キーマンインタビュー

電心軟件科技(上海)有限公司
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電心軟件科技(上海)有限公司

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董事長・総経理 小川 哲夫 氏

ゲームから人々の生活まで
ソフトウェアの品質サポーター
中日、世界の架け橋となる


“Save the Digital World”をミッションとし、ゲームの不具合を検出するデバッグからIoT・DX領域のシステムテスト、そのセキュリティ監視・対策まで、ソフトウェア産業を品質面から支える「デジタルハーツ」。中国現地法人の小川氏に話を伺った。



上海で品質管理をサポートして5年

 電心軟件科技(上海)有限公司(デジタルハーツ上海)は中国大陸におけるゲームソフトのデバッグ事業を目的として、2016年に設立された東証一部上場のデジタルハーツの子会社です。ゲーム会社が開発するゲームを品質面からサポートし、中国ゲーム市場の発展への貢献を使命としています。中国台湾、韓国、米国、ベトナムなどにも拠点を有し、なかでも、中国大陸はその市場性ゆえに重要なポジションに位置付けられており、私はその現地法人立上げの責任者として赴任しました。
 現在、中国のゲーム市場は約4.4兆円に達し世界最大となり、中国のゲーム会社が海外で稼ぐ約1.6兆円を加えると約6兆円規模で、この世界的なコロナ禍においてもプラス成長を続けています。約4.4兆円のうち、スマホゲームが75%を占め圧倒的で、次にPCゲーム、Webゲーム、コンソールゲーム(家庭用ゲーム機)という順です。弊社のデバッグ事業はこれら全てのゲームが対象となりますが、当初はSony Interactive Entertainment様が推進し中国のゲーム会社を支援するChina Herro Project(中国之星计划)におけるQA(Quality Assurance)やUX(User Experience)の向上をサポートする品質管理パートナーとして参画させて頂き、ゲームソフトの各種テストをはじめ、品質管理の重要性の啓蒙活動をしています。

屈指のワンストップサービスを提供

 中国ではコンソールゲームよりも先にスマホやPCなどの機器で遊ぶゲームが流行しました。こうしたゲームはバグが発生してもオンライン上でこっそりと修正できるがゆえに、ゲーム品質に対する認識の低さが浮き彫りになったり、情報流出を懸念して開発作業を自社内部のみで行う企業が多かったりと、多くの障壁が重なり、当初のデバッグ事業は思い通りにはいきませんでした。最近は海外進出、いわゆる『出海』を目指す中国のゲーム会社やコンソールゲームを開発する会社が増え、品質を重要視する傾向が出ているのは嬉しいことです。正直なところ、当初2年間は赤字で苦労続きでしたが、China JoyやWe Playなどの国内イベントへの出展をはじめ、北京・上海・広州での出海セミナー主催など、地道に営業活動をするほか、お客様のニーズに合わせて翻訳事業やクリエイティブ事業などのサービス拡充をスタートし、海外とりわけ日本へ出海するならデジタルハーツへとお声掛け頂くケースが増えて参りました。お陰様で3年目以降は単黒転換し、翌年は累損解消に至り、事業が軌道に乗り、社員も当初の5名から60名程度に増えました。また収益に占める8割が中国のゲーム会社様からのお取引で100社超となりました。中国の日系ゲーム会社様はもちろんですが、地場のゲーム会社皆さまのご支援とご愛顧に心より感謝しております。
 中国のゲーム会社が日本進出する場合、当社では先ずそのゲームタイトルについて日本のゲーマーに調査するユーザテストを行います。進出を決定した場合、翻訳や多端末検証(日本のスマホや三大キャリアのモバイルネットワークでの動作検証)、日本語音声収録、広告、カスタマーサービスなど、一連のサービスをデジタルハーツグループ各社が一丸となってワンストップサービスを提供することができます。特に翻訳はゲームやアニメ、コミックに精通した当社在籍の翻訳者が翻訳・校正し、最後には日本においてネイティブチェックされます。英語であれば米国、韓国であれば韓国の拠点で最終チェックされ、この品質へのこだわりがお客様から支持される一つの要素となっています。

ゲーム業界以外の分野で活躍

 この出海について冒頭では中国のゲーム会社の海外売上は約1.6兆円と申し上げましたが、これは前年比130%となり、売上順に米国・日本・韓国で全体の6割を占めています。これは中国政府による後押しもありますが、中国ならではの事情もあるようです。ご存知かもしれませんが、中国ではゲーム産業の健全化のため、『版号』と呼ばれる審査制度があり、ゲームコンテンツが中国の法律や道徳に違反していないか、暴力や残虐・恐怖、性的な描写が度を超えていないか、言葉や歴史・文化に関する表現が妥当か否かなど厳しくチェックされます。また、年齢別規制のレーティングや実名制登録、プレイ時間の制限なども設けられ、その管理監督は年々厳格化されています。健全化のためには仕方ないことかもしれませんが、少々窮屈に感じるゲーム会社は海外に出ていくのかもしれませんね。
 今後の事業ですが、広告に関連して中国のゲーム会社が日本はじめ台湾や韓国、東南アジアなど進出する際にTVCMやSNS、LINE広告、OOH、KOLなどのマーケティング面から中国のゲーム会社をサポートさせて頂くエージェンシー事業、そしてIPキャラクター・ゲームなどのデジタル版権に関するビジネスマッチングを行うIPコンテンツ事業を展開して参ります。これにより、中国のゲーム産業における出海のための総合サービス企業となり、その発展に貢献していければと考えています。
 また、ゲームとは全く異なる領域ですが、ソフトウェアの国際資格ISTQBを弊社で取得したこともあり、これを機に在中国の日系企業、とりわけ研究開発を行う会社が開発するソフトウェアに対して専門かつ第三者的観点からデバッグを行い、アウトソースによる品質向上と固定費削減のお手伝いをさせて頂いております。空調などの家電や複合機などのオフィス機器、教育アプリ、車載ナビ、スマホ、ECサイトなど、身近にはソフトウェアで動くものが沢山あり、最近はIoT化も進んできていますので、その品質向上のためのテストのニーズは増えていくと考えています。今後はデバッグに加えて簡易なソフトやアプリの受託開発、セキュリティ、在庫・資産・物流管理などに最適な次世代カラーコードなどの様々なサービスを通じて、日系企業の皆さまのお困りごとに応えるようなITソリューションのご提供にも取り組んで参ります。


中国は通算20年を迎え、初めて中国に来た時と比べ中国の急速な経済発展、人々の生活スタイルや街並みの変化は隔世の感を禁じえません。特にIT業界の変化は速くキャッチアップが大変ですが、可能性を求めてチャレンジ&チェンジしていきたいですね


社員たちと。当初5名だった社員が増えました。私以外は皆さん若く、ゲームやアニメが大好きです



PROFILE

プロフィール 
Tetsuo Ogawa

1969年生まれ、栃木県出身。千葉大学卒業後、大手通信会社に就職。1994年に会社派遣で北京外国語大学へ語学留学し、その後は北京及び上海の現法立上げと総経理就任、データセンターの設立に従事。大手音楽配信会社勤務を経て、2016年からデジタルハーツ上海の総経理就任、2021年より董事長を務める。



小川さんをさらに知る

地道な活動を大切に

北京・上海・広州での出海セミナーなどを通じて、自社グループのサービス紹介にとどまらず、品質向上の重要性や改善方法の啓蒙活動もしています。


長期休みは旅行へ


映画『キングダム』のロケ地となった像山影視城にて。幾つもの有名な映画が撮影された映画村ですが、その舞台の裏側が窺えてお勧めです。

週末は上海の史跡巡りへ

木之内誠著『上海歴史ガイドブック』とカメラを携えて史跡巡りをしています。現在の地図上に昔の史跡名と歴史が紹介されており、先人がここで何をしていたんだなぁなどと思いを巡らすのが好きです。


電心軟件科技(上海)有限公司

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住所 普陀区真北路958号天地科技広場2号楼203室 MAP
電話 021-6289-6166

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