キーマンインタビュー

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日産出行服務有限公司
総経理・董事 二川 一穣 氏 2024年10月号
「e23自動運転タクシー」で
イノベーションを創出
日本屈指の自動車メーカー「日産自動車株式会社」の中国現地法人「日産(中国)投資有限公司」が100%出資で設立した「日産出行服務有限公司」は、蘇州市相城区にて「e23出行自動運転タクシーサービス」を提供している。年内の有料化を目指し、更なるサービス・技術向上にも余念がなく、地方政府や他企業との協力も積極的に行っている。同社総経理である二川さんにお話を伺った。

日本屈指の自動車メーカーが提供する
「e23自動運転タクシーサービス」とは
「日産自動車株式会社」は前身企業が1910年に誕生し、1933年に現在の社名に変更するなど、長い歴史がある企業です。設立以降、創立者である鮎川義介氏の「他のやらぬことを、やる」という精神のもと、時代に先駆ける自動車を作り続け、今日に至るまで日本の自動車産業における礎を築いてきました。
2022年3月に中国現地法人である「日産(中国)投資有限公司」が100%出資で設立したのが、江蘇省蘇州市相城区に本社を置く「日産出行服務有限公司(以下、日産モビリティサービス)」です。私は日産モビリティサービスの立ち上げに向けて、約1年かけてさまざまな準備に臨んできました。2022年9月には、生活拠点を上海から蘇州へ移し、現在は総経理を務めています。
幣社は自動運転タクシーサービスを中心に事業を展開しており、2023年3月から現在までの三期にわたり「e23出行(英名:e23GO)」を運営しています。このサービスは専用アプリに乗車地と目的地を入力すれば、自動で配車される仕組みです。走行路は、蘇州市郊外の高鉄駅、ホテル、オフィスビル、日産の自動車販売店などをカバーしています。さらに、今年8月から第三期を再開したことを機に走行エリアを拡大し、相城区最大規模の商業施設である「大悦城」までカバーしました。利用されているのは地域内の住民や通勤者などで、「快適な自動運転が体験できる」と大変ご好評で、リピーターも多く、1日に約100件も利用していただいています。年内は当面無料で提供しておりますので、相城区に来られる際はぜひアプリをダウンロードして乗車体験をしてみてください。
どこよりも先にやる日産のDNA
グローバル自動車メーカーである日産は、日本や北米と同様に中国を主要な市場のひとつと位置付けています。また、中国は自動運転タクシーの領域で日本よりも先行しています。ロボタクシー先進国である中国に、日本の自動車メーカーとしてロボタクシー専門会社を設立するのは、日産が初めてでした。自動運転技術の向上や実証実験が熾烈な競争の中で進められている中国において、日産が一番乗りできたのは、先述した「他のやらぬことを、やる」という日産のDNAが受け継がれているからでしょう。現在は自動運転タクシーという媒体を通じて、日本で培ったノウハウや技術力を現地に適した形で最大限に活用しています。
ビジネスを進めていくうえで、大きな協力を得られたのは蘇州市相城区政府です。2023年8月に商業デモライセンス取得に関する条例などの発効があったのですが、その際30万キロの走行実績の提出が大きな課題となりました。当時所有していた車両は2台のみ、1日200キロほどしか走れない状況で、30万キロはあまりにも大きすぎる数字でした。そこで蘇州市の最高幹部の方に幣社までお越しいただき交渉を重ね、なんと1カ月以内にスピード解決し、同年12月に相城区内全域で有効な商業デモライセンス、すなわち自動運転タクシーサービスの有料化の許可を取得することができました。さらに、ライセンスプレートは兼ねてより狙っていたe23(良い日産)の23番を含む20番から24番までの5枚を用意してくれるなど、相城区政府の粋な計らいと、企業を応援したいという気持ちには感謝するばかりです。
「e23出行」は今年末の有料化を目指しています。この自動運転タクシーサービスにはさまざまな意見があり、一部ではタクシードライバーの仕事が奪われるという趣旨の報道が見受けられます。しかしそれは裏を返せば現行するタクシーサービスに競争相手としてみられるほど進化をしてきたということであり、まさに中国スピードの社会実装の実例ではないでしょうか。
こうした社会実装型イノベーションを検討されている企業様がいらっしゃいましたら、ぜひ日産が持つ技術やネットワークを活用していただきたく思います。
新体験の見学&試乗ツアー
今年から積極的に新たな取り組みを行っています。そのひとつに、日本の方に向けた中国のスマートシティ見学及び自動運転試乗ツアーの企画・催行があります。今年7月末にはJTB上海様を通じて1回目のお客様として、上海日本商工クラブの20名をお迎えしました。初めて間近でスマートシティや自動運転を見られた方が多く、「インフラから通信、クラウドまで本気で取り組んでいることに感心させられました」「強く危機感を抱きました」などの感想と高評価をいただきました。こうした体験は中国でビジネスをされている方や出張で来られている方にも、驚きと刺激を与えられるかと思います。試乗は1名から可能ですので、ぜひご興味ある方はお問合せください。
早いもので、会社設立の準備から3年が経ち、中国のスピード感と変化の激しさには日々驚かされます。そんな変化の激しい中国だからこそ、ビジネスチャンスもたくさんあります。自動運転の技術やコネクテッドカー関連の法規、インフラ整備がどんどん進んでいる中で、新しいビジネスモデルの構築のためにパートナー企業との連携を強化すると共に、官民交流も積極的に参画し、スマートシティの構築にも寄与していきたいです。イノベーション創出を強化すべく、自動車関連及び周辺企業と協業してお互いの強みを生かし、模索できればと思っておりますので、ぜひご興味ある企業様はお声がけいただけますと幸いです。

EPORO (エポロ)と申します。10年以上前に交通事故ゼロを目指して開発された自律走行ロボットカーです。e23出行の車内では、ドライバーに代わって接客やサービスの案内を担当しています。AIの学習能力で日々進化中!蘇州でお待ちしています

蘇州市相城区にて「e23出行自動運転タクシーサービス」を提供する車両。車内のモニターでは音楽をかけたりゲームができるほか、エポロAIと中国語で会話することもできます。
PROFILE
プロフィールIchijo Futakawa
1975年生まれ、兵庫県出身。東北大学工学研究科修士課程及び中欧国際工商学院MBAを修了。2017年に日産自動車へ入社し、コネテッドカー&自動運転事業本部戦略&PoCグループ兼プログラム管理グループ担当部長、2018年に同本部プログラム管理部長、2019年に日本事業本部モビリティーサービス事業部長を務める。2021年に中国へ渡り、2022年より日産出行服務有限公司総経理に就任。


駐在員の仲間たちと行った敦煌での1枚。中国の運転免許持っているのが私だけなので、この日の夜は手も上がらないほどヘロヘロに。

日産へ入社する前に営業の仕事で始めたゴルフは今や趣味になりました。今年は人数も増えて、企業対抗に出ました。見事ブービー獲得!















