キーマンインタビュー

日本貿易振興機構大連事務所
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日本貿易振興機構大連事務所

所長 首席代表 総経理 重岡 純氏 2021年1/2月号

変化の時代に進化を求めて
顧客の未来を見据えて
「共創」で企業を強くする 


日本に親しい大連へ二度目の駐在


 本貿易振興機構(JETRO)は2003年に設立された独立行政法人です。 海外74カ所、国内48 カ所のネットワークをフルに活用し、海外ビジネス情報の提供、中堅・中小企業等の海外展開支援、対日投資の促進などに取り組んでいます。そのうち中国においては上海市、北京市、広州市などに8拠点を構えています。各拠点では、日本へ進出する中国企業のサポートのほか、日本企業の中国市場開拓の面では、農林水産・食品産業、高齢者産業、環境・省エネ産業、自動車産業、サービス産業や消費市場開拓に重点を絞って事業を進めています。私の中国駐在としての経歴は、 2007~2009 年にかけて1年半青島事務所、その後 2009 ~2012 年に大連事務所にて勤務しました。青島に赴任する前は東京本部の知的財産課に所属し、中国における日本コンテンツの海賊版対策を担当していました。また前回大連から東京本部に戻った際は、中国との貿易投資相談を担当していましたが、国別の相談数は中国が最も多く、その内容も非常に幅広いものでした。中国に対する関心が非常に高いことが伺えます。
 今回は2回目の大連駐在になります。8年ぶりの大連は恒隆広場、パビリオンなど新しい商業施設が建てられ、現代的な都市に変貌しつつありますが、以前の繁華街である西安路の雰囲気はあまり変わっていないのが印象的です。以前青島に駐在した時、地元の方とお付き合いするにあたって、まず日中の違いをすり合わせしなくてはならないという面がありました。青島には日本人も日系企業も大連ほど多くなく、日本人の考え方や日系企業の商習慣などについて理解している人はあまりいませんでした。お互いが理解し合えば深く付き合えるというところは大連と同じですが、相互理解までにより多くの時間はかかると思います。その点でいえば大連は日本語人材が多く、日本の文化、習慣などに触れる機会は非常に多いので、日本人とすれば最初から違和感なくお付き合いできるように思います。
 大連市は日本と距離が近く、早くから日系企業が進出し、日本からの対中投資額の10%が大連に集中していることなど、日本との経済的な結びつきが強いです。中国のほかの都市と比べ、大連市の日系企業に対する期待は益々高くなっていることを感じます。去年5月、中日(大連)地方都市発展協力モデル区が設立されました。日本企業との連携を強化しながら、ハイエンド設備製造業、新材料を中核産業として、製品・技術のイノベーション、サプライチェーンの最適化、ファイナンスサービスの充実化により、東北地域の伝統産業のグレードアップを図ることを狙いとしているそうです。また、9月に開催された中日(大連)地方都市博覧会は従来の大連日本商品展覧会をグレードアップしたもので、3日間の入場者数は10.3万人にのぼり、販売総額は2.4億元を記録したそうです。


ジェトロ大連事務所の活動


 ジェトロ大連の業務は、イノベーション促進、対日投資促進(中国企業の日本への誘致)、農林水産・食品の輸出促進、(在中国)日系企業の中国国内販売支援、法務・労務相談事業、高齢者ビジネスの交流促進などです。その中でも農林水産・食品の輸出促進は重要な柱の事業ですが、去年はコロナ禍の影響で日本から出張者が大連に来られないので、各種商談会が従来のように対面方式で実施できない状況です。ただ、その代わりにオンライン商談会というものを数多く企画・実施しています。オンライン会議ツールを活用したこの商談方式は、対面方式に及ばない面もありますが、場所を気にせず商談できるメリットがあるので、初歩的な商談にはむしろ向いているようにも思います。コロナ禍が収束して日中間の往来が自由にできるようになっても、オンライン方式の活用はある程度続くのではないでしょうか。
 法務・労務相談事業に関しては、個々の企業のお悩みは相応にあると思いますが、大連に関していえば、インフラ関連の基本的な問題などは以前と比べるとあまり聞かなくなったという印象です。瀋陽ではまだ基礎インフラの脆弱性を指摘する声もありますので、そこはまだ都市間で差があるように思います。他方、優秀な人材を確保することが難しくなってきているとの指摘があります。これは一朝一夕には解決できない課題ですが、少なくとも需給のミスマッチは減らしていくような工夫が必要だと思います。
 日本製品(主として日用品、食品)輸出促進について、日本はまだコロナ感染が収束していない状況にあり、経済の回復が遅れているなか、中国は世界で唯一急速に経済回復に向かっています。足元の状況からすれば、日本国内で苦境にあえいでいる中小企業が活路を中国市場に求めるのは自然な流れです。大連には既に日本商品が日常にあふれていて、市場が急に拡大するわけではありませんが、まだ紹介しきれていない商品も多くあると思いますので、ジェトロ大連としては少しでも多くの輸出成果が上がるよう、できること全てに取り組んでいかなければなりません。


視点を変えると今までと違う景色が見えてくる


 日本のメディアなどでも、中国の急回復ぶりが報道されています、他の国と比べ、中国国内経済の回復傾向が顕著になりつつあります。2020年の第2四半期(4~6月)GDPは、前年同期比3.2%増とプラスに転じました。大連市は海辺都市としてのビジネチャンスをさらに拡大させるべく、現在、力を入れています。前回大連勤務の時は総務、経理など、事務所内での仕事がメインでしたが、今回は対外的な仕事へと変わりました。したがって、仕事を通じて見える景色も違っています。日中関係が良好な時期に赴任できたことは幸いだと思いますが、世界的なコロナ禍に見舞われている中、様々な面でこれまでとは違うことをしていかなければならないと感じています。これまでの経験をベースに頭を柔らかくして仕事にあたりたいと思っています。


2020年9月大連世界博覧広場に開催された中日(大連)地方都市博覧会にジェトロもPRブースを出展しました。食品の中国向け輸出の支援や商品マッチングプログラム、対日投資支援事業などの紹介を行いました。



PROFILE
しげおか じゅん

1966年生まれ、神奈川県出身。1990年、日本貿易振興会(当時)入会。経済情報部計量分析チームを経て、国際経済課、知的財産課など主に調査部門にて勤務。神戸、福島の地方事務所でも勤務。経済産業省、および新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)へ出向。2009年~2012年、2020年~大連にて勤務。


<重岡さんをさらに知る>


人生はキャッチボール


小学校から野球を始め、中高は野球部に所属、前回駐在時には大連野球連盟のチームに所属していました。今でも断続的に職場などの草野球に参加しています。定年後、還暦野球のチームへ所属しようと思っています。


散歩のお気に入りスポット


休日はできるだけ身体を動かすようにしています。ジョギングは膝への負担があるのでほどほどにして、街中を歩いています。以前住んでいた星海広場周辺はお気に入りスポットです。


振り返る時間も大事


前回の大連駐在時は家族帯同でした。4歳だった息子は大連の幼稚園に通い卒園しました。2桁の足し算やら漢詩の暗唱などがあり、幼いながらにこなしていた息子を「天才か?」と錯覚していたのが懐かしいです。


日本貿易振興機構大連事務所

大連市中山路147号大連森茂大厦19階
℡(0411)8360-9418

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住所 辽宁省大连市中山路147号大连森茂大厦19阶 MAP
電話 0411-8360-9418

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