キーマンインタビュー

友好都市という絆と共に
自らの強みで可能性を拓く

定期便就航への歩みと今後の課題

　私たちの北九州市経済事務所は、1979年に大連市と友好都市締結後、1991年に設立されました。
　ビジネス方面だけでなく、北九州市のプロモーション活動や大連市との交流促進、行政機関や大連に進出している地元企業との調整、連携、情報交換など、多岐に渡る分野で事業を推進しています。
　例えば今年度は、北京・国家発展改革委員会での経済構造の転換に関するプレゼン、中日韓観光フォーラムでの北九州市の先進的な取り組み事例紹介、北九州市が主幹事を務める東アジア経済交流推進機構・環境部会の開催、日本商品展覧会や巡回展での食品、生活用品等の出展などを行ってきました。中でも最も印象に残っているのは、大連―北九州空港間の定期便就航です。
　2015年末から2016年2月にかけて実施したチャーター便の成功を踏まえ、航空会社や大連市内との折衝を続け、昨年10月30日から大連と北九州空港との間に定期便就航を実現する運びとなりました。両都市間を定期便で結ぶのは今回が初となります。
　定期便就航を見据え、事前に着手したのが大連市内の旅行会社をターゲットにした観光説明会です。早い時期から中国からの北九州向け旅行商品の造成を働きかけることで、定期便スタートへの動きを旅行社に伝えるとともに、ツアー造成に高い意欲を持って頂くことができたのではないかと思います。
　大連―北九州便の利用状況を見ますと、中国からの訪日ツアー客が主な利用客となっており、利用客は概ね順調ではあるものの、一方でビジネス客や日本からの訪中観光客への訴求が不足していると感じています。メディアやイベント等での機会を捉え、プロモーションを仕掛けていきたいですね。

環境分野の強みと交流・協力事業の礎

　北九州市では、深刻な公害に対して市民、企業、行政が一体となり環境改善を実施、環境再生を実現してきた経験があります。
　ありがたいことに大連市でもその認知度は高いようで、政府や団体等の環境関連の方などから直接お声がけいただくこともしばしば。
　現在、北九州市と日本の政府関係団体が協同し、大連市の大気改善について助言、研修などの協力を行っています。これに関しては、今後も引き続き専門家の派遣や北九州市での研修など協力事業を積極的に進めていく方針です。
　他にも鶏糞や金属による土壌汚染の改良など、北九州市の地元企業が大連市で取り組む事業のサポートも実施しており、北九州市の強みを活かしたさらなる協力事業の展開にも期待が高まるところです。
　しかしながら、これらの事業の展開の礎は、やはり大連市と北九州市が友好都市という強い結びつきがあるからこそだと改めて思います。留学、ビジネスなど北九州市ゆかりの方が多いことや、濱海中路にある両都市友好のシンボル「北大橋」も昨年5月にリニューアルされるなど、大連市において北九州市がいかに特別な存在なのかをひしひしと感じています。
　あと3年で大連市と北九州市の友好都市締結40周年を迎えます。記念すべき年に向け、私たち事務所も両都市における国際経済の推進並びに各種交流のさらなる活性化に力を尽くしていきたいと考えます。

16年9月にメディアを集め開催された大連・北九州便就航説明会に出席。今後の展望などをお話しました。

PROFILE
ながもと　ひろふみ
1963年生まれ、福岡県北九州市出身。北九州市立大学商学部卒業後、1985年日本通運航空事業部入社。その後1993年北九州市役所に入職。観光課、広報室、市制50周年事業推進室等を経て、2016年4月より駐大連北九州市経済事務所所長に着任、現在に至る。


駐大連北九州市経済事務所
大連市西崗区中山路147号森茂大厦5階
8360-7298