キーマンインタビュー

大連富田精工機械有限公司
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大連富田精工機械有限公司

董事・総経理 恒見 雅彦氏 2020年10月号

卓越した技術を強みに
高性能マシンを駆使し
超精密部品を作り続ける


「縁の下の力持ち」として温もりが感じられる物創りを目指す


 大連富田精工機械有限公司は、あらゆる分野の製品に欠かせない金属部品、中でも小径部品の切削加工に特化し数ミクロン単位の精度で仕上げた精密部品をお客様に提供している中国地場の製造会社です。工場は丹東、大連、上海、営業所は上海、深センにあり、昨年東京支店を開設しました。完成品の寸法のバラつき(最大と最小の差)が1000分の数ミリ以下という精度なので、「精密」ではなく「超精密」になります。この高精度な加工を量産体制の中で維持するのは、至難の業と言えます。弊社の最大の特徴はその加工機であるNC(数値制御)精密自動旋盤を自社で製造し一貫生産を行っていることにあります。
 本社である丹東富田精工機械有限公司は1984年に現董事長が創業し、今年で36年になります。大連工場はその子会社として2005年に設立しました。グループとしては、創始者(現董事長)の会社設立時からの強い信念である精密加工に拘り、当初の加工の計測機器や時計の分野から、現在では光通信機器、車のターボエンジンやセンシング分野、半導体分野などに幅を広げ外径20mm以下の部品を中心に製造しています。例えば最近では、半導体集積回路(ICチップ)の電気的特性を測定するのに欠かせない検査プローブという、直径0.35mm、長さ1mmという極小な部品や、2025年には世界全体で20%を占めるようになると言われている5G関連の部品、さらには車の自動運転に関連した車載カメラやセンサーに使われる高精度部品などがあります。これらの部品を内製した設備で加工しお客様に提供しています。
 中国は製造強国として成長率に伸びしろがあり、その上更に世界の工場から世界の市場に地位がシフトし、ハイテクノロジー事業や付加価値の高い産業への転換をめざしているとされています。そこに求められる高精度な部品に対応し、市場発展を下支えしていくことが当社の役割です。当工場で生産した精密部品は暮らしの中で直接目にすることはほとんどありませんが、人々の快適な生活を陰で支える「縁の下の力持ち」です。社員一同、この仕事を誇りに思っています。


テクノロジーを駆使しながら無限の可能性を追求していく


 高精度な部品を加工するためには、超精密加工用の工作機械が必要になります。モノ作りに欠かせない旋盤、量産のベースとなる旋盤加工設備は、品質の安定や生産効率の面から15年前よりNCの自動旋盤の内製化の取り組みに着手し、現在では全工場の約500台の自動旋盤設備はほぼ内製した設備によりライン化されています。内作した設備で加工するメリットは、部品加工の様々な問題やお客様の声を直接且つスピーディに設備に反映できることです。また、設備の保守点検や修理の効率性に加え、中でも一番のメリットは増産による設備導入のスピードと投資リスクを最小に抑えられる点です。これら総合的な効果を活かし、お客様満足度の向上と市場の発展に貢献することが当社の使命と認識しています。
 精密部品への拘りは日本のモノ作りと精通する点があり、現在もなお売り上げの60~70%は日系顧客が占めています。中国に進出している企業の現地調達化への取り組みに対して貢献していると褒めて頂いたことは何度もありました。日本メーカーと肩を並べて、ここ中国でも高精度な製品を提供できていると自負しています。今後も、高付加価値製品やハイエンド事業へのシフトを方針として打ち出しています。


クオリティの高さを維持しているのは携わる人の情熱や活気


 母親が大連で生まれ幼年期を過ごしたと聞いていたこともあり、大連と非常に縁を感じています。2007年に自ら希望し家族帯同で大連に赴任し、その後杭州赴任を経て2017年に現富田精工への転職を決意。大連工場の総経理を担っていますが、グループ全体の日系顧客を中心としたサポートや営業活動、そして昨年開設した日本支店の代表を兼任しています。 
 製造会社である以上、良品率や生産効率といった課題は日々発生します。思うように上がらず採算を圧迫する局面もあります。それ以外にも様々な思いがけない問題が発生しますが、日本人一人の力ではどうしても限界があります。そんな時は一人で問題を抱えず、幹部社員や周辺の日系企業との交流、情報交換で乗り切っています。
 超精密加工で求められるのは、何よりも「精度」です。この超精密部品は、必ずやお客様のお役に立てるものと確信しています。この考え方を全員で共有することが大切だと考えています。個人のレベルに合わせた目標を設定し、自信と達成感を持たせることで目標を達成させます。説明しても理解が得られない時は、具体的な数字やグラフ、絵を使って丁寧に説明しています。

 国が異なり、文化も異なる中で、様々な場面で意見の食い違いが生じるケースは多々あります。良く話を聞き、それぞれの価値観を共有するように努めていますが、従業員に対しては、日頃から「三真三信」を行動指標として提唱しています。本当のことを本気で真面目(真実、真心、認真)に、信頼関係を築き自信を持って行動し信念を持って諦めない(信頼、自信、信念)という、日本語を中国に言い換えた言葉です。現実はそう簡単ではありませんが、その気持ちで進めていきたいです。


オンリーワンの会社のビジョン


 大連富田精工機械有限公司は今年で15年の節目を迎えることになります。また、富田精工グループは5年後の2025年に上場を目指しています。これから工場規模の拡大、ハイエンド、高付加価値製品への対応強化、および日系企業への供給拡大、知名度を上げる活動の展開に力を注ぎ、難題に挑み、新しい市場を拓き、高クオリティな超精密部品を創り続けること、 それが当社の永遠のテーマです。


大連富田精工有限公司は今年15年節目の年を迎えました。現在生産能力を引き上げるため現場の拡張を進めております。手のひらに乗るこの小さな部品、今後更により多くのお客様のお役に立てるよう富田精工グループ一丸となって進めていきますのでよろしくお願いします。



“5S活動と挨拶” 目の前にあるすぐできることから始めることを行動の基本姿勢に掲げ、日々推進しています。これからも幹部一同いろいろ試行錯誤しながら現場力を高めていきます。


PROFILE
つねみ まさひこ

1965年生まれ。1984年住友金属鉱山㈱研究所で新素材磁石の開発。1989年セイコー電子工業㈱(現セイコーインスツル㈱)で光通信コネクターセラミック基幹部品の量産化技術開発。2002年大連工場へ製造移管、2005年㈱精工技研に転籍し2007年より大連工場製造部長。2011年から総経理を経て、2017年現富田精工で総経理。2007年~2015年大連、2015年~2016年杭州。


<恒見さんをさらに知る>


懐かしい田舎の思い出


少年時代、数年に一度姉と一緒に両親の実家である鹿児島で夏休みを過ごしました。豊かな自然に恵まれた田舎で、家畜の世話、田畑の手伝い、五右衛門風呂の火焚き等創造と工夫をしながらの楽しい体験でした。


旅行で家族の絆を深める


大連に赴任した2007年、初めての旅行は張家界でした。500m級の岩がそびえ立ち、細長く切り立った多くの岩山が天空へ連なるように立ち並び、中国の歴史の深さと壮大さを改めて肌で感じました。


スポーツを通じて交友


2015年に行われた、アカシアテニスクラブと中国チームとの交流試合の一枚です。テニス歴は35年で、セイコー勤務時代に社内大会で三連覇したことは忘れがたい想い出です。現在は週末にプレイしています。


大連富田精工機械有限公司

金州区光明街道堆金道1号
℡(0411)8713-9988

大連富田精工機械有限公司

住所 辽宁省大连市金州区光明街道堆金道1号 MAP
電話 0411-8713-9988

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