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名誉権侵害に関連する問題の考察と分析(三)

本稿では主に、ネットワークによる権利侵害の責任主体と認定方法、法人の名誉権に係る法的保護の競合、そして名誉権侵害にいかに対応するか、これら3つの観点から簡単に検討・分析を行いたい。


名誉権侵害への対応


 インターネットには情報源の特定が困難である、多拠点で伝播されるなどの特徴に基づき、名誉権侵害事件において権利保護の技術性の強化が現れている。具体的には次の6つのステップに分けられる。 
 一、侵害者の調査と確定
 名誉権侵害の嫌疑のある媒体を発見した場合、まずはICPライセンスからプロバイダーを照会することができる。コンテンツ発表者の真実の氏名の特定については、前々回(一)に述べたとおりである。
 二、証拠の固定化と保全
 ネット上の言論には適時性や恣意性といった特徴があり、変更や削除が極めて容易である。そのため、後からどのような法的措置を講じるにしろ、権利侵害のある言論と拡散したコンテンツについて証拠保全をしなければならない。保全にあたっては、タイムスタンプなどの電子証拠保全ソフトウェアを使用したスクリーンショットまたは公証処での現地公証といった方法がある。また、情報の発表日時、閲覧数、転載数、コメント数、他のメディアが引用して発表した文章などのコンテンツを一括して保全するよう注意しなければならない。
 三、プロバイダーへの連絡・削除
 遅滞なくプロバイダーにクレームをすることは、権利侵害を止めさせる有効な手段である。権利者は、プロバイダーの公式クレームチャネルに通報して権利侵害の資料を提出するか、または自ら若しくは弁護士に委任してプロバイダーにレターを送って、削除、ブロック、リンク切断などの措置を求めることができる。
 四、企業または弁護士の声明の対外的な発表
 明確な声明を可及的速やかに発表することで、世論の広がりをある程度抑制できる。ただし、事件そのものがまだ公衆若しくはメディアの関心を集めていない場合または事件そのものがセンシティブな性質である場合には、二次的な伝播を引き起こさないように、声明発表の是非について慎重に検討しなければならない。
 五、行為保全
 成功事例の数は少ないものの、司法実践には、行為禁止命令を申し立てて裁判所から支持された名誉権事件もある。このうち代表的なものには上海長寧法院が審理した「拼多多事件」、北京海淀法院が審理した「網易考拉事件」があり、両事件とも関連メディアに掲載された係争文章とコンテンツの削除にかかわるものである。
 六、民事救済/行政救済/刑事救済
 民事訴訟の提起は最もよく採用されている法的救済手段であるが、このほかにも権利者の選択肢として行政救済と刑事救済が存在する。このうち、自然人の名誉権侵害に係る刑法規則は侮辱罪と誹謗罪であり、私訴犯罪に該当する。法人の名誉権侵害に係る刑法規則は商業信用・商品名声毀損罪である。
 通常の場合、調査と処理のスピードが最も速いのは公安機関による治安処罰であり、速やかに結果を得ることができる。これに比べると、民事訴訟も刑事私訴もより長い時間がかかり、即時に効果は得られない。また、民事訴訟の提起、弁護士レターといった平等な主体間の民事行為に比べると、公安機関は国の公権力機関であるために、行為者に対してより強い抑止力と統制力を持ち、権利侵害行為を速やかに止めることができ、その他の人にも威嚇と影響を及ぼすことが可能となる。その上、公安機関は治安処罰調査と処理過程でより効果的に権利侵害の証拠を収集することが可能であり、後日の刑事私訴または民事訴訟の証拠収集作業にも相当に役立つ。したがって、行政救済も効果的な法的救済手段の一つとなろう。
 民事救済や行政救済と比べた場合、名誉権及び営業上の信用の侵害に係る刑事事件の数は少ない。その理由は、権利者の損害請求がより高額であるため、立件にあたってより高い証明基準が必要になるからである。

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