キーマンインタビュー

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星崎商厨智造(蘇州)有限公司
星崎商厨智造(蘇州)有限公司 大連R&Dセンター 副責任者 近藤 修雄氏 2025年4月号
快適な生活環境の創造
お客様第一主義の徹底
総合フードサービス機器メーカーとして飲食サービスをトータルでバックアップ
ホシザキグループでは、1947年の創業以来、「オリジナル製品を持たない企業に飛躍はない」をモットーにし、モノづくりの「極限への挑戦」を果敢に続け、新しい技術と創造力で製氷機をはじめ、さまざまな製品を世に送りだしてきました。一方、モノづくりに専念するだけでなく、販売・サービスにも力を注ぎ、グループ全体で、お客様一人ひとりのご要望にキメ細かく対応できる体制を築いて参りました。新世紀を迎え「食」に対するニーズがますます多様化し、私たちの業界は迅速な変化への対応が求められています。ホシザキグループは、こうした流れに対応するため、これまでにも増して体制強化を図り、お客様に迅速で的確な、質の高いサービスを提供して参ります。そしてグループ全社員の力を結束し、お客様のみならず、社会に貢献できる「進化する企業」であることを目指していきます。当社の主要製品は全自動製氷機、業務用冷凍冷蔵庫、業務用食器洗浄機、ビールディスペンサーをはじめとする各種業務用フードサービス機器です。製氷機約6割、業務用冷蔵庫約5割の日本国内シェアを持つなど、国内外で業界を牽引しています。飲食店やスーパーマーケット、オフィス空間、農水産業に至る幅広い分野で、より快適でより効率的な食環境の創造に寄与しています。
中国での事業進出に伴う私の赴任経緯
1998年に北京市にて駐在員事務所を開設して以降、2004年に上海市にて星崎冷熱機械(上海)有限公司(販売機能)を設立し、2006年に江蘇省蘇州市にて星崎電機(蘇州)有限公司(製造機能)を設立し、急速に変化する中国市場とお客様のニーズに応えるため、2024年に遼寧省大連市にてR&Dセンター(開発機能)を開設しました。更に、機能間での連携スピードを速めるために、2025年に3社に分かれていた開発、製造、販売の機能を1社に統合し、星崎商厨智造(蘇州)有限公司(以下、星崎蘇州)として中国事業を再編しました。星崎蘇州は、中国だけでなくアジア全域の製造、開発拠点として、業務用冷蔵庫、製氷機等の生産、販売をしています。現在、日本以外の海外事業の拡大を積極的に推進していますが、その中でも、中国は最重要市場の一つと位置付けています。
私の中国との関わりは、2006年の蘇州工場設立に合わせた中国生産用の製氷機の開発から始まりました。以後、量産立上げや、追加機種の開発等で蘇州工場への出張を何度も繰り返してきました。現在蘇州工場で生産している製氷機の過半数は私が開発に携わった製品です。工場立ち上げ初期の出来事として、中国生産製氷機の1号機を成都に出荷したのですが、客先に届いたら輸送の衝撃でフレームが変形してしまったことがありました。慌てて、補強を追加した製品を送り直して対応させて頂きました。日本や米国向けと同じ感覚で製品強度の設計をしていたのですが、当時の中国の道路事情を全く理解できていませんでした。
一昨年、大連で地元の優秀な人材を採用してR&Dセンターを立ち上げることになった際に、蘇州工場の製氷機に一番詳しいのが私でした。当時、日本で在籍していたのがグローバル技術部で、海外グループ会社の開発技術部門の支援をしていたこともあり、R&Dセンターの早期立ち上げに最適と判断されました。そして、私の最大のミッションは、採用した優秀な人材が一日も早くホシザキの製品開発スキルを習得し、大連での開発業務を軌道に乗せることです。また、製造工場がある蘇州にも開発部門がありますので、双方の連携を深めて商品開発スピードをさらに進めることも重要な課題と認識しています。現在は、日本本社との連携や中国内での調整も私がカバーしていますが、最終的にはこちらのメンバーのみで継続して開発ができる体制を構築することが求められています。昨年度の半年間だけで、大連R&Dセンターの実績として主にKA(キーアカウント)向けのカスタマイズ製品開発を複数行いました。それらは、まだ実店舗では稼働しておりませんが、チェーン店の本部等で試験評価をして頂いています。今年度からは今までにない新商品の開発にも着手しています。
すべてのことは夢から始まる大連R&Dセンターの夢を叶えよう
ポストコロナの中国飲食市場においては、消費者の食に対する嗜好の多様化、レストラン、ティー&コーヒーチェーン、ファーストフード、ベーカリーなど多様な業態の飲食チェーン店による開店増加などの構造変化が起きています。その変化に対応するため、これらの主要チェーンをKAと定め、専門の営業、開発部門を設け迅速に対応できる体制を構築しています。また、従来は新技術の開発は日本で行っていましたが、中国のスピードや価格に適応するため、大連での開発に取り組んでいます。高品質という評価は中国国内でも一定の認知をして頂いていますが、さらに価格でもローカルメーカーと勝負できる価格帯の商品を充実させていくことが今後の課題と考えています。ホシザキの強みである品質の高さを維持しながら、意思決定・開発プロセスのスピードを速めます。飲食店の求める仕様・価格帯のテスト用製品を最短1カ月で開発・納品し、テスト結果に対する要望を臨機応変に反映させ、迅速にオーダーメイド製品を量産・納品できる体制を整えています。機能集約による合理化も推進し、価格競争力強化へも繋げていきます。
コロナ禍での経済的なダメージにより、特に多店舗展開する飲食チェーン店では、1店舗あたりの投資コストを抑制する動きが顕著になっています。このようなチェーン店では、通常製品ではない、多数の店舗共通のオーダーメイド製品を低価格かつ短納期で求める傾向にあります。さらにホシザキでは、欧米や日本での市場経験から、今後中国でも全飲食店に占めるチェーン展開する飲食ブランドの割合が増加すると見込んでいます。ホシザキは、このような市場変化に対応できるビジネス構造へ転換し、今後の中国事業全体での長期的成長を目指していきます。
2025年3月に今年統合した新会社の開業式を行いました。中国の開発・製造・販売が一体となり、One Chinaで中国事業を拡大していきます。日本本社の社長が参加し、中国市場No.1へ向けて日本からの支援を強化するという、強い決意表明がありました。
プロフィール
こんどう のぶお
1973年生まれ、愛知県出身。立命館大学理工学部卒業後、1996年星崎電機株式会社(現ホシザキ株式会社)に入社。入社以来、業務用製氷機の開発を続ける。2001年から5年間、グループ会社のHoshizaki Americaへ赴任し現地技術者と共にアメリカ向け製氷機の開発を担当。帰国後は主に中国工場で生産する製氷機の開発を担当し、2024年5月より大連の副責任者として赴任。
ホシザキの経営理念の中に「変化は進歩である、今の延長線上は破滅への道」という言葉があります。新製品開発や、新技術を取り入れた商品をリリースする場合、予期しない問題が起こることがあります。失敗を恐れずに挑戦する姿勢がホシザキの強みだと実感しています。
近藤さんをさらに知る
ねむの木会(テニスクラブ)
テニスは私の最大の趣味で、毎週日曜日の朝に大連市内の労働公園や学苑网球でテニスをしています。日本人だけでなく中国人の方もたくさん参加されており、とても楽しい良い交流の場になっています。
旅行(九寨溝、黄龍)
2024年11月に四川省の九寨溝、黄龍に行きました。中国には素晴らしい景色や歴史がたくさんありますので、中国赴任中にできる限り多くの場所を訪問したいです。次は張家界へ行く計画をしています。
愛知県人会
愛知県出身者と愛知県に自宅のある方々で親睦を深める会です。同郷の方々には、大連で知人が少ない時からいろいろと助けていただきました。いつも楽しく交流させて頂いています。
星崎商厨智造(蘇州)有限公司大連R&Dセンター
大連市甘井子区春田園C-5号303室
℡185-2544-8524
星崎商厨智造(蘇州)有限公司
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