キーマンインタビュー

株式会社良品計画
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株式会社良品計画

代表取締役社長 松﨑 曉氏

世界で通用する生活の基本をユーザーの欲しい形で届ける


1991年に香港へ進出し、現在香港で17店舗、アジア全体で300店舗以上を展開する同社の松崎社長に、世界に通用する経営理念と、今後の展望を伺った。


香港の成功が礎となった海外事業

 無印良品は1991年に永安グループとの提携で香港進出しましたが、1998年に全面撤退し、2001年に再び無印良品と西友のジョイントベンチャーとして、香港での展開を始めました。当時、沙田にオープンした第一号店は、 開店初日の売上高が過去最高を記録し、1991年からずっと赤字続きだった無印良品の海外事業は香港再進出の2年目に黒字転換を果たしました。これは、無印良品の海外事業史上最も重要なマイルストーンであり、香港での成功が海外事業の基礎を作ったといっても過言ではありません。
 香港で成功した大きな要因は、「海外事業」を特別な事業だと捉えずに日本と同じお店を作ったことだと考えます。店舗設計から品揃え、オペレーションまで、日本の店舗をそのまま再現することができ、香港のお客様もそれを非常に気に入ってくれました。

海外でも貫きたいシンプルな経営

 無印良品が世界で通用する理由の一つは「シンプル」であることだと考えます。これは商品に限らず、経営でも言えることです。例えば、物件の交渉ひとつ取っても、「多くの時間をかけない」、「決断が速い」、「いろんな人が登場しない」などを心掛けています。決まった担当者が非常にシンプルな交渉を行い、駆け引きをせず、常に直球。賃料予算は一旦決定したら変えず、それでだめだったら、すぐに次を探します。また、社内でも、風通しがいい経営と部下が思ったことを直接言える環境づくりをを大切にしています。
 2017年は、無印良品の海外店舗数が初めて日本国内を上回りました。これからも、どんどん差が開いていくと思います。そのため、グローバルな仕事ができる人材の育成が課題になってきます。各地の雇用慣行には違いがありますが、世界のどこに進出しても、「無印良品が好きな人が働く会社」であり続け、それを強めていくことが、今後自分たちの大きな挑戦です。

信頼関係で紡いだ合弁事業

 台湾では、無印良品は統一グループとの合弁事業として進出しました。後に全株式を所得しましたが、資本関係がなくなった今も、台湾の事業展開における重要なパートナーとして友好な関係を続けています。例えば、統一グループが運営する台湾のセブンイレブンには、今でも無印良品の商品を置いています。
 無印良品の商品は、高級ブランドと並んでも違和感がなくしっくり馴染みます。我々のパートナーとのあり方もその通りです。常にお互いが自分の持っている意見を出し合い、接点を見つけることが無印良品の文化であり、無印良品のフィロソフィーの力強さだと考えています。商品のように、違和感なく無印良品と交わっていける、このような信頼関係がないと海外での合弁事業は困難だと思います。

世界に通じる「生活の基本線」

 無印良品は、生活の基本となるもの、生活に必要なものを必要な形で作るという理念でものづくりをしています。その目指す先は、生活に役立つこと。美しい商品や優れたデザインは追求していません。本当にお客様が自分の生活の中で使え、役に立つことが目標です。
 生活の基本線は、世界のどこに行ってもあまり変わらないものだと考えます。我々は新しい地域へ進出する際に、マーケティング調査は一切行いません。昨年インドに進出したときもしかり、来年はベトナム進出も予定していますが、現地にはすでに無印良品のお客様がいると想定しています。生活に本当に必要なものを必要な形で作っている限り、マーケットの需要はユニバーサルなものだと信じています。
 しかし同時に、人々の生活の基本はどんどん変化しています。例えば、現在無印良品で販売されている「アロマディフューザー」。これは、無印良品が設立された1980年代には生活の基本ではありませんでした。そのため、今の無印良品はどうあるべきかということを常に探求しています。今年年内に、深センで初めての「MUJI HOTEL」がオープンする予定です。私は大学時代に初めて海外へ行きましたが、今や旅行や海外出張は一般的です。旅が特別なものでなくなった今、無印良品も「MUJI to Go」やホテル事業を通じて、日常性を旅路や旅先で実現していきたいです。 
 これまで、無印良品はお客様に家庭用品を提供してきましたが、これからはオフィスや公共の場所に商品を供給できるような会社になっていきたいと思います。公共空間の分野では現在、成田空港のLCCターミナルで無印良品の家具やソファが使用されています。オフィス分野では、自社オフィスのリノベーションとともに、オフィス家具を日本で売り出し、中国でもオフィスリノベーションサービスを開始しました。こういった新しい分野に、無印良品としてどんどん進出していきたいと思います。



九龍塘のショッピングモール「Festival Walk」にて無印良品の新店舗が4月にオープン。奥海城店に続き書籍コーナー「MUJI BOOKS」が併設された第2の店舗となった。


PROFILE

まつざき さとる

千葉県出身。1978年中央大学法卒、後に西友ストアー(現・西友)に入社。2005年、良品計画に入社し、海外事業部アジア地域担当部長に就任。2008年に、執行役員海外事業部中国担当部長として香港に赴任。2011年に帰国し、常務取締役に就任。2013年に専務取締役、2015年に社長として就任し、現在に至る。


<松﨑さんを知るキーワード>

中期経営計画がスタート


良品計画の集会にて、2017年度よりスタートする新しい中期経営計画(2017~2020年度)を発表しました。2020年度の営業収益5,000億円、営業利益600億円、ROE15%以上を目標として取り組んでいます。


「MUJI Philippines Corp」を設立


2010年から事業を展開しているフィリピンで、今後の事業強化・拡大のため、現地企業のストアーズ・スペシャリスツ社との間で合弁会社「MUJI Philippines Corp」を設立しました。写真は、フィリピンでの調印式にて。


インドの首都デリーに出店


2017年5月5日にインドの首都デリーに「MUJI Select City Walk」をオープンしました。インドへは、2016年8月にムンバイ、9月にベンガルールに出店し、合計3店舗を展開しています。良品計画は、インドに出店した初めての日本の小売業になりました。




株式会社良品計画

住所 〒170-8424 東京都豊島区東池袋 4-26-3 MAP

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