見込まれています。安価なクルーズ船での訪日旅行ブームもあり、すべての方が飛行機で日本へ来られるわけではないのですが、今後も中国在住のお客様に対してのさらなるアプローチは、中国全拠点において強化すべきポイントです。
さらに仕掛ける現地化
広州支店に総務・営業マネジャーとして赴任した07年頃は支店・空港スタッフ総勢約60名中日本人は12名。その後現地化が推進され、現在大連では支店・空港合わせて総勢約50名中日本人は私と空港所長、整備マネジャー、整備の研修員の4名のみ。駐在員は3~4年で交代となり、得意不得意含め仕事のやり方が変わってきてしまうことが多く、新しく着任した人は生活環境を含め一から現地の勉強をすることから半年近くは手探りの状態。そんな手戻りをなくし、長期間にわたってぶれることなく事業を進めていくために優秀なナショナルスタッフ(現地社員)を登用することで、セールスのみならず空港でも税関や検疫といったさまざまな部門との良い関係を築き、強い組織を作ることができると考えています。大連では設立の翌年から在籍するスタッフをはじめ、比較的長く働いてもらっている方が多いことから総務、旅客営業、貨物営業、貨物運送の各セクションにおいてマネジャーとして活躍してもらっています。
さらに現地化を進めるべく副支店長や空港の副所長への登用だけでなく、ナショナルスタッフをトップに置き、その下に日本人駐在員という形も今後出てくることになると思います。もちろんそのためには次の世代を担う人材の育成は重要な課題です。中国のマネジメントスタイルはトップダウン。「指示するだけの人」と「やるだけの人」というケースが多く、これでは下が育たない。下の人を上手く使って育てながら、組織全体をコーディネートしていく。育成においても次だけではなく、その次の世代のことも考えなければなりません。次の世代候補を一人に絞ってしまうと努力しなくなるので、複数で競わせることが必要で成長に繋がります。その逆で、一度トップにしてしまうことでゆるんでしまうことも考えられます。いずれの場合においても良いプレッシャーと刺激を常に感じ、弛まぬ努力を続けてもらう環境づくりは重要なファクターです。
大連において「全日空」は他の都市より比較的知名度が高いように感じます。より多くの中国の方に知っていただくことも大きな使命。引き続き知名度向上に向け、輸送業としてできることを活かし社会貢献や文化事業のイベント等にどんどん関わっていきたいです。定期的に中国のお子様向けに開催する「ANA航空教室」もその一例。今年中国線就航・支店設立30周年という大きな節目を迎えるにあたり、いろんな形で積極的に仕掛けていきたいです。
昨年10月30日より大連ー成田間にボーイング787型機が運航スタート。ANA国際線開設の年に入社し、今年は中国線(大連線)就航30周年という節目。メモリアルイヤーをこの地で迎え、中国との縁を感じています。
PROFILE
まつやま まさと
1962年、大阪府生まれ。1986年早稲田大学商学部卒業後、全日本空輸㈱入社。国内線予約販売、総務、経理、広報室など多岐にわたる業務に携わる中で、(財)経済広報センター等外部機関において経済界の広報活動、中国経済の研究、日本各地の地域おこしのお手伝いに従事。海外は07年秋より約3年半広州支店に駐在。16年4月より現職。趣味はゲーム、ゴルフ。
<松山さんを知るキーワード>
『そうだったのか! 中国』池上彰著
広州駐在を終え、さらに中国を知りたいと思い手にした本。人物、社会情勢・システムなど多方面の話題がわかりやすく解説されています。気になる箇所は色分け付箋でチェック!
特別塗装版も自慢の3DS
ゲームは昔からの趣味で、広州駐在時はPS2を、今は3DSを愛用。自分のペースで楽しめるRPGが好きですが、今はもっぱらゆる~く楽しめる「どうぶつの森」を楽しんでいます。
「ONEPIECE」好きです!
17巻のDr.ヒルルクから旅立つトニー・トニーチョッパーのエピソードは涙なくして読めません。右は最近購入した大連交通「明珠カード」のワンピース版! もったいなくて使えません(笑)。
全日本空輸株式会社 大連支店
大連市西崗区147号森茂大厦1階
℡(0411)8360-6611
www.ana.co.jp/cn/j/
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