キーマンインタビュー

璨臻(上海)婚慶礼儀服務有限公司
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璨臻(上海)婚慶礼儀服務有限公司

総経理 松野 雄一郎 氏

中国人による中国人のための
おもてなしを提供する
ゲストハウスウェディング


国際都市である上海で「おもてなしに特化した、中国人のための中国人によるゲストハウスウェディングの場を提供する」を目標に掲げ、これまでに約500組の挙式をあげてきた「嘉美麓徳」。設立当初から現在まで、全体の指揮をとりつづける松野氏に話を伺った。



20年の歴史をもつウェディング事業

 弊社がウェディング事業へ進出した当初の日本では「ゲストハウスウェディング」という言葉が一般的ではありませんでしたが、ヨーロッパ等のゲストハウスをモチーフに、親しい方々をお招きしてプライベート性とおもてなしを重視した婚礼スタイルは、現在も広く支持されております。多様化するウェディングのニーズに応えるべく、弊社では、自由で楽しく、心が通い合う少人数のゲストたちで式を挙げる新しいウェディングプラン「ユニティウェディング」もスタートしました。価格、時期、おもてなし、演出、装飾など、あらゆる面でサポートし、大切な人たちと過ごす感動的な結婚式は、大変ご好評頂いております。
 国際都市である上海には、価格に関係なく良いサービスを受けたい、高品質なものが得たいというこだわりをもつ方が増えたと感じていました。3年にも及ぶ念入りなリサーチ期間、準備期間を経て、昨年3月に初の海外店舗をここ上海にオープンさせました。これまでに約500組の新郎新婦様が弊社の婚礼会館にて結婚式を挙げました。懐古主義ではなく現在の婚礼ニーズを反映させた、満足度の高い施設のほかに、料理や装花、美容、衣装、写真撮影、アルバム等フォト製品の企画・開発サービスに至るまで、ワンストップで対応しております。新郎新婦様の細やかなご要望が実現できるよう努め、特別な1日を過ごして頂くに相応しい世界観を提供しております。また、新忘年会、セミナー、誕生日パーティーなど各種イベントも開催でき、50名様から350名様まで対応可能です。

文化の違いを受入れる大切さ

 中国法人設立から中国事業の責任者として先頭に立っていますが、中国と日本の婚礼文化の違いには戸惑うことばかりでした。式の主役は新郎新婦様でありながら親御様の面子を立てる日でもあること、新郎新婦様と面識がないゲストの出席が多いこと。結婚式に涙はいらないと考えられることが多く、感謝の手紙等で感動的なシーンで最後を締めくくるといった提案が全く受け入れられないこと等、日本の当たり前が当たり前ではないのだと思い知らされました。これらに関しては、文化の違いと納得し、中国式をベースにアレンジすることとしました。現地スタッフとの関わり方も一筋縄ではいかず、ミスを朝礼で共有したら面子がなくなったと抗議されたり、ゴミ拾いは業務に含まれていないと反発の声が上がったりしていました。加えて、お客様の役に立ちたいというサービス精神が自ら湧き、行動することは滅多にありませんでした。これらは今尚解決できずにいる問題で、文化の違いよる溝が埋まることは容易なことではないでしょう。こうした問題は、一方的に考えを押し付けるのではなく、私たち日本人が中国人を理解することが大切だと考えています。そのためにスタッフとコミニュケーションをとり、その人の個性を見抜くことを意識的に行っています。中国のサービスレベルはそこまで高くないので、ちょっとしたサービスがお客様を感動させ、お礼を言われたスタッフは褒められた喜びを感じ、サービスの本質を学んでいきます。
 我々が徹底して行っていることは、オープン当初から続けているゲスト様のお出迎えとお見送りです。どんな天候下でも、ゲスト様がお越しになる時間帯とお帰りになる時間帯にスタッフと私自らも玄関に立ち、挨拶を交わします。このお出迎えとお見送りは、私自身がお客様の満足度を測るためのバロメーターとしての役割を担っており、料理やサービスに満足されたか否かは、ゲスト様の表情で見抜くことができます。これを中国で行っているのは弊社のみだと自負していますし、予想以上に多くのゲスト様からお褒めの言葉を頂戴し、嬉しい限りです。

中国人のための心地よいサービス

 15年程前、日系企業によってゲストハウスウェディングが中国へ持ち込まれたと記憶しています。初めて現地のゲストハウスウェディングをみた際の率直な感想は「形だけで心がない」でした。そもそもゲストハウスウェディングというのは、大切なゲストをおもてなしするという概念のもとにできたウェディングスタイルですが、建物だけを模倣し、ワンパターンのプランのみが用意され、個々のお客様のリクェストには対応されていませんでした。これが日本から来たゲストハウスウェディングだと思われていることに、非常に胸が痛みました。
 これまで婚礼会館を運営する日系企業は多数中国へ進出するも、全て撤退を余儀なくされています。我々も同じ道を歩まないためにも、撤退した原因を突き止めなければなりませんでした。長期間のリサーチの末、判明したのは、日本人が日本人のやり方で経営していたということです。日本のサービスの中には、中国人が不快に感じるものもあります。一般的に受け入れられないサービスをし続けるのは企業の独りよがりであり、国籍関係なく、人が心地よいと感じるもの、特に中国人の感性で心地よいと感じられる日本のサービスを提供することに意味があります。もう1つは、現地スタッフに任せきりになったがゆえにサービスの質が低下し、競合他社と差別化できなくなり、最終的に価格競争へと陥ったことです。オープン当初は物珍しさに集客をのぞめますが、料理やサービスの質の悪さはすぐに見抜かれてしまいます。現地化ができなかったこと、現地化をしすぎてしまったこと、この2つのバランスを保って経営していかなければ、この中国・上海では生き残れないと考えています。
 近い将来、我々のような式場を求めるカップルが増えると考えています。他社に式場の造りや装飾を真似されるかもしれませんが、おもてなしの心は簡単に真似できることではありません。この強みは維持しなければなりません。
 今後は近隣都市である杭州や蘇州などへ出店、またフランチャイズも含め、2級都市には弊社式場のキャメロットヒルズを置くことが目標です。ホテルでの婚礼が一流、婚礼会館は二流という今の中国のイメージを払拭し、婚礼会館の地位を高めるべく、注力していく所存です。


上海の人たちの民度が年々向上していると実感しております。オープン当初はゲストが23時まで会場に残って、飲み続けていたこともありましたが、今は頃合いをみて静かに退席されたり、周囲に合わせる光景が見られるようになりました


スタッフの結婚式に参加した際、撮った写真です。幸せそうなふたりをみていると、私まで幸せな気持ちになりました。結婚おめでとう!



PROFILE

プロフィール 
Yuichiro Matsuno

1965年生まれ、香川県出身。大学卒業後は近畿日本ツーリストに入社し、団体旅行の販売や添乗業務に従事。2004年に株式会社一蔵へ入社。呉服、婚礼、飲食などあらゆる事業部を担当する。2017年に中国法人設立のため上海へ赴任。同年総経理に就任し、現在に至る。



松野さんをさらに知る

座右の銘

「為せば成る」。これまでの私の人生を振り返ると、何ごとも本気で立ち向かえば何とかなったことが多かったように感じます。これからも何ごとにおいても本気で取り組んでいく所存です。


心の癒やし


スタッフから誕生日祝いにとプレゼントされたオスのポメラニアンは「太郎」と名付けました。あますぎる躾のせいでわがままに育ち、とても手がかかりますが、それでも良い癒しになってます。

着物と茶道

本社で呉服を扱っていた際に和の装いに魅せられ、社内のイベントがあるごとに茶を点てて、スタッフやお客様に振舞っています。スタッフやお客様に日本文化を伝えるいい機会になってると思います。

璨臻(上海)婚慶礼儀服務有限公司

住所 静安区汶水区210号嘉美楼(静安新業坊内) MAP
電話 021-5632-0669

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