キーマンインタビュー

理光(中国)投資有限公司
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理光(中国)投資有限公司

  • エリア:淮海中路

董事長・総経理 宮尾 康士氏

プリントの裾野を広げつつ
事業領域の拡大を通じて
社会の課題解決に貢献


米中貿易戦争やペーパーレス化に伴う厳しい事業環境の中、従来の複写機にとどまらない事業領域に積極的に進出を果たしている同社。中国における事業の展開についてお話を伺った。



オフィス、現場、社会の3つの分野

   リコーチャイナは、2003年にオフィス向けにリコー製品の販売・サービス事業を上海で開始して以来、今年の1月で16年目を迎えました。上海以外にも中国国内7都市の支店(北京、天津、成都、上海、蘇州、広州、深圳)と、中国全土をカバーする代理店・パートナーの皆様と連携しながら、オフィス向けを中心とした各種ソリューションを提供しています。取扱商品も設立当初は、複写機、ファクスから始まり、最近ではプロジェクター、商業印刷機、ITソリューションなど取扱商品を増やし、オフィス向けビジネスに留まらないお客様のビジネスパートナーを目指しています。また、日本語が堪能なスタッフで日系企業様専門の営業チームを構成しています。日々、日本の販売会社であるリコージャパンと情報共有しており、お客様の本社の事情・オフィス・働き方に対する考え方も把握できるよう努めています。

 RICOHといえば複写機というイメージが強いかと思いますが、現在はオフィス、現場、社会という3つの分野で商品・サービスを提供しています。オフィスへはおなじみのコピー機やプロジェクターなどを、そして生産の現場である工場や、教育の現場である学校などへは、ネットワークに繋がった電子白板であるインタラクティブホワイトボードやテレビ会議システムなどを提供しています。それらを通じて働き方改革に貢献したり、過疎化が進んでいる日本国内の教育に寄与するなど、社会の課題解決にも取り組んでいます。
 さらにはプリントの可能性を広げるという観点から、紙にとどまらずテキスタイル、繊維、プラスチック、ガラスや壁などにも印刷ができる商品を拡充させています。リコーグループとして、ヘルスケアの分野へも注力しており、細胞をインクジェット技術で再現することのできる、バイオ3Dプリンターという製品を医療機関向けに展開しています。この技術を医薬品に応用することで、狙った部位に薬剤を効率的に届けて作用させたり、副作用を抑制したりなどの効果が期待できます。このように一口にプリントと言っても裾野が広く、オフィス領域での複写機自体の事業はリコーグループ全体売上の半分以下となってきており、新たな領域で価値提供が広がっています。


プリントにとどまらない事業領域


 ヘルスケア分野ではさらに、遠隔で患者の起き上がりや寝返りを検知し、転倒・転落を予防することに役立つ医療用ベッドセンサーシステムも手掛けています。体動データを蓄積することで生活リズムを把握し、介護士の業務負荷軽減に繋げることができます。ほかにも脳の磁力を計測する脳磁計測システムなども提供しており、医療をはじめとしてさらなる事業領域の拡大を図っています。
 また、当社では環境保全と事業成長を同時実現する「環境経営」にも注力しており、河川・用水路や建物内の空調用水など小さな水の流れを利用して発電するマイクロ水力発電システムや、未利用間伐材をチップ化し、木質バイオマスボイラーの燃料として熱利用するモデルも展開しています。特に環境分野のビジネスは中国でも発展が著しく、大規模な太陽光発電施設が急激に増加しています。そこで北京の再生可能エネルギー関連のベンチャー企業と共同開発をして、昨年末から太陽光発電の保守システムの運用を開始しています。カメラを搭載したドローンを用いて何万枚という太陽光パネルを上空から撮影し、画像解析を行うことで一枚一枚きちんと稼働しているかを確認することが可能です。
 このように様々な事業を展開しており、特に中国はオフィス分野以外の事業領域を広げていく際の一つのモデルとしての期待が本社側からも強いと感じています。それを裏付けるかのように、昨年11月には初となる海外での役員会が上海で行われ、中国における中長期的な成長戦略について話し合いの場が設けられました。
 当社の本業であるプリント事業に関しましても更に効率化を図るべく、今年の8月に広東省東莞にて、組立工程や構内物流をロボットにより自動化した最先端工場が竣工予定です。世界的なモデル工場となることを目指しています。印刷枚数は世界的にはまだ増加傾向にあるとはいえ、欧米では減少が始まっているなどペーパーレスの潮流に対しては当社としても危機感を抱いています。中国では今後数年はさらなる増加が見込まれますので、その需要にしっかりと応えていきます


社員の幸福を重んじる


 どのようなな企業にしていきたいかということを社員の前で語ることがありますが、全部で4つあります。1つ目は常に利益を生み出せていること、2つ目はお客様満足度を常に向上させていくこと、3つ目は常に社員の能力と幸福感を向上させること、4つ目が常に正しい商売をすることです。その中でも社員の幸福感を向上させることを普段から大切にしています。社員とのオープンディスカッションで、どのような時に会社で幸せを感じるかをよく話します。仕事がうまくいった時、認められた時、昇進・昇給した時など様々ありますが、共通しているのはその結果やる気に溢れようになるということで、そしてその過程は一人一人異なると思うに至りました。「企業は人なり」とよく言われますが、社員は企業の一番の財産であるとともに一番のコストでもあります。人を如何にして最大限活かしていくかということが経営者として最大の課題であると日々意識しています。



とにかく現場に赴くことを心掛けています。赴任して1年弱の間に、チベット、新疆など一部の地域以外にはすべて足を運びました。平均すると週に2~3日は外にいますが、オフィスにいる3日間と現場にいる3時間は同じ価値と言えるほどです。


社員とのコミュニケーションは質より量を意識しています。言葉は通じなくても表情、しぐさで意思は通じると思っています。今年に入ってから秘書との会話は中国語に変えました。習うより慣れろ、あたって砕けろ型で頑張っています。


PROFILE


理光(中国)投資有限公司

董事長・総経理

宮尾 康士氏 

1968年生まれ、滋賀県出身。岡山大学経済学部卒、株式会社リコーへ入社後、海外マーケティングを担当。2006年に米国駐在し、営業・マーケティングのDirectorを担当。2014年リコー本社へ帰任し、事業戦略部長を担当。2018年4月に上海赴任。リコー中国の経営管理部長を経て、10月より董事長兼総経理に就任。



宮尾さんを知るキーワード

大好きな川遊び


米国駐在中にアラスカやモンタナの原野で夢のような釣りを経験しました。写真はモンタナ州の個人所有の渓谷でフライフィッシングをする長男とガイドです。右上は釣り上げたブラウントラウトです。


影響を受けた言葉



元アサヒビール社長の樋口廣太郎氏が述べた、「人間は生まれつき向上心を持っている。問題を取り除けば意欲は熱気球のように上昇する」という言葉に影響を受け、座右の銘としています。


現場と人が大事



出来る限り、お客様、代理店、社員と対話の時間を持つようにしています。自分の足で稼いで自分の目と耳で、謙虚に幅広く理解を得るよう努めています。写真は北京支店での年会の様子です。



理光(中国)投資有限公司


理光(中国)投資有限公司

住所 黄浦区淮海中路2-8号 蘭生大厦24階 MAP
電話 0411-5238-0222

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