キーマンインタビュー

創業以来70年間変わらない

ものづくりに取り組む姿勢で

ものづくりへの情熱を世界へ発信し、人が集う空間をコーディネイトするオカムラ。事業を多角化しながら、より顧客の満足度を高めるためのこだわりとは？

ものづくりに携ってきた70年間

　オカムラはオフィスを始め、教育・医療・研究・商業施設などさまざまなシーンにおいて、質の高い製品・空間づくりを提供している会社ですが、1945年創業当時は、航空機製造の技術者たちが資金を持ち寄り、自動車部品の製造を手がけていました。その後、スチールデスクやイスなどの生産や国産飛行機、自動車開発も手がけました。60年に「関西岡村製作所（大阪）」を設立。ショールームの新設や米国との提携を経て、製造発売を本格的に開始しました。また、イスの博物館やオフィスラボも開設。現在では欧米、東南アジア、中東、そして中国と、世界9カ国13拠点と代理店ネットワークを構築しています。

多角化する中国での事業

　中国におけるオカムラの事業活動を一言で表現すると「人が集う空間をコーディネイトする」ということになります。これまで中国では、「オフィス環境事業」「公共施設事業」「商業施設事業」「物流システム機器事業」といった4本の柱を基礎に、事業の多角化を推進してきました。中国での第一歩は、1996年、上海の虹橋開発区に小さな連絡所を設けたのがスタートです。10㎡足らずの小さなオフィスで、各事業担当者合計3名で活動を始めました。現在、オカムラの中国事業を統括する上海出身の董事長・張本国民も、私も、その立ち上げメンバーです。
　まず初めに、具体的な営業活動に着手したのが「オフィス環境事業」です。当時、日系を含む外資系企業の進出ラッシュの中、ローカルのオフィス家具はまだ市場を満足させるレベルではなく、質にこだわるオカムラ製品は、順調に中国市場に受け入れていただくことができました。しかし、その後は、輸入税率の高騰、貨物の行方不明、現場トラブル、代理店との連携など、プロブレム＆ソリューションの連続でした。2000年に入ると、上海浦東国際空港の開業に伴い、空港のロビーベンチ2万2千脚の大型受注に成功。品質、サービス体制と価格面のバランスが取れていたことが、日系メーカーでは無理といわれていた中国の国家プロジェクトの受注に繋がったと思っています。この受注実績は、弊社にとって大きな自信と、マーケットに対する説得力になったと自負しています。そして、同実績が、上海万博センター（上海世博中心）や虹橋空港第2ターミナルの他、図書館・病院といった様々な公共案件の受注に広がりました。また「商業施設事業」では、お客様の店舗づくりのお手伝いからバックオフィスや倉庫などの付帯工事へと発展するケースが増えており、オカムラの総合力を生かしたサービスを提供しております。そして、物流システム機器の分野は、物流作業の「早く」「正確に」「安全に」を実現し、製薬会社・精密機器メーカー・空港など様々な物流センターのシステム改善の提案から、ソフトウェアの開発、機器導入、運用支援まで実績を重ね、今や中国ビジネスを支える大黒柱へと成長しました。

お客様にさらなる満足度を

　現在、オカムラグループは、中国に現地法人5社（上海・北京・成都・東莞・杭州）を構え、その中には2カ所の生産拠点が含まれます。売上構成では中国資本の顧客が約7割を占めており、今後も中国流の「スピード」と「行動力」で、更に地元に根付いたビジネスを展開できるよう努めて参ります。しかし、業界の「スピード」に常に気を配ることも必要です。残念ながらモラルに欠けるメーカーが存在するのも事実です。オフィス家具の開発には途方もないプロセスがあるにも関わらず、我々が丹精込めて開発した商品を発表すると、1年たたずと模造品が姿を見せます。外観だけを真似たものが出回り市場が混乱することも。当然、この手のものがお客様の満足を得る事はなく、排除すべき問題として対処していく所存です。
　今後、特に「オフィス環境事業」では、お客様により一層ご満足頂けるよう品揃えを強化していきたいと思っています。昨年の広州展示会に続き、今年も「CIFF上海国際家具展示会」で数々の新商品を発表いたしました。近く、上海中心部にショールームも新設する予定なのですが、それも高質な情報発信とお客様との「交流の場」になればとの思いです。また、内装工事・PM業務といった付帯業務をワンストップでご提供できるよう、昨年「上海岡村建築装飾」と、さらに物品の調達を強化するため「岡村貿易（上海）」を設立しました。
　弊社の特徴である「多角化」を進めていく中で、各事業部間の相乗効果を高めていくことが大切だと考えています。また、近隣国に設置している各拠点間でも、しっかりと連携がとれたシナジーができれば、お客様にとっての満足度も高まるはずです。こういったWin-Winのビジネスモデルを増やしていけるよう努めて参ります。

「今後も市場動向に応じたネットワーク作りを強化しながら、メインとなる第一線都市でのサービスの質が低下しないよう努め、中国のみならず、どこの国へ行っても安定したサービスを提供できるよう、海外ネットワークの構築にも力を入れていきたい」と話す

PROFILE

上海岡村家具物流設備有限公司 董事 副総経理

上海岡村建築装飾有限公司 董事 総経理

久保 遊之氏
　1966年東京都生まれ。東京経済大学・経営学部卒業後、株式会社岡村製作所入社。海外営業本部にて中近東・東南アジア各国への営業などを担当。1996年、中国支社の立ち上げにも携わる。タイ現地法人代表を経て、2012年6月に中国・上海へ。昨年、上海岡村建築装飾有限公司の総経理にも就任。

久保さんを知る3つのキーワード

上海国際家具展示会に出展

　9月に開催された「CIFF上海国際家具展示会」で発表した会議テーブル「V conference table」。米大手設計会社・HOK社とのコラボ製品。ホームグラウンドでの展示会で、多くの新製品を発表した

歴史勉強会ツアーに参加

　中国人社員が講師＆ガイド役を務め、「駐在員歴史勉強会ツアー」を定期開催しているとか。「駐在員ももっと中国文化や歴史を学ぼうという目的で、先日は日本とも縁の深い揚州・蘇州へ行ってきました」

大の音楽愛好家

　「小学5年生で初めてギターを手にして以来、音楽活動を通じて多くの人と触れ合ってきました。音楽に国境はなく、一緒に歌い笑う時間が宝物」。弾き語り活動で生活のスイッチを切り替え交友を広げている

上海冈村家具物流设备有限公司

詳細は　上海冈村家具物流设备有限公司