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ジャパンブランド最前線 外食産業
外食産業3社による、日々変化する中国市場で勝つための意気込みに迫ります。
食文化の壁を越え
やまやの明太子を世界へ
株式会社 やまや食工房
ステーキ&ワイン 龍 ~RON~
Since 2011年9月
海外事業部
RON 料理長兼支配人 加藤琢次さん
2010年入社。一貫してレストラン事業に携わり、大連への出店計画から立ち上げ、運営全般まで関わる。海外勤務は大連が初めてとなる。
明太子の㈱やまやコミュニケーションズの100%子会社で、もつ鍋、天ぷら専門店など日本国内16店舗、海外はカリフォルニア、ソウル、台北、大連の計7店舗を構えます。ここRONはグループ初の洋食店となります。
ワインの種類、その保管方法から食材、サービスに至るまで日本品質を掲げて運営に当たりますが、全てを日本同様にするのは難しいことです。日本産でなくとも、中国産の高品質なお米を厳選し、軟水を使い炊き、日本の味を作り出すことも私たちの大きなこだわりです。
海外店舗だからという理由は関係なく、全店舗で行っている「明太子食べ放題」も日本流を通す部分。しかし中国人には食す習慣がなく、当初は「焼いてほしい」という声がほとんど。しかし最近になり明太子をそのまま味わい楽しむ中国のお客様も増えてきました。明太子のおいしさを知る中国人フロアスタッフも上手に薦めてくれ、その変化を嬉しく思います。
「食を通じてお客様を元気にしよう」という企業理念と、グループの看板商品である明太子を武器にした海外への取り組み。食文化の違いはあれど、最大の目的は「やまやの明太子」の世界への普及。そのアンテナショップとしての役割を果たすことも海外店舗として大きな使命です。
日本流のこだわり
「明太子食べ放題」はグループ全体で行うサービス。異国で食文化は違えど、日本の「明太子」を広めるには欠かせない。
中国式への転換
コース料理はその概念を覆すことになっても、お客様の希望に合わせサーブ。楽しく食事していただくことが我々の使命。
↑会長が大連出張時にお客様との接待に、おいしいお肉とワインでもてなせる店があればという思いつきから誕生したエピソードも
↑1974年創業、柚子の香りをたたえる上品なやまやの明太子
■DATA
<店舗>開発区撫順街45号蓓佛莉庄園(ビバリーヒルズ)
℡8718-8838(日本語可)
11:00~15:00(L.O.14:00)/17:00~22:00(L.O.21:00)
<本社>福岡県福岡市 www.y-shokukobo.com/
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冷凍食品の可能性を
発信するアンテナ拠点
プロトンダイニング 株式会社
鹿野苑(ろくやおん)
Since 2013年1月
株式会社 菱豊フリーズシステムズ
代表取締役社長 二宮一就さん
冷凍機会社にて冷凍機器設計、営業部門を経て、50歳で独立し㈱菱豊フリーズシステム設立。今年4/30放映のTBS系『夢のトビラ』にも出演。
特許取得のプロトン凍結技術を使った業務用冷凍機製造メーカーです。特殊冷凍による食材の高品質な味わいをPRすべく、飲食サービス事業として㈱プロトンダイニングを設立。奈良県に2店舗(大宮町本店、佐保短期大学内)を構えます。
飲食店において最も懸念されるのが、生物食材の安定供給や保管。しかし冷凍物ならばその問題もクリアでき、予め調理、冷凍処理した食材を店舗で解凍・加工し、盛り付けを行うのみ。オペレーションにおいて大きなメリットがありますが、冷凍物は二流品のイメージが根強い。そこで我々の持つ高品質な味わいを保つ冷凍技術、冷凍品ならではのリーズナブルさを掛け合わせたスタイルを打ち出し、実際に確かめていただくために、冷凍機販売のアンテナショップとして鹿野苑をオープンした次第です。高級嗜好の流れが弱まり、安くて安心できる美味なものをという、食に対する意識の変化を見せる中国。まさにこれからが勝負どころです。
現地で冷凍し、新鮮なまま飲食店などへ供給するために、畜産業、漁業、農業団体への販売が中心です。現在は生産業者へ飲食店の紹介を行うなど、産地の恵みを各地へつなぐといった新たなビジネスも始まっています。中国でもこのように「冷凍機」と「食」の連動のカタチを作ることができればと見込んでいます。
日本流のこだわり
コンセプトはそのまま。冷凍食材ながら本格派の味わいが再現できる冷凍技術を「料理」というカタチでプロモーション。
中国式への転換
本格西洋料理は時期尚早の大連だが、シズル感満載のステーキなどの石焼メニューで親しみを持ってもらう(現在人気商品に)。
↑これまでにあらゆる食材を冷凍し研究を重ねてきました。よって盛り付けの彩りの華やかさがプロトンダイニングのメニューの特徴
↑ロゴ入りのプロトン冷凍機は、ここ大連でも大活躍中です
■DATA
<店舗>中山解放路80号大都会3階
℡3954-4558/139-4094-0133(日本語可)
11:00~14:00/17:00~21:00
<本社>奈良県奈良市 www.proton-dining.com
お問い合わせは
専門店の看板を掲げつつ
現地化とのバランスが要
トリゼンフーズ株式会社
水炊き専門店 博多 華味鳥
Since 2006年7月
常務取締役 手塚貴博さん
アルバイト勤務を経て正社員として2002年入社。大連店など海外店舗出店に携わる。現在は台湾、タイ、ミャンマー出店準備でアジアを飛び回る。
九州北部にて鶏肉生産・加工・販売・飲食店(30店)を展開するトリゼンフーズ㈱による経営です。当初は海外初フランチャイズ店として居酒屋形態の「博多 華善」という屋号で出店。しかし思うように伸びず、ブランディングを見据え、日本同様の「水炊き専門店」にシフトし、屋号を「博多 華味鳥」へ改め現在に至ります。
例え海外店舗であっても(鶏料理)専門店としてこだわりを持ち続けたい気持ちはありますが、異国で日本式がそのまま通用するものではありません。現地のお客様の声を聞き、できることは取り入れる。それが日本料理と大連の特有ともいえる海鮮メニューでした。以降、接待や食事会などで、中国人のお客様の利用が増えたと感じています。
また、日本の店舗で長年の勤務経験のある中国人社員を大連店の女将にしたことで、日本のサービス品質を持ちながらも、現地のお客様へすんなり溶け込むことができたことも、大きな成功の要因だと感じています。
この度、東京・豊洲の商業施設のフードコートに親子丼専門店をオープンいたしました。フードコート形態は投資も少なく、スピーディーな展開が可能。今後も「鶏料理専門店」というスタンスを保ち続け、日系、中華系問わず面白い物件があれば積極的に取り組んでいきたいですね。
日本流のこだわり
鶏肉の「専門店」としてブランドを確立させる。専門店ならではの素材、料理に対する真剣さ、かつ本物の味を売りにする。
中国式への転換
現地のお客様の声を聞く。専門店メニューにプラスαの部分は必要。こだわりと現地化のバランスを上手にとる。
↑看板メニューの水炊き。もつ鍋とあわせ福岡の郷土料理を楽しむ中国客は多い
↑大連店の運営を担う中国人女将の姜蕾。福岡での勤務経験も長く、日本と中国を理解する頼もしい存在
■DATA
<店舗>中山区明澤街39号
℡8281-2007(日本語可)
17:00~22:30
<本社>福岡県福岡市 www.hanamidori.net
お問い合わせは