中国で成功する人事!
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中国で成功する人事!
研修だけで社員は変わるか
日社員の意識を変え、スキルを上げるために、研修を計画されている企業は多いでしょう。
今回は、求める効果が研修だけで充分に得られるかを考えてみたいと思います。
春節が明け、日本の新年度が始まる4月以降は、在中国日系企業において研修が本格的に始まる時期です。日々多くのお客様とお会いして気が付くのは、研修の費用対効果に不安をお持ちの方が多いことです。これに対して、私どもとしては大きく分けて2つのことをお話しています。
1、適切な研修を継続する
研修を計画する際に大切なことは、対象者とテーマの選定です。
対象者について言えば、社員の構成をピラミッド型の階層に例えると、管理者研修を課長より下の階層から部長クラスの方まで同時に実施したとします。この場合、経験値の差から、下位階層の社員の一部はよく理解できず消化不良になり、上位階層の方には既に知っていることやできることが多いことから、参加した時間が無駄であった、ということが起こり得ます。このため、研修のテーマによっては、受講者の階層分けが大切になってきます。
次に大切なことはテーマの選定です。お客様とお話していますと、「去年は○○についてやったので、今年は何がいいだろうか」というご相談をよく受けます。テーマ選定をもし、何か新しいものという視点だけで行いますと、本来選ぶべき方向性を見失う恐れがあります。
望まれるのは、①会社の経営方針から落とし込まれた事業戦略、組織戦略、人事戦略に基づき、今どの階層の社員に対して何を強化すべきなのかを明確にすること②会社のミッションや経営理念などから導かれる「求める人物像」と社員の現状にどれほどのギャップがあり、それをどう補うべきかを明確にすること。この2つの視点で、テーマ選定を行うことです。
また、スキル系の研修(プレゼンテーション、ネゴシエーションなど)を除けば、どんな良い研修でも、一回だけで社員の意識や能力が飛躍的に向上するのはなかなか難しいことです。
このため、充分吟味された研修を、レベルアップしながら継続することがとても大切です。
2、研修と人事制度はミッション実現のための両輪
では次に、研修だけで経営者の目的にたどり着くことは可能かどうかを考えてみます。
例えば、社員の多くが現状の人事制度(評価と処遇の関連など)について大きな不満を持っている場合は、もし良い研修を実施したとしても、一般的にその研修の効果を充分見込むことは難しくなります。
実は、研修と人事制度は社員のモチベーションを上げ、業績達成を通じて会社のミッション実現に繋げるための重要な両輪なのです。今年社員に研修を実施しようと計画されている皆様、ぜひ一度貴社のお考えを俯瞰してみて、研修だけに重点を置いていないか見直してみてはいかがでしょうか。