キーマンインタビュー

KPMG中国
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KPMG中国

  • エリア:南京西路

グローバル・ジャパニーズ・ プラクティス中国総代表 林田 弘徳 氏

Purposeが問われる時代

「いいとこどり」サービスで

お客様と共に未来を切拓く

日系企業が抱える経営課題に対して監査、税務、アドバイザリーサービスなど、多岐に亘るソリューションを提供している「KPMG中国」。「日系企業の皆様と一緒に未来を切り拓いていきたい」と語るグローバル・ジャパニーズ・プラクティス中国総代表・林田氏に話を伺った。



中国有数のプロフェッショナル集団

KPMGは中国に進出している日系企業のさまざまな経営課題にソリューションを提供しています。具体的にはアドバイザリー、税務業務、会計監査業務を提供しています。なかでもアドバイザリーは、経営計画・成長戦略の立案、市場調査、業務システムのDX、業務プロセスの高度化、サイバーセキュリティ、不正調査・防止、M&A支援、組織再編、金融機関のライセンス取得支援など多岐に亘ります。
 KPMG中国は、1983年に中国で最初の事務所を開設し、1992年に合弁の形で中国大陸で開業許可を獲得した最初の国際会計事務所の一つです。現在は30カ所のオフィスに14,000名を超える人員を抱える大きな組織となり、既に最大の顧客層は中国ローカル企業です。
 弊社には各分野のプロフェッショナルが所属し、その中で、我々グローバル・ジャパニーズ・プラクティス(GJP)が日系企業に最適なサービスを提供できるプロフェッショナルを厳選し、彼らと協働して、サービスライン、地域、国境を越えた「いいとこどり」サービスを提供することで、お客様ファーストの柔軟な対応を実現しています。
 中国は距離的にも文化的にも日本に近く、日系企業にビジネスチャンスがある一方で、政策上或いは地政学上の独特の難しさが伴います。この市場を理解し、日系企業の皆様にサービスを提供するには、腰を据えて取り組むしかない。そう考え、2019年に駐在員ではなく現地のローカル社員となる決断をし、日本に帰任する退路を断ちました。現在は、KPMG中国の日系企業向けサービスの責任者として、中国本土と香港を統括しています。

チームプレーでロックダウンを切り抜ける

日本国外に進出する日系企業が最も多いのは中国です。弊社の日系企業サービスの売上も、中国がアメリカに次いで世界第2位となっており、今後もさらに成長することを期待しています。
 日本企業の中国子会社は、急速な市場と技術の変化に応じて、その事業目的(Purpose)が問われています。例えば、製造拠点から販売拠点への変革、ブランド力と競争力を維持する方法、規制対応のコストなど、中国ビジネスの方向性について多くの日系企業の経営者が悩まれています。このような時代だからこそ、弊社がお役に立てることがあるのではないかと考えています。
 今年直面した最大の困難は、2カ月以上続いた上海ロックダウンです。多くの日系企業の決算は3月で、上海にある日系企業も3月末までの数値を確定して日本に報告する必要がありました。我々のクライアントでも、棚卸が実施できない、銀行確認状が取れないのは当たり前で、そもそも出社できないので数値の確定ができないケースも見受けられました。弊社はその後に監査を完了させる義務があったので、さらに困りました。しかし、KPMG中国と日本そしてクライアントが迅速に協働することにより、お客様に大きなご迷惑をおかけすることなく決算は終了させることができました。ご協力いただいたクライアントにこの場を借りて感謝を申し上げます。

Together, For Better.

積極的に展開している主な取組みは、①情報提供の充実、②日中クロスボーダー案件、③日中相互人材育成です。
 コロナで実際に人と会う機会が減った今、日系企業への情報提供の充実を図るために「中国ビジネス総点検」というシリーズのセミナーを12月まで毎月開催しています。税務関係でも新基準や指針が出た場合、すぐに日本語で情報提供しています。さらに、過去のセミナーも可能な限りオンデマンドでいつでも視聴できるようにしました。
 日中クロスボーダー案件は、日系企業が中国に投資する際、以前のように必ずマジョリティをとる前提ではなく、マイナー出資も増えています。一部の事業から撤退する際に、会社を清算するのではなく現地で買い手を探すのも一般的になりました。今後は日中が協力する事業を中国で上場させるような案件も増えると予想されます。弊社は状況に応じて様々なご支援が可能です。
 人材育成について、まず中国人材の育成ですが、KPMGジャパンは20年以上北京の中央財経大学と協力して日本人向けサマースクールや、最大2年間の留学プログラムを実施しており、留学、短期赴任、3年以上の駐在というステップを準備しています。次に中国側の人材育成は、日本語も話せる中国人プロフェッショナルを日本に1~2年程度赴任させ、日本本社へのサービス提供を経験させています。このような人材が増えることで、社内で日系のカルチャーやマインドセットが浸透しサービス水準が向上することを期待しています。
 中国は今後しばらく発展を続け、日系企業の皆様にとって魅力的な市場であり続けると思いますが、特有の難しさが無くなることもないと思います。各種規制への対応、国産品との闘い、人件費を含むコスト問題、DXとSX、BCP(事業継続計画)など、魅力的な市場でありつつ、世界でも稀にみる難しいマーケットだと日々感じます。
 中国の日系企業の多くはいまだ日本人の経営者がメインで経営されています。我々はこの方々のお力になりたい。KPMG中国の各種プロフェッショナルのソリューションを「いいとこどり」してクライアントに届けたい。できるだけ多くの日系企業にKPMGのグローバルネットワークを活用したソリューションを享受してもらいたいと考えています。
 今年、社内で共有した言葉は「Together, For Better.」です。社内外でビジョンを共有し共に頑張りたいという思いを込めています。今後も腰を据えて中国で事業展開し、日系企業の皆様と一緒に未来を切り拓いていきたいです。


2007年に中国へ初赴任し、今は二度目の赴任、現在10年目になります。前任者が29年間も中国で勤務したベテランであり、経験ではかないませんが、その分とことん新しいことにチャレンジしていきたいと思っています


セミナー「中国ビジネス総点検」の初回でデジタル中国について講演しました



PROFILE

プロフィール 
Hironori Hayashida

奈良県出身、関西学院大学経済学部卒。2001年に公認会計士合格とともにKPMG東京入社。2015年KPMGあずさ監査法人パートナー就任。2007年に一度目、2017年から二度目の上海赴任となり、今年、中国通算10年目を迎える。2022年にKPMG中国 グローバル・ジャパニーズ・プラクティス(GJP)中国総代表に就任し現在に至る。



林田さんをさらに知る

仲間と共にゴルフをプレー

2007年に上海へ初赴任した際、大学OBのゴルフチームに加入したことがきっかけで始めました。楽しい仲間と一日中笑いながら、時には真剣勝負というのが楽しいです


ワイン愛好家


自宅には100本を超えるワインを備蓄し、ロックダウンもワインで乗り切りました。近年はブラインドテイスティングの大会にも出るほどです。ワインが結び付けてくれたご縁も多く、お酒が飲めることに感謝


中学校時代から始めたドラム


なぜが自宅の倉庫にドラムがあり田舎だったので自由に叩けました。バンドで演奏する際に、グルーヴを作れることと、盛り上がりでシンバルをジャーンとやるのが最高です


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