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日本のクライアントの逸失利益約2億元の損害賠償請求を安理がサポート

本件は、中国の逸失利益に係る賠償額が相当に高額な事案であり、契約の相対性を乗り越えて賠償請求に成功した異例の事案でもある。


 北京市安理律師事務所は、中国の仲裁機関が受理した製品供給契約事件において、申立人である日本のクライアントを代理した。本件では、申立人と被申立人が長期間の製品供給契約を締結して、申立人が新会社を設立してこれを供給者とし、毎年、かかる新会社から被申立人の子会社にその需要量の一定割合の製品を供給することを取り決めた。契約の締結と履行の過程で、両当事者は、申立人が設立済みの子会社(既存子会社)を新会社とし、同社に契約に基づく供給義務を履行させることについて合意したが、明確な合意書は取り交わさなかった。その後、被申立人が取り決めた数量どおりに製品を購入せず、供給契約を一方的に解除したため、申立人は被申立人に逸失利益などについて損害賠償を求めた。
本件は極めて難度の高い事件であった。まず、事案の内容が複雑で、契約交渉から締結、解除に至るまでに長い時間が経過しており(ほぼ20年)、関係者が多いうえに退職した担当者もおり、事実の復元と証拠の収集に困難を極め、隙のない完璧な証拠チェーンの運用が必要になった。さらに、被申立人が仲裁の途中で新会社設立義務が履行されなかったのは申立人の契約違反だと主張し始めたために、申立人は、既存子会社が契約に基づく新会社にあたることについて、交渉、締結、履行といったさまざまな面から立証しなければならなくなった。
次に、契約の準拠法は香港法であったため、法の適用や解釈の難度が高くなった。本件における最大のポイントは、契約自体は第三者の利益のために締結されたものであるが、契約当事者の一方の違約が当該第三者に損害を与えても当該第三者には救済手段がない状況で、契約の相対性を乗り越え、他方当事者が違約当事者を相手に当該第三者のために、損害賠償を請求する権利を有するか、というところにあった。つまり、既存子会社は、被申立人の違約による直接の被害者ではあるが契約当事者ではないため、契約の相対性の原則に基づけば被申立人に対して救済手段を持たない。一方で、申立人は、契約当事者ではあるが被申立人の違約による直接の被害者ではない。かかる状況で、申立人は、既存子会社の利益のために締結された契約に関し、既存子会社の損害について被申立人に対して賠償を請求する権利を有するか、ということである。この問題について、本件では「transferred loss」原則を援用した。ただし、この原則は契約の相対性原則の例外としてコモン・ローの判例から発展した法的原則にすぎず、成文法ではまだ確定されてはいないため、中国大陸の法律背景を主とする仲裁廷にどのように認めさせるかも、かなり大きな挑戦となった。また、「transferred loss」原則の適用条件についても被申立人と論争を繰り広げたが、多くの詳細な判例と文献を通じて、仲裁廷に申立人の主張を認めさせることができた。
第三に、逸失利益の計算方法は複雑且つ専門的であり、さまざまな計算根拠について多くの検証と選択が必要となり(例えば、被申立人の要購入量は需要量によって決まることから、大量の客観的且つ詳細な証拠によってその需要量を証明し、そこから逆に要購入量を推定することが必要であった)、さらに専門監査機構の専門意見も必要になった。
本件仲裁判断は、「transferred loss」原則の適用、逸失利益の計算などの問題の認定のいずれに対しても重要な意味を持つものとなった。当職らは代理人として事実をできうる限り復元し、且つ法律と判例に基づいて十分な論証を行い、クライアントのために理想的な結果を得ることができたのである。


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