キーマンインタビュー

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麒麟(中国)投資有限公司
董事・総経理 安武 直幸 氏
たくさんの笑顔をお届けし
生活の質を高めることに貢献
酒類・飲料を中心とした食事業、医薬事業、ヘルスサイエンス事業をグローバルに展開するキリングループの子会社「麒麟(中国)投資有限公司」。2004年より、中国酒類事業の統括、中国事業戦略の制定、投資会社への経営サポート、中国全土におけるキリンブランド製品の販売などの役割を担う董事・総経理の安武氏に話を伺った。
中国のお客様にビールの美味しさと飲む喜びを届ける
1885年に前身であるジャパン・ブルワリー・カンパニーを設立して以来、明治、大正、昭和、平成、そして令和の時代を駆け抜けてきました。おかげさまで日本では多くの方にキリンビールをご愛顧いただいております。
ここ中国のビール市場は日本の約8倍、世界最大の規模を誇ります。従来は1缶3元程度のエコノミービールが市場の大半を占めていました。しかしながら近年では、生活水準が向上したことや西洋料理や日本料理などの異国の食文化の浸透によって嗜好が変化しつつあり、クラフトビールやプレミアムビールの消費が急速に伸び、市場シェアを拡大。輸入を含むプレミアムビール市場は日本の市場全体をはるかに超える規模です。また、ノンアルコールや糖質カットなどの健康機能系商品への注目も集めています。中国のお客様の消費力の拡大、体験型の消費文化の浸透、健康志向の高まりなどによる消費行動の変化に起因するものだと思います。
弊社は、このプレミアム市場をターゲットにした商品を中国で提供しております。広東省珠海市の独資工場にて生産している「一番搾り」は、日本から派遣している総経理、工場長のもと、日本と同じ製造技術・原材料で作る高品質のビールです。中国では硬水が一般的ですが、珠海工場は日本同様に軟水を使用しています。原材料だけでなく、製法にもこだわり、キリン独自の一番麦汁だけを搾って製造する、すっきりしたコクの「一番搾り」を可能にしております。
フラッグシップブランドである「一番搾り」に加え、糖質カット製法により、おいしいビールで糖質ゼロを実現した「一番搾り糖質ゼロ」、芳醇なうまみを味わいつつも雑味がなくて飲みやすい味わいの「一番搾り黒生」や、季節限定商品である「とれたてホップ一番搾り」を日本から輸入し、販売を行っています。また、同じく原料と製法にこだわり、レモンやオレンジ、グレープフルーツなどの果汁とお酒だけで製造した「本搾り」を日本から輸入し、中国での販売を開始。これらのブランドを通じて、お客様が温かい気持ちに包まれ、自然と笑顔がこぼれてリラックスし、より生活を楽しめる場づくりができるよう社員一丸で取り組んでいます。こういった仕事ができることは、社員一同とてもやりがいを感じています。
夢が叶えられる会社をつくりたい
私はこの会社を「夢が叶えられる会社」にしたいと考えています。社員一人ひとりが仕事に対して意義や使命感を感じながら、仕事を通じて成長し、全員で目標を達成し、そして全員が幸せな生活を送ってほしいと、いつも願っています。そのために私が社内で言い続けていることは「メンバーの中からたくさんのヒーロー・ヒロインを生み出していく」ということです。上司から言われたことだけをやる、それは仕事ではありません。自ら考え、そして自らが行動することが、とても大切です。自らアクションを起こせば、必ず壁や障害にぶつかりますが、それを乗越えるからこそ成長があるのです。夢を見つける、ということは多くの人にとってはとても困難なことです。どんなことをしている自分がキラキラしていて好きなのか、これからどういった人生を歩みたいか、答えはすぐに出るものではないでしょう。日々の生活の中で、自分と向き合いながら、その答えを探し続けなければなりません。人生は一度きりであり、そして人生の主役は自分自身です。社員には、自分がやりたいことに夢中で取り組んでほしいと思います。
中国をキリングループのグローバルビジネスの核心へ
私自身は、世界中で笑顔を作れるこの仕事に一番のやりがいを感じています。世界中の人にキリンブランドを楽しんでいただき、豊かな生活を提供すること、そしてその場づくりに貢献できていることをビジョンにしています。この仕事を通じて、微力ながらも中国の発展にも貢献していきたいです。
先述したように、キリンビールは日本で100年以上の歴史があり、これまでに多くのお客様に愛されてきました。創業以来、「お客様本位」「品質本位」を大切にしています。ここ中国においてもそのDNAを受け継ぎ、末永く愛される会社にしていきたいと思います。
これから人の往来が戻り、多くの中国の方が日本と行き来することができるようになれば、もっともっと日本のことを知っていただき、好きになっていただける機会が増えると思います。近年、非常に喜ばしいことに中国でも「一番搾り」ブランドをご愛飲いただくお客様が増えてきています。ビール特有の苦味が少なく、クリアなビールである「一番搾り」を飲み、「今まで飲んできたビールと違う」と感じる方が多くなったことで、ブランド認知度も上がってまいりました。今後、少子高齢化や健康志向など、社会が抱える課題に対して、キリンならではの視点から価値創造をし、中国が日本に次ぐ第2の市場となるようにしていきます。たくさんのヒーロー・ヒロインが中国全土で活躍し、たくさんの笑顔をお届けしてまいります。
すでに上海の厳しい暑さが続いていますね。そんな猛暑も、弊社のビールで乾杯して乗り切りましょう!
PROFILE
プロフィールNaoyuki Yasutake
1977年生まれ、福岡県出身。2000年にキリンビール株式会社(現キリンホールディングス株式会社)入社。工場総務、営業部門、ドイツ駐在、IR室、熊本支社長、南部九州支社長、横浜支社長を経て、2022年7月に上海に赴任。

転勤先では現地の文化・風習を大切にしています。できる限り現地で愛されているものを食べ、現地を知るようにしています。辛い食べ物も苦手でしたが、大汗をかきながら、少しずつ食べられるようになりました。
毎年ミュンヘンで開催されるオクトーバーフェストに合計10回参加。各テント内では生バンドが演奏し、曲の合間には「乾杯」の掛け声が入り、お客様の盛り上がりも最高潮になります。ビール好きな方には絶対おすすめです。
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