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著作権法(13)——著作権の侵害行為における民事責任

前回は、著作権侵害行為の民事的救済について説明した。今回は、著作権が侵害された際に侵害者が権利者に求める民事責任について説明する。中国では「著作権法」第47条、第48条により、著作権を侵害した場合は状況に応じ侵害の差止、影響の解消、補償および謝罪、損害賠償などの民事責任を負う。詳しくは以下の通りである。

①侵害の差止

侵害の差し止めとは、現在行っている著作権侵害行為の即停止を命じることである。これには2種類あり、一つは著作権者が訴訟前または訴訟中に侵害の停止を命じるよう求めるという臨時措置であり、もう一つは裁判所が侵害を認め、侵害者に行為の停止を命じる場合である。司法実務では、著作権者は侵害行為を制止するために、裁判所に対し侵害者の複製作品の没収や廃棄、あるいは侵害行為の排除、侵害行為を防ぐために必要な措置を講じるよう求めことができる
損害賠償
著作権者は権益が損なわれた場合、侵害者を相手取り損害賠償を請求することができる。この場合、1)侵害者に過失がある 2)権利者が損をした 3)実際に侵害が発生した 4)権利の侵害と損害発生に因果関係がある、などの条件を満たすことが必要である。
(1)損害賠償の原則
 中国の著作権法で、著作権の侵害における損害賠償は基本的に補填の原則であり、侵害により権利者が失った部分を侵害者からの賠償を埋めあわせることが原則である。権利者の損失とは、侵害行為による損失分のほか、侵害行為を制止するために払った合理的な費用(合理的な弁護士費用や訴訟費用など)を指す。
(2)損害賠償の計算方法
 「著作権法」第49条第1項により、「著作権もしくはそれに関わる権利が侵害された場合、侵害者は権利者の実際の損失分を賠償する。損失額の計算が難しい場合は、侵害者が得た利益を賠償として支払う。賠償金額は、権利者が侵害行為を制止するために支払った適正な出費も含む」とされている。
 権利者の実際の損失とは、著作権者もしくは隣接権者が被告の侵害行為により被った損失、もしくは侵害行為がなければ得られた利益を指す。またその損失額は、権利者と侵害者が市場における直接の競合者でない場合などでは、著作権使用許諾費のしかるべき倍数で計算してもよい。
 侵害者の得た利益とは、侵害により得た利益を指す。これは一般に販売利益、営業利益、純利益に分けられるが、どれを計算根拠とするのかについては、中国の司法の解釈や法律では統一した規定がない。
(3)法定賠償金額
 「著作権法」第49条第1項により、「権利者の実際の損失もしくは侵害者の利益の額が確定できない場合は、侵害行為の状況をもとに人民法院より50万元以下の賠償を命じる」とされている。この法定賠償額は、権利者が実際の損失もしくは侵害者の利益の額を証明することができない場合に適用し、現在の中国の著作権侵害行為は複雑で証拠の収集が難しいことなどから、金額の引き上げが求められている。全人代で現在、著作権法の修正作業が行われており、新たな法律原案では賠償額は最大500万元とされている。
(4)ペナルティー的賠償
 ペナルティー的賠償とは、人民法院で下された賠償金額が実際の損害額を上回るケースで、実際の賠償に加算された分を指す。この目的は、被告の違法行為で著作権者が被った損害を補償することである。司法実務上では、こうした補償は被告に対するペナルティーとなり、補償や抑止力、ペナルティー、褒賞といった意味合いがある。全人代における修正案では、これに関する条項が明記されている。
(5)不当に得た利益の返済
 以上に述べてきた損害賠償の原則は、侵害者に過失があったことが前提であり、侵害者に過失がなかった場合は、賠償責任は生じない。しかし実際には、過失がなくても利益を得た場合はその部分を返済する必要がある。こうした返済の義務や成り立ち、その範囲については、民法典の関連規定を適用する

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