キーマンインタビュー

大建阿美昵体(上海)商貿有限公司
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大建阿美昵体(上海)商貿有限公司

  • エリア:淮海中路

董事・総経理 秋山 貴之 氏

変化と挑戦を恐れず率先垂範して機能性製品を届ける


海外拠点の屋台骨として大建工業グループを牽引している同社。日本向けから中国向けへと業態が大転換する中で、事業環境の変化に柔軟に対応してきた。10年間に亘って同社で奮闘している秋山総経理にお話を伺った。



機能性に富んだ製品の数々

 2003年、日本市場での厳しい価格競争に対応するべく、廉価な労働力を求めて中国に進出したのが大建工業の中国ビジネスの始まりです。寧波に内装ドア、内装フローリングの製造工場を設立し、当時は全製品を日本へと輸出していました。その後、中国市場向けの販売を目的に2008年に当社を設立し、現在では、全製品を中国国内にて販売しています。とはいえ、日本向けに生産していた製品を中国向けに転換させることは一筋縄ではいきませんでした。日本ではドアの規格が決まっているため、少品種多量生産が可能でしたが、中国はそうではないため、一つ一つのサイズに合わせたオーダーメイド型の多品種少量生産に切り替える必要がありました。フローリングに関しても、色やデザインを中国人の好みに合わせて、日本では廃番になっているものを復活させたり、中国産製品を日本からの輸入製品と一緒に販売することで価格帯に幅を持たせたりと、様々な変革を行いました。価格を抑えようとしてもローカル企業には太刀打ちできませんから、如何に付加価値の高い製品を販売していくかということが鍵となります。その一例として、当社では抗菌の建材や機能ドアを数多く扱っています。中国のマンションは日本と比べて面積が大きいため、ドアの機能性を重視することはあまりなく、開閉スペースが必要な開き戸が圧倒的に普及しています。しかし不動産価格の高騰とともに新築マンションの面積が縮小しており、動線(日常の生活や仕事で、建物内を人が移動する経路を線で表したもの)を意識した機能ドアに対するニーズが高まってきています。そこで、折れ戸や吊り戸、レバーハンドルを少し下げるだけで開く片開きドアのほか、上下、左右、前後方向の微調整が可能で、ワンタッチ着脱タイプの3次元調整丁番を使用したドアなど、様々な機能ドアの販売に注力しています。そのために、中国各地の建材商城に代理店を活用してショールームを設け、実際に体験して頂くことに重きを置いています。

率先垂範してやってみせる

 総経理として私が最も意識しているのが、中国人と日本人が互いに助け合う最強のチーム作りを目指すということです。そのためにまず行っているのが、残業の禁止です。社員は時間を意識して集中して業務に取り組むことができますし、職場の雰囲気も良好になりました。また、今回の新型コロナウイルスの経験も踏まえ、テレワークや時差通勤の採用へと積極的に舵を切っています。今後は結果に対する評価制度を整え、結果を出しさえすれば、いつどこでどのように働こうと問うことはしないつもりです。その代わり、営業提案に対しては厳しく指導を行っています。私一人が営業の全てを網羅できるわけではありませんから、中国全土に私の分身を作るという思いで指導に当たっています。大建工業の社員としての提案能力やプレゼン能力を社員たちに身につけさせた上で、社員を通じて各地の代理店に対し提案を行っています。まずは率先垂範して自らやってみせるということが重要です。先ほどの機能ドアについても、単に口頭で説明するだけではなく、実際に着脱をして見せてあげれば社員も実感を伴って理解することができます。
 率先垂範に関して思い出深いエピソードがあります。中国に赴任したばかりの頃のことですが、日本と違って売掛金の回収が困難であることを理解できておらず、そのリスクを考えず売上を上げることに注力していた時期がありました。そんな折、瀋陽のある企業に対する売掛金が一向に支払われないという事態が発生しました。社員にいくら回収を促しても諦めてしまうため、自らマイナス20度の厳寒の瀋陽へと赴きました。先方に半ば強制的に銀行へ同行してもらい、その場で書類に記載させて半額を支払ってもらいました。残りの半額も後日時間を掛けて回収できましたが、私自身必死だっただけに、全額回収できた際には思わず泣きそうでした。この一連の出来事を通じて、この日本人はここまでやるのかという姿勢を社員に伝えることができましたし、未払いであれば出荷を抑えるなどのリスク管理を徹底し、現在では売掛金の未回収が発生することはほぼなくなりました。
 現在、WeChatやホームページなどを活用したブランドの構築と展開に取り組んでいます。特に、公衆号はアウトソーシングをして品質にもこだわり、フォロワー数を増加させるべく努めています。フォロワー数を増やしなさいと社員に口頭だけで話しても伝わりませんから、公衆号のQRコードを表記した楯を用意して代理店に設置したり、名刺やカタログにもQRコードを掲載した上で、自らもお客様にフォローして頂くよう働きかけ、ここでも率先垂範の姿勢を示すことを徹底しています。数値目標を決め、達成した社員に対しては大袈裟なほど褒めるようにしています

弛むことなく挑戦し続ける

 中国は近い将来、日本同様に超高齢社会へと突入します。老健施設などに向け、低ホルムアルデヒドの建材であるF☆☆☆☆の健康建材や、機能性に優れた製品の販売を拡充していきます。グループ全体の屋台骨として、人口減少に伴う日本における需要の低下分を中国で補填し、さらに拡大させていく展望を描いています。
 中国は変化の早い国です。以前は内装設備のないスケルトン住宅が一般的だったため、施工主が建材商城で建材を購入するのが主流でしたが、現在では日本のような内装付き住宅が圧倒的に増えてきています。従って、販売対象も個人ではなくディベロッパーへと移行しつつあります。また、中国ではECが急速に普及していますから、建材もネット上で購入するようになる日が訪れるかもしれません。建材は工事が必要ですから一朝一夕にはそうならないとしても、購買の主体が若者たちへと移行しているのは確かですので、彼らの嗜好に合った販売や広告を展開していかなくてはなりません。現在の成功が3年後の成功であるとは限りませんから、私自身考えを若く保って、常に変化を恐れず新しいものを取り入れていきたいと考えています。


海外でのビジネスは失敗を恐れずに挑戦することが大切です。重要なのはその経験を活かして、絶対に同じミスを繰り返さないことです。リーダーが保守的になると組織が退化してしまいますので、常に気持ちを若く保つよう意識しています。


先日、当社の営業スタッフと中国のお得意様の総勢24名で、大建工業株式会社の富山県にある内装ドア工場、収納工場と、愛知県名古屋市のショールームを見学しました。日本本社の製造技術や、日本のおもてなしの心での接客方法などを知ってもらえる絶好の機会となりました



PROFILE

プロフィール 
TAKAYUKI AKIYAMA

1972年生まれ、東京都出身。専修大学経済学部卒業。1996年、大建工業株式会社入社。北海道営業部(函館、札幌、苫小牧)にて9年、首都圏営業部(埼玉)にて6年、計15年間国内ルート営業に従事した後、2011年に大建阿美昵体(上海)商貿有限公司へ出向。2019年より董事・総経理。



秋山さんを知るキーワード

お洒落なBAR巡り

会社の日本人駐在員の同僚と一緒に、行きつけのBARに時々飲みに行きます。最年長の私に対して、お酒が少し入ると歳下の同僚達は普段職場では言えない本音なども話してくれて、私自身も若者たちから学ばせて頂いています。


休日を利用しての中国語学習


以前は先生とのマンツーマンレッスンが多かったですが、最近は短期グループレッスンに入り、若者に交じって中国語ディスカッションなど他流試合を楽しんでいます。授業の延長でその仲間達と楽しく中華料理を囲むこともしばしばです。

遠距離散歩

最近は目的を決めずに、好きな洋楽を聴きながらふらりと遠距離散歩に出掛けます。先日は自宅のある虹橋から外灘まで片道3時間ゆっくりと歩きました。見知らぬ公園で桜の開花を観察したり、季節の移り変わりを感じるのが楽しいです。

大建阿美昵体(上海)商貿有限公司

大建阿美昵体(上海)商貿有限公司

住所 黄浦区茂名南路205号瑞金大厦2301室 MAP
電話 021-6473-1201

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