キーマンインタビュー
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萬宝至馬達大連有限公司/萬宝至馬達瓦房店有限公司
董事 総経理 高橋 徹氏
大陸進出初の日本独資企業
世界に門戸を開くグローバル
企業として時代へ立ち向かう
体制のスリム化、安定した生産量
マブチモーターは1954年の創立以来、小型直流モーターの製造販売を事業としています。
海外への生産シフトは1964年の香港を皮切りに、ここ大連は1987年に設立。中国初の日本独資企業として、また大連においては進出も早かったことで注目も高く、多くの方に知っていただいています。生産全体の7割が自動車電装用(パワーウインドウ、パワーシート、ドアロック、ミラー、ヘッドライト等)、3割が民生・業務機器用(シェーバー・ドライヤー等家電機器やプリンターなどの精密・事務機器用)です。現在大連地区には開発区(モーター・部品生産)および1994年に設立した瓦房店(モーター生産)に工場を有します。一体感ある生産体制で、両工場のモーター生産数は年間合計2・8億個となっています。
従業員数のピークは1997~1999年で、両工場合わせ1万人を超えていましたが、現在は約3分の1の3500名となっています。これは生産規模の縮小によるものではなく、人件費が高騰し始めた2000年頃から生産工程の自動化、間接業務の合理化を進めた結果です。生産数は3億個前後で安定しています。減員は自然退社人数とほぼ同数で、社内で大きな混乱もなく達成できました。本社からの支援はありましたが、各工場がスピード感をもって「自分たちでやっていかねばならない」という自主性を持ち推進したこと、またそれができる技術の蓄積が整っていたことが、この成果の大きな要因であったといえます。
マブチはグループ全体でグローバル人材の育成に力を入れ、本社ではさまざまな国籍の人を採用し、同時に拠点や国を跨いだ人材起用も行っています。
海外工場に対しても、グローバルに活躍できる人材育成が望まれています。年に一度、幹部クラスに選抜で、日本本社で研修する機会が与えられます。世界の各拠点から優秀なメンバーが集まり、同じマブチで働く仲間として横の繋がりができると同時に、さまざまな議論を活発に交わし、士気も上がります。また長期にわたる海外トレーニー制度は、研修を終えて帰国した時に「海外で十分に活躍できた」という自信をつける絶好の機会となっています。大連工場スタッフは生産技術や生産管理に関して非常に高いスキルを持っています。語学習得も含め、起用の機会に備え、グローバルに活躍できるチャンスを増やし、人材育成を推進することも大連マブチにとって非常に重要な使命です。
かつて世界の工場と呼ばれた中国ですが、現在は市場としていかに食い込んでいくかが、在中の日系製造業の生き残る道であると考えます。大連工場操業当初は90%が輸出向けでしたが、現在は半数が国内向けを占めています。中国市場にあった製品を作っていかねば成長は望めません。製品設計は現地の状況や傾向を理解する中国人スタッフが頼りどころです。2006年より広東省・東莞にR&D部門を設け、中国向け商品の開発に取り組んでいます。マブチのモーターは品質が認められ、世界の有名企業から多くの引き合いをいただいています。最近では中国国内においても高品質が求められるようになり、中国のモーターメーカーも品質を上げてきています。生き残りをかけ、価格競争に巻き込まれないよう、マブチブランドを上手く展開させる営業戦略も課題となります。
一方で、在連の外資系企業は試練を強いられています。スタッフの給与以外の部分での税制など、中国他地域に比べ負担が大きくなっています。耐えられず他エリアへ生産をシフトする企業も最近増えてきている印象さえ覚えます。私はマブチモーターの総代表として市政府の会合に呼ばれたり、市政府で新しく役職に就いた方が訪問くださったりした際に要望を聞かれたら、遠慮せずお話しています。これも中国初の日本独資企業、大連進出の先駆である老舗工場としての役割だと感じています。大連日本商工会も精力的に動いてくださっているので、私共も積極的に協力し、在連の日本企業を元気にしたいと強く感じています。
20数年以上前、まだ20代だった頃に大連へ一度目の赴任。冬の食材は凍った白菜とネギの印象しかなく、金馬路のど真ん中でキャッチボールができるほど車が走っていませんでした。今、二度目の駐在生活の中で、暮らしやすさの変化を体感すると同時に、大連の街の遷り変わりに我らが大連工場を重ねております。大連とともにさらなる成長に注力していきたいです。
マブチモーターは社会貢献活動にも注力。大連マブチでは「万宝至希望小学校」、「万宝至希望中学校」を設立し、教育支援を行っています。この時はバスケットボール等の学用品贈呈を行いました。
PROFILE
たかはし とおる
1965年生まれ、埼玉県出身。1988年マブチモーター本社(千葉県松戸市)入社。生産計画、設備調達等の関連業務に携わる。1993年~98年大連工場へ赴任し、生産管理を担当。2012年~14年総経理として広東省・東莞工場へ赴任。2015年1月より総経理として再び大連へ赴任、現在に至る。趣味はスキューバダイビング、ゴルフ、バドミントン。
<高橋さんを知るキーワード>
金石灘名物・7番ホール
今までいくつボールを無くした事か(泣)。頻繁にゴルフに誘っていただけるのも日本人コミュニティが充実した大連ならでは。ラウンド後の「反省会(飲み会)」も同様に楽しんでいます。
唯一の日本人メンバーです!
余暇にはバドミントンサークルで汗を流します。最年長の私に皆さん容赦なく打ち込んできます(笑)。室内競技のバドミントンは一年を通して楽しめます。練習後のビールは最高!
19年前の大連・北大橋にて
以前の駐在時に、私と妻の両親を呼び大連観光した時のショット(1997年夏)。右側が妻の両親、左側が私の両親、私の父に抱かれているのが長女(生後3カ月から大連育ち)です。
世界に門戸を開くグローバル
企業として時代へ立ち向かう
体制のスリム化、安定した生産量
マブチモーターは1954年の創立以来、小型直流モーターの製造販売を事業としています。
海外への生産シフトは1964年の香港を皮切りに、ここ大連は1987年に設立。中国初の日本独資企業として、また大連においては進出も早かったことで注目も高く、多くの方に知っていただいています。生産全体の7割が自動車電装用(パワーウインドウ、パワーシート、ドアロック、ミラー、ヘッドライト等)、3割が民生・業務機器用(シェーバー・ドライヤー等家電機器やプリンターなどの精密・事務機器用)です。現在大連地区には開発区(モーター・部品生産)および1994年に設立した瓦房店(モーター生産)に工場を有します。一体感ある生産体制で、両工場のモーター生産数は年間合計2・8億個となっています。
従業員数のピークは1997~1999年で、両工場合わせ1万人を超えていましたが、現在は約3分の1の3500名となっています。これは生産規模の縮小によるものではなく、人件費が高騰し始めた2000年頃から生産工程の自動化、間接業務の合理化を進めた結果です。生産数は3億個前後で安定しています。減員は自然退社人数とほぼ同数で、社内で大きな混乱もなく達成できました。本社からの支援はありましたが、各工場がスピード感をもって「自分たちでやっていかねばならない」という自主性を持ち推進したこと、またそれができる技術の蓄積が整っていたことが、この成果の大きな要因であったといえます。
グローバルな人材育成を推進
マブチはグループ全体でグローバル人材の育成に力を入れ、本社ではさまざまな国籍の人を採用し、同時に拠点や国を跨いだ人材起用も行っています。
海外工場に対しても、グローバルに活躍できる人材育成が望まれています。年に一度、幹部クラスに選抜で、日本本社で研修する機会が与えられます。世界の各拠点から優秀なメンバーが集まり、同じマブチで働く仲間として横の繋がりができると同時に、さまざまな議論を活発に交わし、士気も上がります。また長期にわたる海外トレーニー制度は、研修を終えて帰国した時に「海外で十分に活躍できた」という自信をつける絶好の機会となっています。大連工場スタッフは生産技術や生産管理に関して非常に高いスキルを持っています。語学習得も含め、起用の機会に備え、グローバルに活躍できるチャンスを増やし、人材育成を推進することも大連マブチにとって非常に重要な使命です。
老舗工場としての役割
かつて世界の工場と呼ばれた中国ですが、現在は市場としていかに食い込んでいくかが、在中の日系製造業の生き残る道であると考えます。大連工場操業当初は90%が輸出向けでしたが、現在は半数が国内向けを占めています。中国市場にあった製品を作っていかねば成長は望めません。製品設計は現地の状況や傾向を理解する中国人スタッフが頼りどころです。2006年より広東省・東莞にR&D部門を設け、中国向け商品の開発に取り組んでいます。マブチのモーターは品質が認められ、世界の有名企業から多くの引き合いをいただいています。最近では中国国内においても高品質が求められるようになり、中国のモーターメーカーも品質を上げてきています。生き残りをかけ、価格競争に巻き込まれないよう、マブチブランドを上手く展開させる営業戦略も課題となります。
一方で、在連の外資系企業は試練を強いられています。スタッフの給与以外の部分での税制など、中国他地域に比べ負担が大きくなっています。耐えられず他エリアへ生産をシフトする企業も最近増えてきている印象さえ覚えます。私はマブチモーターの総代表として市政府の会合に呼ばれたり、市政府で新しく役職に就いた方が訪問くださったりした際に要望を聞かれたら、遠慮せずお話しています。これも中国初の日本独資企業、大連進出の先駆である老舗工場としての役割だと感じています。大連日本商工会も精力的に動いてくださっているので、私共も積極的に協力し、在連の日本企業を元気にしたいと強く感じています。
20数年以上前、まだ20代だった頃に大連へ一度目の赴任。冬の食材は凍った白菜とネギの印象しかなく、金馬路のど真ん中でキャッチボールができるほど車が走っていませんでした。今、二度目の駐在生活の中で、暮らしやすさの変化を体感すると同時に、大連の街の遷り変わりに我らが大連工場を重ねております。大連とともにさらなる成長に注力していきたいです。
マブチモーターは社会貢献活動にも注力。大連マブチでは「万宝至希望小学校」、「万宝至希望中学校」を設立し、教育支援を行っています。この時はバスケットボール等の学用品贈呈を行いました。
PROFILE
たかはし とおる
1965年生まれ、埼玉県出身。1988年マブチモーター本社(千葉県松戸市)入社。生産計画、設備調達等の関連業務に携わる。1993年~98年大連工場へ赴任し、生産管理を担当。2012年~14年総経理として広東省・東莞工場へ赴任。2015年1月より総経理として再び大連へ赴任、現在に至る。趣味はスキューバダイビング、ゴルフ、バドミントン。
<高橋さんを知るキーワード>
金石灘名物・7番ホール
今までいくつボールを無くした事か(泣)。頻繁にゴルフに誘っていただけるのも日本人コミュニティが充実した大連ならでは。ラウンド後の「反省会(飲み会)」も同様に楽しんでいます。
唯一の日本人メンバーです!
余暇にはバドミントンサークルで汗を流します。最年長の私に皆さん容赦なく打ち込んできます(笑)。室内競技のバドミントンは一年を通して楽しめます。練習後のビールは最高!
19年前の大連・北大橋にて
以前の駐在時に、私と妻の両親を呼び大連観光した時のショット(1997年夏)。右側が妻の両親、左側が私の両親、私の父に抱かれているのが長女(生後3カ月から大連育ち)です。
萬宝至馬達大連有限公司
大連市経済技術開発区哈爾濱路41号
℡(0411)8761-1111
www.mabuchimotor.cn
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