キーマンインタビュー

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泉盛餐飲(上海)有限公司
総経理 井上 卓士氏
牛丼・寿司チェーンを軸に、日本流外食産業をアジアへ
日本でもおなじみの牛丼チェーン「すき家」を、中国全土で仕掛けるゼンショー。9月には「はま寿司」の海外1号店を上海に開店。日本発の外食チェーンの未来を担う存在だ

牛丼チェーンとして、日本で最多レベルの店舗数を誇る、ご存知「すき家」。ここ上海でも、主要な商業施設を歩けば必ずと言っていいほど目にする、おなじみの店となっている。さらに9月5日には、人気回転寿司チェーン「はま寿司」の海外1号店が上海にオープン。急激に広がりを見せる両チェーンを仕掛けているのが「ゼンショー」(中国名、泉盛餐飲(上海)有限公司)だ。同社の総経理、井上氏にさっそく直撃した。
出店6年、“街の顔”となった牛丼店
「すき家」を初めて上海に展開したのは、2008年1月。これが記念すべき海外第1号店でした。当時、中国ではまだ日本のように牛丼がメジャーではなく、手探り状態でのスタートでしたが「牛丼のおいしさを、中国全土やアジアに広めたい!」という意気込みでした」と、井上総経理は言う。「私自身は、翌年の09年より上海に赴任。それまでは日本で店舗管理などを担当していましたが、海外事業の話が出た際に自ら手を挙げました。「すき家」は日本で圧倒的な店舗数と知名度を有していますが、海外ではまだまだ。同ブランドの今後を考えた時、海外展開は必須と思えました。いつか、日本の店舗数を海外で上回ること。そんな野望を胸に、上海に乗り込みました」。
まずは上海郊外や周辺都市を足がかりとし、着実に店舗数を増やしながら認知度を上げ続けた。さらにここ数年は、上海中心部や主要モールへの出店にも注力している。現在、「すき家」は中国全土に71店舗、うちメインとする華東エリアには60店舗。9月初旬の取材時にも「今週末に2店舗のオープンを控えています」との話が挙がったが、飛ぶ鳥を落とす勢いで広がりを見せている。出店6年で街じゅうで見かけるおなじみの一軒となった秘訣について、中国向けに特別な戦略があったのかと問えば、「中国だから、日本だから、と分けて考えてはいませんし、両国の違いで困ったことも実はあまりありません」との答えが。「我々が日本で確立してきたビジネスモデルやノウハウを、ここ中国でもきっちりとこなすことが基本。どんな状況でも、粘り強く、諦めずに、基本を守り続けることこそが大切です」。日本で蓄積された膨大な実績がおのずと、中国での飛躍劇の後押しとなっているようだ。
中国でヒットメニューを創り出す
中国の「すき家」の定番人気は、ベーシックな「牛丼」のほか、「キムチ牛丼」と、甘辛ソースの「温玉のせ牛丼」。さらにシーズン毎に新メニューが追加される。新商品は、日本で発表されたメニューのほか、中国で独自に開発されたものも。最近では、中国のローカルフードに着想を得たサイドメニュー「トマトラーメン」が意外なヒットを記録した。また、中国人の味覚の変化を彷彿とさせるエピソードも。「中国出店直後に「チーズ牛丼」というメニューを売り出したのですが、注文が伸びず、すぐ取り扱い中止に。ところが、2年前に復活させたところ、一躍人気商品となったんです」。今や、半数以上を女性客が占めるという同店ならではの、“うれしい誤算”とも言える。「今後も、基本となる牛丼の味をきっちりと保ちながら、トッピングで現地性を出し、ヒットメニューを模索していきたい」と意欲を見せた。
スタッフの成長が、会社の成長
一方で、店舗数増加のスピードに即し、急務となるのが「スタッフ教育」だろう。井上氏は「人を育てることが、我々の仕事」としながらも、「中国で問題とされる離職率の高さは、気にしないようにしています」と話す。「弊店の店舗クルーは、調理から接客、レジ、在庫管理まですべての業務を担当します。それを「業務が多くて面倒」と感じるか、「様々な仕事を経験できる貴重な現場」と感じるかは、本人次第。やりがいを感じた人は、自然と長く仕事を続けてくれますし、そういう人材こそ大切に育てたい。頑張るスタッフに成長の場を与え“すき家ドリーム”を見させてあげるのがミッションだと思っています」。実際、08年に1号店にアルバイトとして入り、今となっては主力社員として活躍する優秀な仲間もいるとか。「年に一度、世界から選抜スタッフが集う「オペレーション大会」を日本で開催していますが、14年はクルー部門で中国チームが3位、13年にはマネジャー部門でも2位に入賞しています。海外勢の入賞は異例で、この結果こそが、我々が信じて継続してきた教育の賜物でしょう」。
同社は、回転寿司チェーン「はま寿司」の海外1号店を、威寧路駅前・ビンゴ広場内にオープンしたばかりだ。タッチパネルを利用したオーダーシステムや寿司全10元という目新しさも注目を集めているが、ここでもやはり俊敏なクルーの仕事が活きている。
食へのたゆまぬ探究心と、店を愛するクルーの存在に支えられて「夢は、中国でグループ2000店!」 。まずは、2020年までに1000店舗達成を目指す。「日本直営チェーンとして、今後も日本流を貫きます」。

「すき家」は日本に約1,980店。「中国で2,000店舗を構えられると“日本超え”の野望が叶う」と話す。「2020年に1,000店舗が達成できれば、その後5年で1,000店舗オープン、合計2,000店も照準範囲内です」
PROFILE
泉盛餐飲(上海)有限公司
総経理 井上 卓士氏
1974年生まれ、東京都出身。日本体育大学卒業後、ゼンショーに入社。「すき家」店長を経て、本社営業部で店舗管理などを担当。2009年より、泉盛餐飲(上海)有限公司の営業部長として上海へ。今年3月より総経理。主に華東エリアの店舗管理・開発を担い、週に3日は華東エリアの60店舗を飛び回って過ごしているとか
オペレーション大会で感動!

全国約3.5万人のアルバイトから選ばれた10組が挑んだ「KOSS-1グランプリ」。清潔・おいしさ・笑顔・スピードを基準にNo.1クルーを決める。2014年は上海チームが3位入賞。「泣きそうなほどうれしかった」と井上氏
おすすめは、サーモンとまぐろ

上海に待望のオープンを果たした「はま寿司」。「8月より店内でスタッフ教育を行いましたが、その風景を見て期待を抱いた方も多かったようです。温度管理に細心の注意を払った鮮度抜群のネタをご賞味ください」
体育大学卒のスポーツマン!

趣味はサーフィン。上海では海に行けないため、スケートボードで息抜きを。実は日本体育大学出身で、学生時代はバスケットボールをしていたという、根っからのスポーツマンだ
泉盛餐饮(上海)有限公司
天山路600弄3号思創大厦西楼21階5989-5352(日本語可)
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