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香港と日本の労働基準比較(7)年次有給休暇
権利の発生と取得時期
【香港】雇用条例では、年次有給休暇について次のように規定されています。
「使用者により付与され、関連する休暇年度の満了直後に始まる12カ月の期間内に労働者によって取得されるものとする」図式化すると表の通り、休暇権利日数の発生と、その消化(取得)可能タイミングが1年ズレていることがわかります。
つまり、丸1年(12カ月)在籍することで休暇の権利が発生し、その休暇を消化(取得)できるのは翌休暇年度からとなります。よって、入社初年度に消化できる年次有給休暇日数は法的には0日ということになります。なお、最低限付与されるべき年次有給休暇の日数は、7日に始まり、14日が最高とされています。
【日本】労働基準法では、使用者は、雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して年次有給休暇を与えなければならない旨が規定されています。年次有給休暇の法定付与日数は、10日に始まり、最高は20日まで定められています。なお、労働者は年次有給休暇の権利発生と同時に休暇の消化をすることができます。
未消化残日数の買い上げ
【香港】雇用が継続している間は、法律最低限の付与日数である年次有給休暇を買い上げることは禁止されています。ただし、一休暇年度に関連する消化可能日数で10日以上の消化可能日数を有する場合、10日を超える日数分以内であれば、労働者の同意を得て買い上げをすることが可能です。
【日本】法律最低限の付与日数については原則として買い上げが禁止されています。ただし、時効によって消滅した権利および退職時に未消化の権利については使用者の任意で買い上げることができます。
雇用契約解除時の買い上げ
【香港】雇用契約解除時(自己都合退職時を含む)においては、使用者は次の2つの権利日数を買い上げる必要があります。
① 雇用契約解除時点で取得が可能な日数② 権利日数として翌年度に取得可能になるが、雇用契約解除時点ではまだ取得できない概念上の日数
①については退職時点の残日数の買い上げを指します。②の買い上げについてですが、雇用契約の解除により労働者は翌年度に取得できるはずの年次有給休暇の権利を失うことになります。よって、使用者にはこの権利を金銭により買い上げることが要求されます。ただし、労働者が当該休暇年度に3カ月以上在籍している場合のみ買い上げが要求されます。
【日本】退職時の残日数買い上げについて、使用者に法律上の義務はありませんが、前述のとおり使用者の任意で買い上げることができます。
香港では、付与した年次有給休暇の日数を確実に消化するよう促すことが使用者側に求められます。積極的に消化をさせた上で業務遂行に支障が生じないような仕組みを講じることが肝要です。
次号では、賃金についてご説明をいたします。
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