キーマンインタビュー

大連翔祥食品有限公司
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大連翔祥食品有限公司

董事 総経理 池上 長志氏

長崎産・本マグロを含め
中国市場で切り拓く高品質な
マグロ加工・販売事業


日本産「本物の本マグロ」を中国へ

 

 当時中国ではまだまだ出回っていなかった「本物のマグロ市場」の創造を目的に、総合商社である双日グループ51%、獐子島集団49%が出資する日中合弁会社として2003年に設立。中国では日系唯一のマグロ加工場として、日本から総経理を派遣し直接運営。経営管理手法・技術を日本から導入し、2004年に中国市場で初めて「超低温マグロ」の加工・内販事業を開始しました。現在も市場のパイオニアとして中国内販ではトップシェアを誇り、中国大陸30カ所以上の都市で販売、大連、上海においてはレストランへの直接販売も。また、日本・米国・欧州・韓国・東南アジアへの輸出をも手がけています。現在は冷凍マグロだけでなく、親会社である双日グループが日本で養殖した生鮮本マグロ、日本産の冷凍ブリや甘エビ、ボタン海老等の輸入販売も行っています。

 私と一緒に写っているマグロはまさに双日グループが長崎県・鷹島で養殖した本マグロです。日本で最も水温の低いマグロ養殖場だと思います。よって成長スピードはかなり遅いのですが、水温が低いため、その分品質には自信があり、お陰様で中国でも熱烈なファンになっていただくお客様がいらっしゃいます。恐らく「通好み」のマグロなのだと思います(笑)。この11月から新たに日本産生鮮アジ、シマアジ、ブリ等の空輸取り扱いも開始し、中国市場へ向けさらなる事業展開に挑むところです。

強力なパートナーとスタッフの存在こそ

 設立当時の中国ではCOマグロ(註1※)が流通し、日本人が普段口にするようないわゆる「本物のマグロ」は存在しませんでした。COマグロは腐っても変色しないピンク色で、味を含め品質は本物と比べようもありません。
 本物のマグロは、超低温と呼ばれる「マイナス60度以下」の温度帯でなければ長期保管できず、自然解凍ではドリップ(冷凍と解凍の段階で細胞が破壊され旨みが血水となって流れる)が出てしまう、解凍後の色変わりが早い等、他の水産物と異なる特別な取り扱い方法が求められるため、顧客から敬遠されやすく、マーケットへ商品を浸透させるために営業マンも相当苦労したものです。
 その一方で、誰も販売していない商品をマーケットに認知させる過程の中、「市場創造」という成功体験の共有が顧客との長年の信頼関係構築に繋がり、従業員が自分の仕事に誇りを持つことで、会社に対するロイヤリティも向上していると考えています。
 また、獐子島集団というパートナーに恵まれ、特に中国人副総経理をはじめとする優秀な社員を、当事業に送り出してくれたことに非常に感謝しています。当社は工員レベルまで含め、設立以来10数年間でほとんど離職者がおらず、水産加工場としては相当珍しいケースと思われます。この間、数度にわたり日中関係が悪化した時期もありましたが、ストライキやデモ等とは縁遠い存在であり、まさに「人」の要素こそが、品質の安定へと繋がっているのだと自負しています。


(註1)COマグロ:加工時に一酸化炭素を吹き付け、色出し・色止めを施したマグロ。腐っても変色しないことから日本では流通が禁止されている。現在は欧州・中国においても流通禁止。


世界のマグロ市場に台頭する中国で

 設立当時想定していなかった外部環境の変化として、世界に占める中国マグロ船の台頭が挙げられます。現在の日本市場に占める中国産マグロのシェアは年々高まりを見せ、いわゆる赤身と呼ばれる刺身用の冷凍メバチマグロやキハダマグロは、本マグロ(註2※)と違い、日本、韓国ほか中国大陸、台湾の漁船が供給の担い手となっています。少子高齢化による日本市場の縮小、漁船の後継者不足、採算性悪化等の問題から日本を筆頭に各国減船を行う中で、中国だけが唯一増船傾向にあり、日本向けのマグロ供給拠点としての役割においても、中国は重要性をさらに増しています。現在当社においても日本のみならず、米国、欧州、韓国、東南アジア等にも輸出を行い、グローバルな販売を展開中です。
 このように供給拠点としての役割も勢いづく中国で、現在第二工場の建設計画を進め、一年後には操業開始予定となっています。加工・保管能力を現在の3倍まで増やす計画にしており、かなり背伸びをした投資になっていますが、それだけプレッシャーも大きい一方で、やり甲斐も感じています。第二の創業ともいうべき会社の重要な時期に再び関与できる機会をもらって、自分はつくづく運が良いと感じています。
 中国国内においても、刺身や寿司等和食用途で使われることがほとんどですが、中華料理店への仕掛けとして、大型レストランとの連携でマグロ食べ放題キャンペーン等も含め、鮮度の良い日本品質を大いに掲げ、今後も新たな挑戦を続けていくつもりです。


(註2)本マグロ供給の主な担い手は、日本および地中海沿岸国、メキシコ等であり、中国産は殆ど存在しない。中国で出回る本マグロはほとんどが地中海産もしくは日本産であり、赤身は中国産。



アジ、シマアジ、ブリ等も11月より国内販売開始。処理方法、物流ルート、取り扱いにおいても世界トップクラスの日本品質と鮮度の良い商品で、中国国内の日本食レベル、食文化の向上に貢献したいところです。


PROFILE
いけがみ ちょうじ
1973年生まれ、奈良県出身。1996年京都大学農学部卒業後、旧日商岩井入社。運輸部にて物流業務に携わる。2001年の大連拠点立ち上げ・研修をきっかけにマグロと関わるようになり、その後も駐在でロンドン、短期滞在でトルコ、オーストラリア、ミクロネシアなどマグロの産出地を巡る。2015年6月より現職で3回目の大連駐在となる。趣味は旅行、スキューバダイビング、読書。

<池上さんを知るキーワード>

『タックスヘイヴン』橘玲 著

基本ジャンルを問わず読書を楽しんでいますが、金融小説、不動産ものを好んで読みます。もし就職をやり直せるなら商社ではなく、投資銀行や金融関係に浸かってみたい!(笑)

今年の国慶節はモルジブへ!

独身の時はスキューバを楽しみましたが、子供がまだ小さいので、今は専らシュノーケル。毎年どこか南の島に行っていますが、来年はオーストラリアかメキシコあたりを企画中。

勤続20年、海外を転々と……

海外駐在にいつもついてきてくれる家族に感謝しています。これはロンドン滞在時(08年~09年)、映画「ハリー・ポッター」で有名なキングスクロス駅9と3/4番線ホーム前で。



大連翔祥食品有限公司
大連市保税区IC-54号
℡(0411)8730-0222
 130-0948-9574(日本語窓口)
 139-0408-5987(中国語窓口)
www.xxmaguro.com

大連翔祥食品有限公司

住所 辽宁省大连市保税区IC-54号 MAP
電話 0411-8730-0222

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