キーマンインタビュー

無印良品(上海)商業有限公司
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無印良品(上海)商業有限公司

董事 総経理 山本 直幸氏

中国160店舗達成!
土着化を基盤としながら、
更なるグローバル化を目指す


昨年12月、上海に中国最大の世界旗艦店をオープンし話題を集めている「無印良品」。破竹の勢いで出店を続ける同社のパワーの源を探るべく山本総経理を直撃した



実は紆余曲折、無印良品の海外進出


 「無印良品」は現在、世界25カ国55都市に、750店舗以上を展開しています。1980年、日本がバブルに向かっていく中で、全世界に通用し、地球環境に優しい商品開発とは何かを、デザイナーの田中一光先生を中心にブレストを行い出来上がったのが、シンプルで機能重視という無印良品のコンセプトとなります。海外初進出は1991年。ロンドンと香港に、それぞれ現地企業と提携する形で出店。ただ当時は、海外展開のノウハウを心得ているスタッフが少なかったことから、現地運営は困難をきたしました。一度は撤退を余儀なくされましたが、失敗を経験したことで学ぶ点も多く、改めて基盤を固めた上で再び香港に進出。地道に売上を伸ばしながら、台湾や韓国といった東アジア都市へも出店を進めていきました。中国本土への初進出は2005年、上海の南京西路に建つ百貨店内にオープン。ところが始め5年ほどは、商標問題の解決に時間を要し、出店スピードが伸びない時期がありました。無印良品の類似品は現在でもショッピングサイト「淘宝」などで横行しており、年間3万件ほどを駆除し続けていますが、特に進出当時は大きな弊害となりました。これらに毅然とした態度で立ち向かうこと数年。結果、出店スピードが軌道に乗り始めたのは2011年頃でした。それから約5年。現在管理総監を務める夏鋒の尽力もあり、昨年末の時点で中国本土の出店数は160店舗を達成。約750ある海外店舗のうち、実に20%以上が中国にあるという目覚しい発展を遂げたと言えます


建て直しと現地化に尽力した数年間


 出店は急ピッチで進んでいきましたが、しかし2011年頃は、必ずしも順風満帆とは言えない状況でした。私が董事・管理総監として上海へ来たのもこの頃ですが、実は赴任には「現地の仕組みの建て直し」といったミッションが込められていました。私自身これまで、固定資産を含む経理・営業・物流と多岐にわたる業務を経験していたこともあり、管理面の改善に適任だと白羽の矢が立ったのでしょう。まずやるべきは、物流・システム・会計の基盤整備でした。たとえば物流ひとつとっても、当時は日本から直接、商品を一括で送る通過型の物流形態が主流。結果、店頭では受けられない大量の在庫が発生するケースも。これを解消するために物流システムの変更を実施、各店の状況に応じて受発注ができる仕組みを作るなど、商流の正常化を推進。さらに「発票の扱い方」といった契約ごとから、会計業務、物流・システム改善にいたるまで、従来の動作をひとつずつ紐解き、中国に即した仕組みへと整えていく作業を重ねました。結果、赴任後約1年で、商流正常化が実現へと向かいました。海外運営のポイントは、日本の常識が、必ずしも世界の常識ではないと知ることだと思っています。「日本流」を上手に壊しながらローカルスタイルを取り込む…これは我々が大切にしている「土着化」の概念にも通じることですが、いかにローカルスタッフを主導とする現地流のオペレーションを構築するかが肝要です。現在、中国には、店頭を含め約7000名(常勤換算で約4000名)のスタッフが在籍しているのですが、日本人は私を含めて9名のみ。この点からも、無印良品がモットーとする「土着化」を感じていただけるかと思います。


世界旗艦店オープンに込めた思い


 昨年12月、上海の淮海路沿いに、中国最大のフロア面積を備えた世界旗艦店が誕生しました。無印良品のコンセプトを多くの方々に向けて情報発信していくため、一級都市には旗艦店を構えたいと考えています。さらに今回は、食や本など様々な角度からMUJIの世界観を感じてもらえればと「知覚に響くフロア」を念頭に新たな仕掛けを実現。成都に続き中国2展開目となる「Cafe&Meal MUJ I」や、商品の発見とヒントに繋がる「MUJI BOOKS」の中国初導入などが話題を呼び、開店当日の売上は、無印良品のオープン初日の単店売上記録を更新する盛況ぶり。上海の力を改めて体感することとなりました。今回のオープンに際し、食品ほか約300アイテムを追加導入するなど、日本側を含め、親会社も子会社も組織全体が団結し、オープンに向け集中して仕事ができたことが成功の鍵だと感じています。広報活動を通して宣伝部隊も大きく成長しましたし、開店前夜には祈るような気持ちで陳列に手を入れる店頭スタッフの姿も。そして当日は、管理部の社員も売り場に立って、皆で一緒にお客様をお迎えしました。旗艦店のオープンという壮大なプロジェクトは、組織を強くする材料になり得るのだと実感しました

 ホッとしたのも束の間、新店舗の好調にアグラをかいていてはいけません。好調な今だからこそ、歩みを止めず、次の仕掛けへ踏み出すこと。中国のお客様の「感じの良い暮らし」のために何ができるかを常に考え、無印良品は今後も進化していきます。




 華美なブランドを好む傾向のある中国だが「そういうものも欲しいけれど、シンプルなものもいいねと、中国の第2世代のお客様は感じ始めている」と山本氏。「無駄を省いた簡素な美しさや、ものを大切に使い続ける素晴らしさを、中国でも伝えていきたい」と話す


PROFILE

無印良品(上海)商業有限公司

董事 総経理

山本 直幸氏

 1968年生まれ。1991年に株式会社良品計画に管理部経理担当として入社。1995年より販売部へ。その後、「無印良品天神店」「LUMINE北千住店」の店長を経験し、2001年に本社・販売業務課長。物流部長を経て、2008年にシンガポールの子会社の総経理となる。2011年より、無印良品(上海)商業有限公司董事・管理総監として中国に赴任。2014年より董事・副総経理営業総監、2015年9月より董事・総経理を務める。


山本さんを知るキーワード

組織の団結の大切さを説く言葉


 座右の銘は、殷の時代の実話が由来の言葉。「一人ひとりが優秀でも、何のための仕事であるかを理解し、団結していなければ、大きな成果は出せません。各リーダーが全体の調和と団結を執ることで、厳しい峠も乗り越えられるのだと考えています」


旗艦店のテープカットに出席


 12月12日の上海旗艦店のテープカット式。良品計画の松崎曉社長らとともに、山本さんも参加しオープンを祝った。開店時には、空間デザインを務めた杉本貴志氏をはじめ、原研哉氏、深澤直人氏、小池一子氏など、アドバイザリーボード全員が集結し話題を呼んだ


商品の価格見直しを推進中!


 より多くの顧客に選んでもらえるよう、山本さんが中国で取り組んでいるのが「新定価」。昨年までに474アイテムの値段を平均16.4%減とするなど、価格の見直しに尽力。写真は対象商品のひとつ、組み合わせ自在の収納アイテム「スタッキングシェルフ」


无印良品(上海)商业有限公司

石門一路211号旺旺大厦6階
6375-6677
www.muji.com.cn


詳細は無印良品(上海)商業有限公司

無印良品(上海)商業有限公司

住所 上海市静安区石門一路211号旺旺大厦6階
電話 021-6375-6677

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