Concierge大連 2022年6月号
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中国市場を問う
中国市場を問う
ジャパンブランド最前線
大連に進出している日系企業、日本の商品を輸入している業者、日本の商品を中国で販売している企業など、計6社の最新現状をレポート。皆様の中国ビジネス&生活にとって、何がしかの気付きやヒントを得られるものとなりましたら幸いです。
人々の生活を豊かにしたい
愛麗思(中国)集団
本社のアイリスオーヤマは1958年創立の生活用品メーカー。1990年代に中国へ進出し、大連を中心に多様な製造拠点網を構築した。大連をマザープラントとした天津、蘇州、広州の4拠点の工場で家電製品、プラスティック製品、木製品、金属、紙製品と様々な異素材を組み合わせた商品が生み出されている。2003年から「愛麗思」というブランドとして中国市場に参画し、全国のショッピングモール内にブランド専門店を立て続けにオープンし、北京、上海、広州など最多時で150店鋪以上の専門店を営業していた。時代の潮流に沿って2012年からオンライン販売へと方向転換した。
生活の中に潜む様々な問題点・不満点を察知し、それに対する解決策を提案することで、新たな市場を創造する力がアイリスオーヤマの強みだ。生活者の声がダイレクトにフィードバックされるため、生活者のニーズに対応したオンリーワンの商品が受け入れられ、売上も順調に伸びている。
同社で作られた製品には日本と同様の厳しい品質基準を設け、生産されている製品の90%以上は日本側での無検査での受け入れが保証されている。会社のコーポレートメッセージの「I LOVE IDEA 」には、アイデアを通じ人々の生活を豊かにしたいというメッセージが込められて、商品一つ一つにある同社の思いやストーリーを、一人でも多くの方に感じてもらう活動に力を入れている。その為にSNS、KOLを積極的に活用するとともに、Z世代をターゲットにしたイベントなど、広報活動を積極的に実施している。Made in JapanでもMade in Chinaでもない。Made in IRISだから良いんだ。そんな拘りを多くの方々に届けるべく日々精進している。
サンプルルームの一角
コンパクトなのにパワフル送風で、上下左右首振り型の人気商品「サーキュレーター」
日本製福祉器具を中国へ
大連愛知国際貿易有限公司
日本へ研修生を派遣する業務に長年携わっているほか、中日文化教育経済関西交流協会の副理事長も担当しているため、日本へ行く機会も多い。日本の特別養護老人ホームへ何度か見学に訪れた時、サービスの良さはさることながら、介護用品の便利さ、快適さに関心を持つようになった。中国にも需要があると判断し、2016年2月に同社を創設した。これから迎える高齢社会に対応して、コスパが高い日本製介護用品を輸出している。取り扱っている商品は介護浴槽、移動用リフト、車椅子、介護用マットレス、モーターベッド、杖、消毒用品などだ。
日本製の介護用品は性能や品質が良く、安全性も優れている。値段が高くても長い目で見れば日本製を使用した方が良いと思っているが、中国での認知度が低いことに加え、値段の関係でなかなか購買者に出会えなかった。大連の養老院を足繁く訪ねたほか、展示会にも積極的に参加し、興味を持ってくれた会社や利用者に対して用具の特徴などを説明。メリットだけではなくデメリットもきちんと伝え、なるべく実際に試用するように勧めた。良い介護用品は介護者の負担を減らし、介護される方も快適に過ごせる。福祉用具を利用することで、高齢者や障害のある方の自立した生活の範囲が広がり、介護にあたる家族や介護者の負担の軽減にも繋がっている。
「商いは牛のよだれ」、つまり、地道な努力はいつか実になると確信している。そして介護用品だけではなく、今後は介護人財の養成にもチャレンジする予定だ。日本の介護機構と協力し、日本の介護に関する理念と知識を中国に取り入れて介護人財を育成し、中国の老人ホームなどへおもてなし精神を持った介護人財を輸出することも企画している。
大連愛知国際貿易有限公司
総経理 呂 正秋さん
大連通遠対外労務合作公司総経理、中日文化教育経済関西交流協会副理事長、大連市外経協会理事。
2020中日(大連)博覧会に出展し、介護用品を展示
「快適さ」と「作業性」を実現した介護浴槽
大連愛知国際貿易有限公司
<店舗・事務所>
大連経済技術開発区A区1棟-B16-6号
℡:8732-3006
http://dl-aichi.com/
大時代全球購(大連)国際経貿有限公司
2012年に日本商品の販売店を開店。中国では「メイド・イン・ジャパン」の人気が高いが、偽物か本物かの区別が難しく、最初の店舗は大連及びその他の都市の大商集団店内に開店した。「伊歌美惠」が認可された後、内陸の内モンゴル自治区の海拉爾、小区(住宅エリア)にも試験的に店舗展開。全盛期には31店舗にまで達したが、ネット販売及びコロナの影響を受け、現在は実店舗は4店舗へと絞った。
現在は①化粧品、②特定保健用食品、③トランク、カバン、④食品、⑤酒・ソフトドリンク、⑥日用品、⑦南部鉄器など日本の特色ある商品7種類を取り扱っている。2017年中国(遼寧)自由貿易試験区大連エリアに店舗型越境ECの店をオープンし、保税区内の専用倉庫で商品の保管及び展示、販売を始めた。
近年来、中国人の健康に対する意識が高まり、外国産健康食品に対する需要も旺盛であるが、保健食品を輸入する際は必要資料が多く、評価審査の順序が複雑でハードルが高いため、後込みする企業が多い。同社は敢えて健康食品に特に力を入れている。多少時間は掛かるかもしれないが、日本の健康食品の良さが認知されれば、いずれ需要が高まると見込む。
日本の商品の背景にある日本文化や職人精神などの魅力を伝えれば、リピート客が生まれる。その意味では日本商品はライブコマース販売に非常に適している。一社の力には限りがあるが、同業者と連携して、高品質ながら中国未進出の商品や、これから流通していくであろう新商品にもスポットをあてる。網紅(インフルエンサー)を活用して、フラマホテルにある「伊歌美惠」を拠点に、日本商品ブームを創造していくための発信源となることを目標としている。
伊歌美惠(大連)国際経貿有限公司
総経理 劉 樹洲さん
1995年から日本独資企業で管理職として10年ほど務める。2007年から日本商品を中国に輸入・販売する仕事を携わる。
フラマホテル内の「伊歌美惠」、幅広い日本商品を販売
日本ナットウキナーゼ協会認定商品「納豆の源」
伊歌美惠(大連)国際経貿有限公司
<店舗・事務所>
事務所:大連保税区海東街16号金弘基大厦2階
店舗:中山区人民路60号フラマ商場1階
℡:8360-0918
E-mail:ynfs666@126.com
食品卸売業者として
新商品を絶えず追求
大連中川食品有限公司
大連川島貿易有限公司
若い時から日本の商品や文化に強い興味を持ち、「日本の良質な食品を中国へ届きたい」という想いを実現すべく、1998年に会社を立ち上げた。現在、大連市内及び開発区を中心に、東北3省と全国各地に販売ネットワークを広げ、食品、酒類、調味料、水産品、台所用品など1,000種以上もの商品を扱っている。
設立当初は少量しか受注できず、「協力頂いているメーカーや商品を必要とするお客様の声に応えたい」との一念で、小口注文で利益が薄くとも積極的に引き受け、その足で直接商品を届けた。その地道な姿勢がクライアントをはじめ、シマダヤ株式会社や日本食研、 宝酒造食品有限公司、中田食品株式会社などのメーカーへの信頼を勝ち取り、徐々に大きな売り上げへと繋がるようになった。
中国人の生活水準の向上に伴い、日本食品に対する需要も変化しつつある。食品展示会へ積極的に参加して取扱商品のPRをすると同時に、市場調査をしてそのトレンドに応え、レアな食品・調味料の開拓にチャレンジ。その甲斐もあり自然の恵み豊かな数々の食品に出会い、中国で未販売の食品類販売にこぎつけたり、東北3省特別販売代理店の権利を獲得したことも。毎年参加している各日本商品展覧会をはじめ、協力メーカーとともに自ら展示会を行うことも。そしてオンラインとオフラインの連動、団体購入配送などの業務を展開している。「周りにはまだまだ素晴らしい商品が眠っており、未だ中国市場には出回っていません。絶えず新たな商品を追及し続けることが食品卸売業者としての使命です」と語る。これからもサービス品質を高め、新たな高みを目指すべく、小さな積み重ねと新たな挑戦がこれからも続く。
大連中川食品有限公司
総経理 于 淑華さん
大連市出身。1998年に現企業の前身である大連中川水産商行を起業。 2022年2月中川貿易株式会社を設立(海外公司)。
日本の調味料、酒類などがずらりと並んでいる店内
「喜びの清酒」として親しまれる「松竹梅」
大連中川食品有限公司
<店舗・事務所>
沙河口区西安路城品城1号楼1504室
℡:8362-3708/138-0496-1586
http://www.dlnakama.com
文具の楽しさを伝える
蜻蜓文具商貿(大連)有限公司
トンボ鉛筆は、今年で創立109年を迎えた老舗企業。社名にある通り「鉛筆」の製造と販売を基盤に、「書く・消す・貼る」の領域に事業を拡大し、「Tombow」「MONO」「PiT」など、国際的なブランドを有する文具の総合メーカー。2011年、中国における販売会社を大連に設立し、東北三省で得た信頼を基盤に2015年からは中国全土に取引を拡大した。
トンボ鉛筆は経営理念として「製品を通じて常識や習慣を革新し、お客様に心躍る発見や喜びをお届けする」と定めており、中国の消費者へもこの理念が製品を通じて浸透していくことを願っている。直近のヒット製品には修正テープ「モノエアー」がある。独自機構の「エアータッチシステム」を搭載することで、最初から最後まで驚くほど軽い力で引くことを可能にした。一般のテープ製品は、使いこむと徐々にテープ走行が重くなって終わる頃は使いにくくなっていた。また「モノエアー」の修正塗膜は、塗膜表面の光沢を抑えることで修正箇所が目立ちにくく、再筆記もとてもスムーズになる。
同社は新製品を提案すると同時に、使い方や商品を通じたコミュニティ作りにも力を入れている。オンラインではWeiboなどのSNSで、多色筆ペンなどを使った簡単で見映えのするアートホビー作品の創作情報を配信している。オフラインではワークショップイベントを開催し、製品を使用した作品作りを通して生活に潤いを届けている。これからも製品開発とコミュニケーション活動に励み、お客様とのコミュニティを形成し、発見や喜びを分かちあっていく考えだ。中国で1日に1度はトンボ鉛筆製品を愛用するDaily Active Usersの1億人達成を目指して邁進している。
蜻蜓文具商貿(大連)有限公司
総経理 酒井 直人さん
1994年入社。生産センター(日本国内工場)、研究開発部門、商品企画部門を経て、2021年に中国大連に赴任。
「トンボ鉛筆」商品を寧波ジャパンブランドフェアに出展
エアータッチシステムを搭載した修正テープ「MONO AIR」とテープのり「PiT AIR」
和食器の奥深さを大連に
解憂雑貨店
大連生まれ大連育ちの生粋の「大連っ子」。大連は日本との繋がりが大変深い都市で、高校から日本語を勉強していた。大連は北九州市との姉妹都市で、通っていた高校では北九州市の高校と定期的に交流していた。日本語を勉強しているうちに日本文化に興味を持つようになり、日本のドラマを数多く視聴した。
中国の大学へ進学するか日本へ留学するか両親と議論の末、日本留学を決めた。日本での四年間の大学生活は楽しい思い出が数多く生まれた。一度懐石料理を食べる機会があり、数多くの小料理が提供され、一品一品それぞれ異なる器に盛られていることに驚いた。日本の友人から「まず目で楽しみ、そして味を楽しむことが和食の醍醐味」と教えてもらい、そのことが脳裏に深く刻まれた。
帰国後日系企業に1年ほど就職したものの、一身上の都合で退社。日本にいる友人と相談し、独立を決意。2015年に日本の食器などを販売する「解憂雑貨店」をオープンした。店名は東野圭吾の人気小説「ナミヤ雑貨店の奇蹟」からヒントを得たもの。取り扱っている和食器はほとんどが人気の窯元のものだ。シンプルで洗練された美濃焼。素朴な温かみが特徴の新楽焼。藍色の顔料で描かれた絵付けや華やかな赤絵が特徴の有田焼。使い勝手の良いつるりとした手触りの波佐見焼など。
来店者の多くは生活を愛する美意識が高い方だ。和食器の特徴をお客様に説明しているうちに和食器に対する興味がさらに湧くようになった。現在は子供でも使える自然の優しさが嬉しい「木の器」や、小さくて可愛い「マルチ和食器」、さらには日本の伝統美をあしらっている花器、茶器、手作りの工芸品も取り扱っている。これからも、和の器を通じて豊かで快適な暮らしを提案したい。
解憂雑貨店
オーナー 篳 暁鳳さん
2007年~2012年日本留学。2013年に大連へ戻りLINE株式会社へ就職。 2015年に美品味(工芸品)店-「解憂雑貨店」を設立。
サイズと深さによって用途が異なる和食器
食卓に彩りを与え、料理の美味しさを引き立たせる和食器
解憂雑貨店
<店舗・事務所>
甘井子区紅旗街道盛達花卉
℡:155-2463-9409(日本語可)
ジャパンブランド最前線
大連に進出している日系企業、日本の商品を輸入している業者、日本の商品を中国で販売している企業など、計6社の最新現状をレポート。皆様の中国ビジネス&生活にとって、何がしかの気付きやヒントを得られるものとなりましたら幸いです。
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
人々の生活を豊かにしたい
愛麗思(中国)集団
本社のアイリスオーヤマは1958年創立の生活用品メーカー。1990年代に中国へ進出し、大連を中心に多様な製造拠点網を構築した。大連をマザープラントとした天津、蘇州、広州の4拠点の工場で家電製品、プラスティック製品、木製品、金属、紙製品と様々な異素材を組み合わせた商品が生み出されている。2003年から「愛麗思」というブランドとして中国市場に参画し、全国のショッピングモール内にブランド専門店を立て続けにオープンし、北京、上海、広州など最多時で150店鋪以上の専門店を営業していた。時代の潮流に沿って2012年からオンライン販売へと方向転換した。
生活の中に潜む様々な問題点・不満点を察知し、それに対する解決策を提案することで、新たな市場を創造する力がアイリスオーヤマの強みだ。生活者の声がダイレクトにフィードバックされるため、生活者のニーズに対応したオンリーワンの商品が受け入れられ、売上も順調に伸びている。
同社で作られた製品には日本と同様の厳しい品質基準を設け、生産されている製品の90%以上は日本側での無検査での受け入れが保証されている。会社のコーポレートメッセージの「I LOVE IDEA 」には、アイデアを通じ人々の生活を豊かにしたいというメッセージが込められて、商品一つ一つにある同社の思いやストーリーを、一人でも多くの方に感じてもらう活動に力を入れている。その為にSNS、KOLを積極的に活用するとともに、Z世代をターゲットにしたイベントなど、広報活動を積極的に実施している。Made in JapanでもMade in Chinaでもない。Made in IRISだから良いんだ。そんな拘りを多くの方々に届けるべく日々精進している。
愛麗思(中国)集団
総経理 郭 伝斌さん
1992年北京大学卒業。外資企業にて営業、製造、マーケティング、管理などの業務に携わる。2002年愛麗思に入社、2021年愛麗思(中国)集団の総経理に就任。
サンプルルームの一角
コンパクトなのにパワフル送風で、上下左右首振り型の人気商品「サーキュレーター」
愛麗思(中国)集団
<店舗・事務所>
大連出口加工区IIB-45
℡:8757-2999
http://www.iris.net.cn/
https://www.irisohyama.co.jp/
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
日本製福祉器具を中国へ
大連愛知国際貿易有限公司
日本へ研修生を派遣する業務に長年携わっているほか、中日文化教育経済関西交流協会の副理事長も担当しているため、日本へ行く機会も多い。日本の特別養護老人ホームへ何度か見学に訪れた時、サービスの良さはさることながら、介護用品の便利さ、快適さに関心を持つようになった。中国にも需要があると判断し、2016年2月に同社を創設した。これから迎える高齢社会に対応して、コスパが高い日本製介護用品を輸出している。取り扱っている商品は介護浴槽、移動用リフト、車椅子、介護用マットレス、モーターベッド、杖、消毒用品などだ。
日本製の介護用品は性能や品質が良く、安全性も優れている。値段が高くても長い目で見れば日本製を使用した方が良いと思っているが、中国での認知度が低いことに加え、値段の関係でなかなか購買者に出会えなかった。大連の養老院を足繁く訪ねたほか、展示会にも積極的に参加し、興味を持ってくれた会社や利用者に対して用具の特徴などを説明。メリットだけではなくデメリットもきちんと伝え、なるべく実際に試用するように勧めた。良い介護用品は介護者の負担を減らし、介護される方も快適に過ごせる。福祉用具を利用することで、高齢者や障害のある方の自立した生活の範囲が広がり、介護にあたる家族や介護者の負担の軽減にも繋がっている。
「商いは牛のよだれ」、つまり、地道な努力はいつか実になると確信している。そして介護用品だけではなく、今後は介護人財の養成にもチャレンジする予定だ。日本の介護機構と協力し、日本の介護に関する理念と知識を中国に取り入れて介護人財を育成し、中国の老人ホームなどへおもてなし精神を持った介護人財を輸出することも企画している。
大連愛知国際貿易有限公司
総経理 呂 正秋さん
大連通遠対外労務合作公司総経理、中日文化教育経済関西交流協会副理事長、大連市外経協会理事。
2020中日(大連)博覧会に出展し、介護用品を展示
「快適さ」と「作業性」を実現した介護浴槽
大連愛知国際貿易有限公司
<店舗・事務所>
大連経済技術開発区A区1棟-B16-6号
℡:8732-3006
http://dl-aichi.com/
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市場動向を素早くキャッチ
日本製品の魅力を伝える
大時代全球購(大連)国際経貿有限公司
2012年に日本商品の販売店を開店。中国では「メイド・イン・ジャパン」の人気が高いが、偽物か本物かの区別が難しく、最初の店舗は大連及びその他の都市の大商集団店内に開店した。「伊歌美惠」が認可された後、内陸の内モンゴル自治区の海拉爾、小区(住宅エリア)にも試験的に店舗展開。全盛期には31店舗にまで達したが、ネット販売及びコロナの影響を受け、現在は実店舗は4店舗へと絞った。
現在は①化粧品、②特定保健用食品、③トランク、カバン、④食品、⑤酒・ソフトドリンク、⑥日用品、⑦南部鉄器など日本の特色ある商品7種類を取り扱っている。2017年中国(遼寧)自由貿易試験区大連エリアに店舗型越境ECの店をオープンし、保税区内の専用倉庫で商品の保管及び展示、販売を始めた。
近年来、中国人の健康に対する意識が高まり、外国産健康食品に対する需要も旺盛であるが、保健食品を輸入する際は必要資料が多く、評価審査の順序が複雑でハードルが高いため、後込みする企業が多い。同社は敢えて健康食品に特に力を入れている。多少時間は掛かるかもしれないが、日本の健康食品の良さが認知されれば、いずれ需要が高まると見込む。
日本の商品の背景にある日本文化や職人精神などの魅力を伝えれば、リピート客が生まれる。その意味では日本商品はライブコマース販売に非常に適している。一社の力には限りがあるが、同業者と連携して、高品質ながら中国未進出の商品や、これから流通していくであろう新商品にもスポットをあてる。網紅(インフルエンサー)を活用して、フラマホテルにある「伊歌美惠」を拠点に、日本商品ブームを創造していくための発信源となることを目標としている。
伊歌美惠(大連)国際経貿有限公司
総経理 劉 樹洲さん
1995年から日本独資企業で管理職として10年ほど務める。2007年から日本商品を中国に輸入・販売する仕事を携わる。
フラマホテル内の「伊歌美惠」、幅広い日本商品を販売
日本ナットウキナーゼ協会認定商品「納豆の源」
伊歌美惠(大連)国際経貿有限公司
<店舗・事務所>
事務所:大連保税区海東街16号金弘基大厦2階
店舗:中山区人民路60号フラマ商場1階
℡:8360-0918
E-mail:ynfs666@126.com
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
食品卸売業者として
新商品を絶えず追求
大連中川食品有限公司
大連川島貿易有限公司
若い時から日本の商品や文化に強い興味を持ち、「日本の良質な食品を中国へ届きたい」という想いを実現すべく、1998年に会社を立ち上げた。現在、大連市内及び開発区を中心に、東北3省と全国各地に販売ネットワークを広げ、食品、酒類、調味料、水産品、台所用品など1,000種以上もの商品を扱っている。
設立当初は少量しか受注できず、「協力頂いているメーカーや商品を必要とするお客様の声に応えたい」との一念で、小口注文で利益が薄くとも積極的に引き受け、その足で直接商品を届けた。その地道な姿勢がクライアントをはじめ、シマダヤ株式会社や日本食研、 宝酒造食品有限公司、中田食品株式会社などのメーカーへの信頼を勝ち取り、徐々に大きな売り上げへと繋がるようになった。
中国人の生活水準の向上に伴い、日本食品に対する需要も変化しつつある。食品展示会へ積極的に参加して取扱商品のPRをすると同時に、市場調査をしてそのトレンドに応え、レアな食品・調味料の開拓にチャレンジ。その甲斐もあり自然の恵み豊かな数々の食品に出会い、中国で未販売の食品類販売にこぎつけたり、東北3省特別販売代理店の権利を獲得したことも。毎年参加している各日本商品展覧会をはじめ、協力メーカーとともに自ら展示会を行うことも。そしてオンラインとオフラインの連動、団体購入配送などの業務を展開している。「周りにはまだまだ素晴らしい商品が眠っており、未だ中国市場には出回っていません。絶えず新たな商品を追及し続けることが食品卸売業者としての使命です」と語る。これからもサービス品質を高め、新たな高みを目指すべく、小さな積み重ねと新たな挑戦がこれからも続く。
大連中川食品有限公司
総経理 于 淑華さん
大連市出身。1998年に現企業の前身である大連中川水産商行を起業。 2022年2月中川貿易株式会社を設立(海外公司)。
日本の調味料、酒類などがずらりと並んでいる店内
「喜びの清酒」として親しまれる「松竹梅」
大連中川食品有限公司
<店舗・事務所>
沙河口区西安路城品城1号楼1504室
℡:8362-3708/138-0496-1586
http://www.dlnakama.com
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
文具の楽しさを伝える
蜻蜓文具商貿(大連)有限公司
トンボ鉛筆は、今年で創立109年を迎えた老舗企業。社名にある通り「鉛筆」の製造と販売を基盤に、「書く・消す・貼る」の領域に事業を拡大し、「Tombow」「MONO」「PiT」など、国際的なブランドを有する文具の総合メーカー。2011年、中国における販売会社を大連に設立し、東北三省で得た信頼を基盤に2015年からは中国全土に取引を拡大した。
トンボ鉛筆は経営理念として「製品を通じて常識や習慣を革新し、お客様に心躍る発見や喜びをお届けする」と定めており、中国の消費者へもこの理念が製品を通じて浸透していくことを願っている。直近のヒット製品には修正テープ「モノエアー」がある。独自機構の「エアータッチシステム」を搭載することで、最初から最後まで驚くほど軽い力で引くことを可能にした。一般のテープ製品は、使いこむと徐々にテープ走行が重くなって終わる頃は使いにくくなっていた。また「モノエアー」の修正塗膜は、塗膜表面の光沢を抑えることで修正箇所が目立ちにくく、再筆記もとてもスムーズになる。
同社は新製品を提案すると同時に、使い方や商品を通じたコミュニティ作りにも力を入れている。オンラインではWeiboなどのSNSで、多色筆ペンなどを使った簡単で見映えのするアートホビー作品の創作情報を配信している。オフラインではワークショップイベントを開催し、製品を使用した作品作りを通して生活に潤いを届けている。これからも製品開発とコミュニケーション活動に励み、お客様とのコミュニティを形成し、発見や喜びを分かちあっていく考えだ。中国で1日に1度はトンボ鉛筆製品を愛用するDaily Active Usersの1億人達成を目指して邁進している。
蜻蜓文具商貿(大連)有限公司
総経理 酒井 直人さん
1994年入社。生産センター(日本国内工場)、研究開発部門、商品企画部門を経て、2021年に中国大連に赴任。
「トンボ鉛筆」商品を寧波ジャパンブランドフェアに出展
エアータッチシステムを搭載した修正テープ「MONO AIR」とテープのり「PiT AIR」
蜻蜓文具商貿(大連)有限公司
<店舗・事務所>
中山区人民路23号虹源大厦3703、3705室
℡:8284-1088
https://www.tombow.com/
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
和食器の奥深さを大連に
解憂雑貨店
大連生まれ大連育ちの生粋の「大連っ子」。大連は日本との繋がりが大変深い都市で、高校から日本語を勉強していた。大連は北九州市との姉妹都市で、通っていた高校では北九州市の高校と定期的に交流していた。日本語を勉強しているうちに日本文化に興味を持つようになり、日本のドラマを数多く視聴した。
中国の大学へ進学するか日本へ留学するか両親と議論の末、日本留学を決めた。日本での四年間の大学生活は楽しい思い出が数多く生まれた。一度懐石料理を食べる機会があり、数多くの小料理が提供され、一品一品それぞれ異なる器に盛られていることに驚いた。日本の友人から「まず目で楽しみ、そして味を楽しむことが和食の醍醐味」と教えてもらい、そのことが脳裏に深く刻まれた。
帰国後日系企業に1年ほど就職したものの、一身上の都合で退社。日本にいる友人と相談し、独立を決意。2015年に日本の食器などを販売する「解憂雑貨店」をオープンした。店名は東野圭吾の人気小説「ナミヤ雑貨店の奇蹟」からヒントを得たもの。取り扱っている和食器はほとんどが人気の窯元のものだ。シンプルで洗練された美濃焼。素朴な温かみが特徴の新楽焼。藍色の顔料で描かれた絵付けや華やかな赤絵が特徴の有田焼。使い勝手の良いつるりとした手触りの波佐見焼など。
来店者の多くは生活を愛する美意識が高い方だ。和食器の特徴をお客様に説明しているうちに和食器に対する興味がさらに湧くようになった。現在は子供でも使える自然の優しさが嬉しい「木の器」や、小さくて可愛い「マルチ和食器」、さらには日本の伝統美をあしらっている花器、茶器、手作りの工芸品も取り扱っている。これからも、和の器を通じて豊かで快適な暮らしを提案したい。
解憂雑貨店
オーナー 篳 暁鳳さん
2007年~2012年日本留学。2013年に大連へ戻りLINE株式会社へ就職。 2015年に美品味(工芸品)店-「解憂雑貨店」を設立。
サイズと深さによって用途が異なる和食器
食卓に彩りを与え、料理の美味しさを引き立たせる和食器
解憂雑貨店
<店舗・事務所>
甘井子区紅旗街道盛達花卉
℡:155-2463-9409(日本語可)