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中国特許法の手引き(20)

前回は、特許権侵害訴訟に関する内容についてご説明しました。
今回は、均等侵害の概念および均等判断の基本ルールについてご説明します。


① 基本概念

      均等侵害(Infringement b y Equivalents)は、文言上の権利侵害と相対するもので、被疑侵害製品または被疑侵害方法が特許の請求項に文言的意味として記載された保護範囲に含まれないものの、特許権の請求項に記載された技術案と実質的に同等であることをいいます。中国の「特許法」には、現時点で均等の原則に関する一般規定はありませんが、特許権の均等侵害に関する規則が最高人民法院の司法解釈によって定められ、最高人民法院は、司法解釈の中で、均等の原則について相応の規定を設けています。
      特許権侵害訴訟の挙証責任については、通常の民事権利侵害訴訟とほぼ同じで、「民事訴訟法」(2017年改正)第64条に定める「主張した者が挙証する」の原則に従うこととなります。特許権者として権利侵害訴訟において証明を要する主要な内容は、有効な特許権と権利侵害の事実の2点となります。


② 均等判断における基本ルール

     (1)「全要件」ルール
      均等の原則を適用する際には、特許権侵害の判断における「全要素」ルールもやはり堅持する必要があります。つまり、まず請求項について分析し、全ての技術的特徴を確定した後で、被疑侵害技術案に含まれる技術的特徴と請求項における技術的特徴とを1つずつ比較し、被疑侵害技術案の中の置換可能な特徴が請求項の中の特徴と均等な置換を構成するか否かを判断します。
    (2)均等判断における「3要件確認法」
   2つの技術的特徴が均等か否かの判断において重要なことは、一般技術者から見て、かかる置換が「基本的に同一の手段により、基本的に同一の機能を実現し、基本的に同一の効果を達成」するか否かであり、つまり「手段、機能、効果」の3つの要件について確認する方法です。均等物として、全ての分野または全ての目的において完全に一致している必要はありません。それというのも、ある目的において同等な物事であっても、その他の大多数の目的の上では異なることがあり得るからで、特定の環境下で均等な技術的特徴であると認定された場合であっても、別の環境下では何ら関係もないということがあり得ることになります。


③ 均等判断のタイミング

     均等について判断する際は、一般技術者の認識能力が重要な要素となります。均等の原則が実際に用いられるのは権利侵害訴訟の中であり、特許出願日よりも後になります。このような時間差があることにより、1つの問題が生じ得ます。それは、置換技術案によっては、出願時には容易にわからなかったものが、権利侵害時には容易にわかるようになっていることがあるということで、時間的な推移に伴い、このような予見可能性の範囲もより広いものへと変化し得るということです。
     中国の法律には、特許出願時と権利侵害時のいずれの時点の認識能力をもって判断基準とするかが明確にされていません。学説では通常、均等判断のタイミングは、権利侵害の発生時を基準とすべきであり、特許権が付与されたタイミングではないとされています。その理由は、特許法が注目しているのは、1件の特許技術案が一般技術者に与え得る示唆であり、当該権利者自身が特許権付与時に理解したその実際の技術案ではないためです。つまり、将来的な技術の発展や進歩の結果を予見することができたか否かにかかわらず、当該技術案の本文を読んだ一般技術者が、新たな置換技術案を連想できるのであれば、特許法は当該置換技術案に対する独占権を支持されることになります。



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