キーマンインタビュー

全農(上海)貿易有限公司
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全農(上海)貿易有限公司

  • エリア:浦東

董事長総経理 辻野 智彦 氏

中国と日本の
生産者と消費者を安心で
結ぶ懸け橋に

日本の農家が使用する肥料原料など、中国からの生産資材の調達や、日本のお米・お酒・加工食品などを中国国内で販売。将来的には日本産和牛、青果物、乳製品などの幅広い日本の農畜産物を中国の消費者に紹介したいと意気込む同社董事長総経理・辻野氏に話を伺った。



「一人は万人のために、万人は一人のために」~One for All, All for One~

協同組合とは、一人ひとりでは経済的に弱い立場にある個人や中小規模の事業者などが集まり「相互扶助」の精神で助け合いながら共通の目標を達成するための組織です。日本では農業協同組合(JA)や生活協同組合(生協)など、第一次産業から第三次産業まで幅広い分野で組織されています。中国では、今年10月に開催された共産党大会でも重要キーワードになっている「共同富裕」に似た精神にもとづき活動している組織と言った方が理解されやすいかもしれません。
 世界に目を向けてみると、協同組合の国際団体であるICAに加盟している組織は105カ国301組織であり、協同組合の組合員は全世界で10億人にのぼります。金融・保険(利息・保険料収入)を含む取扱高が1億ドルを超える協同組合は世界で1,658に上り、その取扱高の合計は285兆円を超えます。国際社会でも発揮される大きな力となっており、全農は世界最大の農協組織です。また、2015年に国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)で、協同組合はその実行にあたり役割を担う民間セクターの1つにも明記されています。

 一方、JA(Japan Agricultural Cooperatives)グループは、 生産者(組合員)の営農と生活を守り高め、 豊かな社会を築くことを目的として組織された農業協同組合組織です。 全農はJAグループの中で、 農産物の販売や生産資材の供給といった 経済事業を担う組織です。経済事業を通じて生産者と消費者を結び、産地や地域社会の活性化、環境の保全に取り組んでいます。「農は国の基(もとい)」とも呼ばれる農業は、国民に食料を安定的に供給するだけではなく、防災・減災や国土保全等の多面的機能を有し、地域ごとの多彩な食文化や祭りなどの豊かな伝統文化、四季折々の美しい景観を育み、日本のアイデンティティの原点のひとつとなっています。 JAグループとその一員である全農には、地域とそこで農業を営む農家・組合員を支え、このアイデンティティを世界と未来へつなげていく使命があると考えています。


全農グループ経営理念「生産者と消費者を安心で結ぶ懸け橋になります」

全農の役割は、生産者の営農とくらしを支援し、農業と地域の活性化を図るとともに、安全・安心な農畜産物を消費者に安定的に供給することです。会員であるJAや県連合会と協同してスケールメリットを生かした競争力ある事業活動によって、その役割を追求しています。たとえば、営農に必要な飼料や肥料などの原料は海外から直接調達し、自らの工場や配送ルートなどを通じた原料から製品までの一貫した流通システムで、コスト削減と安定供給を図っています。消費者への食料供給では、市場流通だけでなく、大消費地に農畜産物の直販施設を設け、量販店や生協などにダイレクトに販売しています。多様化する消費者ニーズに的確に応えるため、産地や関連会社、他企業などとのコラボ商品の開発にも取り組んでいます。

 海外においても、海外ネットワークを活用した国産農畜産物の輸出拡大と、肥料・飼料原料などの安定確保に取り組んでいます。輸出事業の現地拠点として、米国、イギリスのほか、近年では特にアジアに注力しています。2015年のシンガポールに続き、2018年に香港・台湾、2020年には、ここ上海に現地法人を設立しました。また、2021年にはマカオに香港の支店を設け、国産農畜産物の輸出拡大に取り組んでいます。ほかには香港に焼肉レストランを出店。日本産和牛の「高い品質」、「おいしさ」、「安全性」をアピールするとともに、食べ方などを提案し、普及拡大を目指しています。 肥料事業では、 海外山元との関係強化に取り組むとともに、中国では貴州省の国有肥料企業と共同で福建省のリン酸肥料工場へ出資するなどして、高品質な肥料原料の安定調達と取扱拡大をはかっています。


食でスポーツを応援

プロのアスリートから、これから羽ばたく子どもたちまで、全農は「ニッポンの食」で応援しています。卓球日本代表とカーリングでは、オフィシャルスポンサー契約を締結。国内で開催される大会に協賛し、副賞提供や会場でのサンプリングをつうじて国産農畜産物をPRしています。海外遠征する日本代表選手には「ニッポンの食」を提供するとともに、現地で日本食材を使った食事を提供してサポートしています。


将来的には、中国の食卓に日本の和牛や果物を

 中国においては、日中国交正常化の以前から、友好商社として中国供銷合作社との協同組合間交流を続けた歴史があります。1980年には、中国向け農業関連資材や設備などの輸出や穀物の調達拠点として北京に駐在員事務所、1991年には、肥料などの生産資材原料の調達拠点として上海に駐在員事務所を開設し、2020年には、全農グループでは一番新しい海外現地法人である全農(上海)貿易有限公司を立ち上げ、新たに日本産食品の輸入販売事業をスタートさせました。
 食品輸入規制が強い中国では、日本から輸出されるすべての食品・飼料などについて、10都県のもの(新潟県産の精米を除く)は輸入停止措置を講じるとともに、日本の政府機関が発行する証明書を求めています。販売可能となる品目範囲が精米や加工食品に限定されていますが、JAグループの商品を中心に、これまで取り扱ってこなかった酒類や飲料などの新商品の取り扱いを開始しました。将来的には、和牛・青果類・乳製品など幅広い農畜産物の輸入解禁が進んでいき、円滑な物流と信頼できるマーケティングの仕組みづくりなどで活躍できることを期待しています。時代や体制は変わっても、原料調達や日本産農畜産物の輸入販売の拠点として、今後もJAグループと中国をつなぐ事業の構築と発展に貢献してまいります


2020年10月に着任し、中国拠点では初めてとなる食品販売事業を開始。前回駐在時代と比べて大きく変化した中国に戸惑いながらも、チャレンジと変化の毎日を楽しんでいる。当面の夢は、和牛などの安全で美味しい日本産の農畜産物を中国の消費者にお届けしたいこと


全農がサポートする卓球 石川佳純選手とともに、日本産の食品と農畜産物をPR



PROFILE

プロフィール 
Tomohiko Tsujino

1967年生まれ。栃木県出身。宇都宮大学農学部卒。1991年JA全農の貿易会社(株式会社組合貿易)に入社。中国との最初の接点は1992年に山東省煙台出張。2004年から2010年まで上海駐在員事務所に勤務。世界各地との農業関連資材の販売や各種原料の調達などの輸出入事業に一貫して携わる。2020年に全農の農産物輸出事業を統括する部門である輸出対策部から上海に赴任、現職に至る。



辻野さんをさらに知る

オフの過ごし方

2017年に日本で始めた障害物レース“SPARTAN RACE”に向けたトレーニングで汗をかいています。上海でも中国人の仲間とともに、同一日に5㎞(障害物20個)と10km(障害物25個)に出走。貴重な交流の機会にもなっています。


長年の趣味


妻の影響で1994年から宝塚歌劇団の大ファン。観劇の度に、気持ちがリフレッシュできる夢の時間が楽しみです。時には、息子たちも一緒に家族揃って観劇することも。OGの愛希れいかさんや、現星組娘役トップの舞空瞳さんを応援しています。


猫大好き


うちの猫は日本で息子たちと暮らしていますが、上海市内で街猫をみかけると、可愛さについ近づいてしまいます。時には猫用おやつを携えて、猫探しの散歩に出かけることも。

全農(上海)貿易有限公司

住所 浦東新区陸家嘴環路1000号恒生銀行大厦27楼 MAP
電話 021-6841-1177

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