キーマンインタビュー

世界のワインと大連の
ワイン好きが集う社交場

ワインとの出会いと開店のきっかけ

　地元の瀋陽体育大学で体育専攻で武術を学び、卒業後日本へ留学。東京学芸大学に進学し、研究生としてスポーツ科学を学びました。当時は勉強のかたわら、北京体育大学の先生からの紹介で、日本人に太極拳を教えるアルバイトを2年ほど続けました。レッスン1回あたり2時間前後と短かいですが、武術ができる留学生は少なかったので、時給は結構いただいてましたよ（笑）。また女性芸能人が出演するCMで太極拳の振付を担当した機会もありました。帰国後は覚えた日本語を活かし、大連の日航ホテルで日本語担当のスタッフとして勤務しました。
　ワインと出会うきっかけとなったのは、オーストラリアに住む知人からの紹介でした。彼は100年近い歴史を持つワイナリーを運営しており、そこでしか育たないブドウを使った稀少なワインを生産。生産量が少なく評価も高いこのシラーズ種のワインに魅せられました。フランスワインの三大産地であるローヌ地方で栽培される品種であるシラーは、フランス以外でもヨーロッパやアメリカ各国で多く栽培され、特にオーストラリアではシラーズと呼ばれているそうです。もともとワインに興味があり、お酒を嗜むことが好きだったこともあり、上海でワインバーに立ち寄った際、大連にもこういう場所があったらいいなと考えていました。それからワインのマナーや知識を学び、2013年には初級ソムリエの資格を取得。
　その後結婚と出産、子育てなどで忙しく、しばらくの間仕事から遠ざかっていましたが、半年の準備期間を経て、今年5月念願のワインバー「木白」を大連にオープン。今は息子が2歳になり、まだまだ手のかかる年齢ですが、店舗経営と育児を両立しながら、お店のオーナーとしてシェフとスタッフを束ね、日々奮闘しています。

ワインバー普及の一翼を担うために

　オープンして4カ月目になりますが、これからもより多くのお客様に来ていただければと思っています。現在は中国人のお客様が7割、日本人の方が3割程度。今後は歌手を招き、ワインのカクテルを新商品として売り出す企画を立てているほか、大衆点評（日本の「ぐるなび」や「食べログ」のようなレビューサイト）といったプラットフォームを積極的に活用し、集客につなげていきたいと考えています。
　また当店では南オーストラリア産を中心にスペイン産など、多種多様なワインを取り揃えていますが、大連でワインを嗜む文化はまだまだ受け入れられていない印象です。イベントをみても、大連で開催されるビール祭りの歴史は長い一方で、ワイン祭りは今年で3年目と最近注目され始めたばかり。だからこそ将来は、ワインに興味を持っている人達が集う場所を提供したい。現地の方には我々のようなお店があったからワインを好きになったと、日本をはじめ外国のお客様には本格的なワインバーがここ大連にもあるんだと。大連でワイン文化が広まる一翼を担っていければいいですね。今後は、お客様からフィードバックをいただきながら、経営のノウハウを積んでいけるよう努力していきたいと思います。

PROFILE

りゅう しん

遼寧省瀋陽市出身。瀋陽体育大学で武術を学ぶ。2004年に日本へ留学、東京学芸大学でスポーツ科学を専攻。卒業後大連へ赴き、日航ホテル勤務、バー「Sweet Home」の経営を経て、2018年にワインバー「木白」をオープン。

大連市西崗区不老街172号

℡ 0411-8282-8779