キーマンインタビュー

デロイト中国
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デロイト中国

  • エリア:外滩

日系企業サービスグループ/華東地区統括パートナー  原井 武志 氏

ヒト、モノ、リソースを繋ぎ
新たな価値を生み出す
経済社会のカタリスト


会計、税務、コンサルティングなど企業経営に関する幅広いサービスを提供している同社。在中の日系企業に日本と変わらないサービスを提供し、成長に寄与するべく奮闘されている、中国ビジネスに携わって18年という原井華東地区統括パートナーにお話を伺った。



各分野のプロフェッショナル集団

 デロイト中国は、平たく申し上げると企業経営に関する多様なサービスを提供する企業です。監査・保証業務、経営コンサルティング、税務、法務、ファイナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリーという6つのビジネスから構成されています。経営コンサルティングについては、経営戦略の策定、人事コンサルティング、コンピューターシステムの導入、シェアードサービスセンターの構築などを。税務については、個人・企業の所得税、移転価格サービスなどを。法務については、組織再編、人事・労務などを。ファイナンシャルアドバイザリーについては、M&A、持分譲渡、企業の清算などに関するアドバイスや、財務調査、不正調査などを。リスクアドバイザリーについては、企業経営上の様々なリスクに対するコンサルティングで、例えばサイバーセキュリティ関連、リモートワーク対応や、不正が起きない会社の仕組み作りのための内部統制などを、それぞれのビジネスが担っています。企業は税務に問題があると思ってご相談頂いたとしても、実際にはそれを解決するためには会計に手を加えなくてはならなかったり、監査の過程で内部統制に問題があることを分かり指導させて頂いたりと、総合的にご提案をさせて頂きながら、企業経営に関する幅広い業務に対応しています。
 例えば、異なる企業同士が統合するとします。お互い生い立ち、会社の仕組みも異なれば企業文化も異なる、人事制度や会計の方法まで何もかもが異なるという2つの企業を合併するにあたっては、まずはお互いに相手の企業を知る必要があります。当社のファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務が協力してデューデリジェンス(企業や投資先の価値やリスクなどを調査すること)を行い、買い手または売り手企業の企業価値の算定をします。統合は両社の企業価値から買収価格や合併比率を決めたうえで行われます。また、会計の専門家は合併にあたっての会計処理のアドバイスを行います。経営コンサルティングの専門家は、両社の営業部門や購買部門の統合にあたっての経営戦略の提言や、両社の情報システムや人事制度の統合を行います。リスクアドバイザリーは、統合後の会社の業務が効率的に流れていくように、また牽制機能を盛り込んだりといった形で、内部管理体制構築のお手伝いをするといったように、一つのプロジェクトに多くの専門家が参与します。このように、様々なバックグラウンドを持つ専門家の知識と経験とリソースを組み合わせて、それらを繋ぎ合わせることで変革を起こし新しい価値を生み出していく、経済社会のカタリスト(触媒)たることを目指しています。

インダストリー×コンピテンシー

 現在特に注力しているのがデジタル&イノベーションの分野です。「Greenhouse」という弊社のイノベーションセンターでデジタルアプリケーションの研究開発などに取り組んでいます。お客様向けはもちろん、デロイト中国自身の業務もデジタルツールを用いてトランスフォーメンションを進めています。また、約2700名の従業員が勤務している弊社シェアードサービスセンターが重慶にあり、弊社の内部管理業務など集約可能な部分はそこで集中対応しているほか、ソフトウェアの開発にあたってのプログラミングはそこで行われています。また、中国のスタートアップ企業のアイデア/技術と日本の大企業とのマッチングなどにより新しい価値を作り出すことも支援しています。デロイト内外の全てのリソースを結集して、お客様の成長のために役立ちたいと考えています。
 そのためにも、専門能力が傑出した現地プロフェッショナルたちと我々日本人がタッグを組み、企業に先進的なサービスを提供していくことが重要です。当社では、製造業界や金融業界、流通業界、通信/テクノロジー業界、製造など、インダストリー別の専門家がおり、且つ情報システム、デジタル変革、人事、サプライチェーンなど特定の分野に精通した専門家を抱えています。このようにインダストリーとコンピテンシーを組み合わせることで、特定の業界の多様な専門分野で最も適した専門家が対応させていただくことが可能です。また、本社も中国法人もどちらも満足頂くために、デロイト中国とデロイト日本が協力してクロスボーダーでサービス提供を行うことにも注力しています。

日系企業に対する並々ならぬ思い

 人材育成と日本語教育にも注力しており、2007年から日本に留学している中国人を採用して、デロイト中国に入社してもらうという取り組みを始めました。2006年からは、中国で日系企業に対して業務を行っている責任者メンバーを日本のトーマツへ短期派遣し、担当している日系企業の本社を訪問し、本社の方とディスカッションをする機会を設けることで、自分のクライアントの本社はどのように考えているのかということを肌で感じることができます。また、3カ月間の語学トレーニングも実施しており、語学学校で日本語を学んでもらうとともに、日本のトーマツメンバーとリレーションシップを作ってもらっています。このように日本で一定期間生活することにより、日本企業から求められるサービスの内容や品質について実感することができます。
 デロイト中国とデロイト日本の連携においても、日中間の課題や、日系企業のためにどう寄与していくべきかについてマネジメントレベルで話し合っています。私もディスカッションに加わっているほか、デロイト華東地域のマネジメントメンバーとして経営に参画しています。そのことは、デロイト中国、特に華東地域のメンバーが日系企業を重視していることの現れで、私自身誇らしく感じています。世界中から有名企業が集まり、競争が激しく、変化も早い世界最大の市場であるここ中国で日系企業がこれからも成長し、勝ち抜いていくことは簡単ではありませんが、それをご支援させていただくことこそが、現地の日系企業、ひいては日中両国のためにもなると信じ、日々実践しています。



デロイト中国は1917年に設立され、現在では全25拠点、約1万8千人の従業員を擁するまでになりました。日系企業サービスグループは、1979年に香港、1987年に北京、1994年に大連、上海と順次展開してきました


デロイト華東地区のメンバー約3,300人が参加したAnnual Dinnerで、華東地区マネジメントメンバー全員でドレスアップをして汪峰さんの「飛得更高」を熱唱しました



PROFILE

プロフィール 
TAKESHI HARAI

デロイト トーマツで28年以上の勤務経験を有し、有限責任監査法人トーマツではIPOを中心とした監査業務に従事。2002年から2005年にデロイト大連事務所代表者として赴任、2005年から2008年は上海事務所で日系企業サービスに従事。2012年より北京事務所日系企業サービスグループの華北地区統括パートナーに就任後、2016年から上海事務所に赴任し、現在に至る。



原井さんを知るキーワード

趣味のゴルフ

2012年に北京で勤務することになった際に単身赴任となり、妻からゴルフセットを買ってもらい、それを契機にゴルフを再開しました。今では、出張さえなければ週末は毎回ゴルフを楽しんでいるほど熱中しています。


社会的な取り組み


北京と大連での駐在時に引き続き、商工クラブと日本人学校の監事を務めさせて頂いています。本業と同じく、日本人社会に微力ながら貢献していきたいという思いで取り組んでいます。

香川県大使

私は香川県出身で、2016年に県知事より任命頂いて香川県大使を務めています。海外で香川県をアピールする役割を担った大使が全世界に30名ほどいますが、その一人として香川県のPRに尽力しています。

德勤中国

デロイト中国

住所 黄浦区延安東路222号外灘中心30階
電話 021-6141-8888