キーマンインタビュー
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賽標(中国)体育用品有限公司
董事 総経理 石井 剛氏
人を“育てる”スポーツ。
成長する市場の中で文化形成のお手伝いを
総合スポーツストア「スーパースポーツゼビオ」「ヴィクトリア」などを展開するゼビオグループ。スポーツ文化の発展とともに成長していきたいという同社の戦略を聞いた
“今日どれだけ売ったか”ではなく
信頼・感謝を勝ち取りたい
2012年、初の海外ストアとして、浦東のヤオハンエリアに「スーパースポーツゼビオ上海浦東店」をオープンし、昨年には浦西エリアのグローバルハーバーに2号店を出店しました。
中国では従来、スポーツ用品は、「モノブランドショップ」と呼ばれるブランドごとに商品を陳列するストアで購入するのが一般的な中で、当社は日本の店舗と同じように、すべてのブランドの商品を用途別に構築する「カテゴリーショップ」として展開しています。約10万点の商品アイテムはほぼすべて中国現地で調達し、レベルの高い中国メーカーのものも扱っています。
スポーツグッズで特徴的なのは、使う用途により、お客様それぞれで合うものが違うということです。初心者の方とベテランの方で違いますし、スポーツのクセによっても異なってきます。また、「高価なもの」がお客様にとって「一番よいもの」であるわけでもありません。例えば、上級者向けの高級なランニングシューズは、その軽さゆえに走り慣れていないランナーに思わぬ身体への負荷をかけてしまう場合もあります。ゼビオでは、それぞれのスポーツカテゴリーに専属の販売スタッフを配し、お客様にご提案する販売スタイルをとっています。インターネットでのショップではご提案は難しいと思いますし、ブランドショップでも商品の幅が限られてしまいます。
いつも販売スタッフに言っているのは「今日どれだけ高いものを売ったかではなく、次に買う時も相談されるような、信頼される、感謝されるスタッフになろう」ということです。快適に使えなければ、ご来店は一回限りで、リピーターにはなっていただけません。そのためには豊富な商品知識とそのスポーツでの経験が必要です。講習などで知識を学ぶのはもちろんのこと、店員自らがその商品を実際に使うことも大切と考え、その機会をできるだけ与えるようにしています。また、お客様の方がよりそのスポーツについて詳しいということもあります。そういった時には素直にお客様の経験を聞き、学ばせていただいています。「あの人がいるからあのお店に行こう」というのが私たちが目指すところです。
スポーツが人を育てる
そのための活動も今年から 中国と日本のマーケットの大きな違いとして、中国では「部活」が一般的ではないということがあります。日本では、地域のスポーツ少年団から、中学高校で部活、大学でもスポーツサークルと、子どもの時から生活の一部としてスポーツが自然に日常に寄り添う形で存在しています。
その影響として、一つに、その中で子どもたちは、努力することの大切さやチームワークなどを学んでいくという文化があります。我々は、スポーツによって人間的に成長するというこのスポーツの「効果」を届けたいと考えています。そのために何ができるかが一つの課題でもあります。やらなければならないことは多く、ようやくその下地ができたところだと思います。すでに一部で子どものスポーツイベントへの協賛も始まっていますが、さらに、運動によって子どもの発達を促す知育プログラムの導入などに今後取り組んでいきます。
もう一つ、誤解を恐れずにいえば、商品への理解度も日中の違いでしょう。日本はスポーツが日常に存在しているために「これをするにはこういうものを使えばよい」となんとなく理解していることが多い。中国にも昔からスポーツ愛好者は多く、その環境も整っています。また北京五輪の影響でスポーツ熱が上がり、趣味としてヨガやランニングが広がりを見せています。しかし、ウェアなどの機能性についていえば、これから徐々に理解が深まる段階なのではないかと考えています。そのような啓蒙活動も我々の使命でしょう。
北京五輪で需要を確信
時流に合わせて発展を目指す
私は07年から2年間、青島の関連企業に出向し、工場で生産管理をしていました。中国赴任を言い渡された時に日本の中国地方のことかと勘違いしたくらい、それまで縁のなかったこの国ですが、北京五輪を目の当たりにし、スポーツ文化の発展の可能性を肌に感じました。当店のようなスポーツショップが必要になると思いましたし、それに携わりたいと思っていました。その想いが叶って上海へ赴任してきたのは昨年のことです。簡単に物事が運ばないことも多々ありますが、赴任以来約9カ月間、毎日が貴重な経験であふれています。お店のスタッフとはチームスポーツと同じように協力しあい、お客様をお迎えしています。4月末には成都で新店舗をオープンさせます。中国の時流に合わせ、今後も発展を広げていきたいですね。
スポーツを通じて生活は豊かになります。今後もスポーツを盛り上げることに尽力していきたいと思っています。(談)
いしい たけし
1973年生まれ。神奈川県出身。1996年に駒澤大学を卒業後、ゼビオへ入社。東日本の店舗を中心に販売員、店長、エリア統括として経験を積んだのち、2007年には青島へ出向し、商社で生産管理を担当。09年帰国後は商品部、13年より上海へ。
働き方の教科書
愛読書のひとつに、京セラ稲盛和夫氏の「働き方」がある。「仕事で迷いが出た時などに、仕事の本質を教えてくれる、働き方の教科書のような一冊です」
年に1回の「ごほうび」
毎日忙しくしているからこそ、年に1度の海外旅行はとても大事にしていることの一つ。「心身ともにリフレッシュし、また明日への活力を養います」写真はハワイ島での1枚
「スポーツ」を盛り上げる!
アイスホッケーアジアリーグに所属する中国の「チャイナドラゴン」をサポート。協賛だけではなく、日本人の選手や監督の派遣も行い、スポーツ全体の盛り上がりを狙う。
賽標(中国)体育用品有限公司(スーパースポーツゼビオ)
(上海環球港店)
中山北路3300号上海月星環球港L2049-2062
6067-0951(日本語可)
(上海浦東店)
張楊路588号百脳匯4階
5047-1998(日本語可)
賽標(中国)体育用品有限公司
住所 | 上海市浦东新区绿科路90号 |
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