キーマンインタビュー

岩谷産業株式会社/岩谷(中国)有限公司
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岩谷産業株式会社/岩谷(中国)有限公司

  • エリア:浦東

中国総代表/董事長・総経理 亀倉 隆志 氏

ガス&エネルギーを主軸にリソースをフル活用して
世の中に必要なものを届ける


創業者が戦前から中国でビジネスを展開していたなど、中国との長い関わりを有する同社。10年以上に亘って中国ビジネスに携わり、綿々と続く同社の歴史をその一身に担っている亀倉総代表にお話を伺った。



コア事業をメインとした複数の柱

 当社では基本的に、岩谷産業株式会社が日本で行っている業務を同じく中国で展開しています。コア事業はガス&エネルギーです。ガスというのは、様々な産業に用いられる一般高圧ガスと呼ばれる産業ガスがメインで、空気中に含まれる酸素、窒素、アルゴンなどの主成分を取り出し、製品にして販売しています。また、ビールなどの炭酸飲料に入っている炭酸ガスを製造して飲料・ビールメーカーに販売しているほか、半導体や電子部品メーカーなど様々な業界の方にご利用頂いています。エネルギーというのは、熱源であったり、動力であったり、車を動かすガソリンの様な使い方をするガスで、LPG(液化石油ガス)などでお馴染みですが、岩谷産業は日本では特に民生用LPGのトップシェアを誇っていますので、中国でもLPGやLNG(液化天然ガス)の販売を行っています。
 コアビジネスは産業ガス関係ですが、それ以外にも産業用ロボットの販売を手掛けています。日本の大手ロボットメーカーの商品をメインに扱っていますが、仕入れたものをただ販売するだけではなく、ロボットの周辺機器やシステムをセットアップし、ロボットシステム全体として、自動車溶接や精密部品などの各種メーカーに供給しています。
 もう一つの柱はマテリアル、いわゆる原材料です。当社で取扱高が増えているのは、電池の材料となるコバルトやリチウムです。それらを中国の有力なメーカーから調達し、日本の電池メーカーへと販売しています。それ以外に扱っているマテリアルも様々ありますが、素材をそのまま仕入れて売るのではなく、加工を加え、部品にした上で供給しています。例えばファンガードという当社の製品は、針金のような線材を加工してコーティングしたもので、エアコンの室外機のファンに手が入らないようにガードするための製品です。その他にも食器洗浄機のかごや、スマートフォンに貼る保護フィルムや衝撃吸収材など、様々な製品をお届けしています。
 また、皆様お馴染みのカセットこんろ事業では、珠海の工場で製造したものを全国で販売しており、お陰様で中国におけるシェアは50%に達しています。現在、新たな事業の柱とするべく拡販活動を行なっているのが食品事業です。国内外のネットワークを活用し、植物発酵液や青汁など日本産の健康食品の輸入、販売を行っているほか、冷凍食品については業務販路を中心に外食、給食、飲食店へと展開しています。
 当社の本社は北京にありますが、経済の中心地である上海の分公司にてほとんどの社員が勤務しています。東北、華北、華東、華南、香港地区に計12社の連結子会社を有し、各社への各種支援や、株式の出資、戦略立案から資金の有効活用、社員教育といった様々なことを当社が担っています。

戦前に及ぶ中国との関わり

 中国進出の経緯は、1939年に創業者である岩谷直治が上海に店舗を構えたことに遡りますが、現在でも外灘にその店舗が残っています。その後第二次世界大戦の影響で引き上げましたが、日中国交正常化後の1981年に駐在員事務所を設け、30年前に大連に大連岩谷気体機具という産業ガスの工場を建設しました。また、大連市で溶接コンクールを10年連続で実施し、大連における溶接技術の向上に寄与したとのことで、当社の会長が名誉市民として選出されました。昨年の6月に30周年を迎えて契約が満期となりましたが、新たに50年の延長契約を締結し、今後も中国に腰を据えて事業を行っていくと意思表示をしました。やはり中国ビジネスは岩谷産業の海外事業の比率を伸ばす上での鍵であり、中国市場は当社にとって最も重要な地域であると思っています。
 カセットこんろ事業は今から24年前に進出を果たし、当時は中国で安価に製造したものを日本に輸出するという形でしたが、現在では生産した全てを中国で販売しています。それ以外に産業ガス然り、マテリアル然り、日本国内で強みを持つ事業を、縁がある中国で展開していきたいという創業者の思いからそれぞれの事業が始まり、現在へと至っています

「世の中に必要な人間となれ」

 今後はコアビジネスであるガス・エネルギー事業に、より積極的に投資していきます。現在様々なガスを扱っていますが、全てのガスを中国で製造しているわけではありませんので、中国で製造をして販売することに注力していきます。酸素、窒素、アルゴン、炭酸ガス、そしてカタールから輸入しているヘリウムは自社製造と呼べるガスですが、他社から仕入れる割合をより抑え、メーカーポジションを目指しています。全てを自社で生産できればベストですが、そうでないとしても、自社の物流機能を強化することで付加価値を向上させていく必要があります。
 私は中国事業に携わって10年になりますが、これほど変化が早い国において長期的な展望を描くことは困難です。ですから私が社員たちに常々話しているのは、この分野においては、あるいはこの地域においてはナンバーワンと呼べる強みをそれぞれ持つことが大切だということです。現在、そのような強みを有する企業が傘下に12社ありますので、それらをこよりのように束ね、全てのリソースをフルに活用して事業を展開しています。当社の社是は、「世の中に必要な人間となれ。世の中に必要なものこそ栄える」というものですが、これは非常に誇れる社訓です。ですから、中国においても必要とされる状態であればビジネスを展開していくことができますが、自分本位であっては決して通用することはありません。常に必要とされる存在であるべく、例えば産業ガスにおいては常に安定した純度のものを、指定された時間に供給することを心掛けています。また、保安・エンジニアリングのプロフェッショナルによるガス保安・安全管理講習会を定期的に開催しているほか、法規制を含むガスとガス設備の安全管理に関する情報を毎月配信しています。世に必要とされるべく、今後も弛むことなく歩み続けて参ります。


私の使命は、今よりずっと苦労の大きい時代に会社を設立し、諸先輩方が綿々と拡大されてきた地盤を、より大きく、より磐石なものにして次に受け継ぐことに尽きます。


毎年12月に日本の東北地方の行事である芋煮会を行っています。宮城県(味噌ベースの豚肉)と山形県(醤油ベースの牛肉)の2種類の鍋を駐在員家族全員で食べて大いに飲んで1年の無事に感謝をします。子供たちも集まるので途中で怪しいサンタクロースも登場します



PROFILE

プロフィール 
TAKASHI KAMEKURA

1956年生まれ、埼玉県出身。明治大学経営学部卒。1980年岩谷産業株式会社入社。1991年まで仙台支社にて勤務。その後東京本社での勤務を経て、2004年から2010年まで再度仙台支社にて勤務。一貫して産業ガスの営業を担当。2010年から2015年まで上海岩谷有限公司の董事長・総経理を務め、2016年より現職。



亀倉さんを知るキーワード

「ユーモアと笑い」

毎年の元旦に駐在員に言葉を送っています。センスの良いユーモアは雰囲気を和ませ、笑いは健康と成功を得るための薬です。釣り馬鹿日誌のはまちゃんのような社員がたくさんいる、笑いの絶えない職場を目指します。


愛読書


居酒屋とはどうあるべきか、初めて訪れた際はどこに座れば良いか、最初に何を注文すれば良いのかなどといった居酒屋の流儀について書かれています。お客さんにお渡しすると喜んで頂けるので重宝しています。

オシャレなカフェ巡り

平日はお酒を飲む機会が多いので、休日はなるべく中国茶やコーヒーを飲むように心がけています。最近上海ではお洒落なカフェが人気で、私にとって頭と身体をリフレッシュするのに大切な空間です。

岩谷(中国)有限公司

岩谷産業株式会社/岩谷(中国)有限公司

住所 浦東新区陸家嘴環路1000号 恒生銀行大厦18階1814室 MAP
電話 021-6841-0899

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