キーマンインタビュー

山月堂(上海)装飾有限公司/GOODRICH GLOBAL LTD.
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山月堂(上海)装飾有限公司/GOODRICH GLOBAL LTD.

  • エリア:虹橋・古北

董事・副総経理 若井 智 氏

グローバル化を推進しサンゲツブランドを中国、世界へと広げる


約70年の歴史を有するインテリア業界の最大手企業にあって、上海法人の立ち上げに参画し、2つの企業の副総経理として経営に尽力されている若井氏。中国ビジネスの経緯と困難さ、そして今後についてお話を伺った。



壁紙を主力とする内装材販売企業

 当社ではBtoB向けに、壁紙、床材、カーテン、椅子生地など内装材全般の販売を行っています。売上の柱となっているのは壁紙です。もちろん中国にも多くのメーカーが存在しており競争は激しいですが、日本産ブランドの品質を信頼の上、採用頂いています。価格で中国企業に勝つことはできませんので、抗ウイルスや抗菌、消臭などの効果のある、環境や人体に優しい付加価値の高い機能性商品の販売を強化していることがポイントです。
 サンゲツの中期経営計画において、成長戦略の一つとして海外事業の強化が策定されています。その第一弾として、2016年に上海に設立された海外初の現地法人が当社です。2017年には、第二弾としてアメリカの内装企業を、第三弾としてGoodrich Global社を買収しました。Goodrich Global社はシンガポールに本社を構え、アジア6カ国、12都市に拠点を持つ東南アジア最大のシェアを誇る内装材販売企業です。中国、アメリカ、東南アジアでの事業を強化し、グローバル化を進めています。中国では2016年の設立以来、業績は好調を維持し、2年半ほどで累損を解消して黒字化を果たしました。中国を含む東南アジア全域の販売力強化が今後の重要な課題です。

最重要な中国市場での奮闘の日々

 2016年に、何もないところから総経理(中国人)と私の2名で当社を立ち上げました。事務所探しや倉庫探し、スタッフの採用、事務所拡張に伴う移転、ショールーム開設に至るまで、多くのことを経験してきました。まさにあっという間の4年間で、日本で働くサラリーマンが20年間かけて経験するようなことを、わずか4年間で体験してきたような思いです。何といっても中国のスピード感には驚かされます。仕事以外のことにおいても、モバイル決済に代表されるライフスタイルを含め、あらゆる面においてとにかく変化が早いと感じます。発展も早いですが衰退も早いですから、失敗すれば瞬く間に消え去ってしまいます。可能性が無限に広がっているのは確かですが、失敗に対するリスク管理も重要です。
 中国進出当初は日系企業がお客様の中心でしたが、成長を図るべくローカル中国企業に対する営業強化へと軸足を移しています。ディベロッパーやホテル、設計事務所、内装施工会社などが主なお客様です。中国企業との付き合いの中では、商習慣の違いから、売掛金回収の難しさ、ローカル企業との競合などに加え、もちろん言葉の問題もあります。コミュニケーションがうまくいかず、もどかしさを感じることがある一方で、ともに食事をして盃を交わし、中国語で会話をすると深い関係性を築くことができるという文化は、日本とは異なってフレンドリーさを感じます。
 中国のマンションなどの住宅は、かつては内装未施工のスケルトン渡しが一般的でした。そのため、同じマンションであっても1戸ずつ玄関ドアが異なっていたり、内装もバラバラというのが当たり前でした。ですが、最近はディベロッパーが内装工事まで仕上げる物件が主流となりつつあり、当社の強みであるトータルでのコーディネートを展開しやすい環境になってきていると言えます。また、販売拠点が無い未開拓地域の攻略も重要です。Goodrich Global社が1級都市をメインにいくつか拠点を抱えていますが、内陸部や東北部など未だに手付かずの地域がたくさんありますので、販売拠点や代理店を増やしていかなくてはなりません。
 海外事業の中でも中国は最も重要なマーケットであり、拡販余地は無限に広がっています。とはいえ、中国におけるサンゲツの知名度は低く、ブランディングをより強化して認知度の向上に努めていかなくてはなりません。かつては、営業がこつこつとお客様のもとを訪問し、ご紹介などを通じて少しずつ認知度の拡大を図ってきたため、費用をかけての大々的な宣伝はほぼ行ってきませんでした。最近新たに始めた取組みとして、WeChatの公衆号を今月ローンチさせたほか、2018年に開設したショールームもブランディングの一環です。壁紙や床材などを扱う日系企業の中でショールームを自社で保有している企業は少ないこともあり、PRのポイントにもなっています。また、ショールームの開設と併せて、シナジー強化を図るべくGoodrich Global社とのオフィスを統合しました。当社の見込み顧客である、グローバルな案件を手がける設計事務所はシンガポールや香港に集中しています。中国とASEAN全域において、クロスボーダーに連携して販売ネットワークを強化し、収益拡大を目指しています

サンゲツブランドを中国、世界へ

 引き続き、サンゲツ及びGoodrichブランドを中国、世界に広げていきます。今年4月にはベトナムのホーチミンに法人を設立し、夏には某国に新会社を設立する予定です。3カ月に1回、シンガポール本部へ会議参加のため出張しますが、現状の海外売上比率13%を、ゆくゆくは20%まで引き上げていくことが目標です。また、人のグローバルな往来、情報のグローバルな拡散の中で、デザインのグローバル化・共通化は今後ますます進行することが予想されます。日本・中国・ASEANといった各ローカル市場に向けた商品及びデザインの開発、提供を行うことが求められます。現在、中国においても専用見本帳というカタログを作成し、中国に在庫を抱えて販売活動を行っていますが、より強化していかなくてはなりません。現地に合ったデザインや商品を、その土地において開発・生産・配送まで行う体制を将来的には整えていく必要があると考えています。さらには、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて働き方も大きく変革していくことが必要です。リモートワークが進んでいることもあり、どこにいてもきちんと仕事をして成果を上げてくる人材を経営陣がマネジメントしていくことがより必要となってきます。そのためにも、働き甲斐のある職場、働きやすい職場、個人がチャレンジできる職場作りが課題であり使命でもあります。


私は山月堂(上海)装飾有限公司とGOODRICH GLOBAL LTD.の2社の副総経理を兼務し、経営管理全般と営業統括を担っています。2社それぞれの社員同士の連携、交流を促してシナジー効果を発揮し、業績向上を目指しています。



上海オフィス内に設けた海外初のショールームです。開設時にはお客様を招いて盛大に祝いました。ここを拠点に、全社員が一丸となってサンゲツブランドを中国・世界に広げるべく奮闘しています



PROFILE

プロフィール 
TOMO WAKAI

1975年生まれ。関西大学商学部卒業。1998年サンゲツ入社。関西を中心に国内営業、建装営業を約18年経験した後、2016年海外事業部へ異動。同年7月、中国事業と現地法人立上げのため上海へ赴任。2016年8月より現職。2018年よりGoodrich社の副総経理を兼任。



若井さんを知るキーワード

ボクシングサークル

休日は上海で始めたボクシングサークルで汗を流しています。運動不足とストレス解消のため、ミットに熱いパンチを打ち込み、日常生活では味わえない爽快感を得ながら「筋肉痛は成長の証」とストイックに自分を追い込み、折れない心の鍛錬を重ねています。


アジアふらり旅


東南アジア、中国各地への気ままな旅行も楽しみの一つです。これまでタイ、マレーシア、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオス、インド、バリ島などを訪れました。国によって異なるカオス感、見知らぬ土地で出会う人やインテリアを見て楽しんでいます。

しばらく会えずにいる家族

家族は春節中に日本に一時帰国したまま上海に戻れず待機中で、可愛い子供たちに会えない状況が続いています。その間に男女の双子が1歳を迎え、いつの間にか1人で立ち、歩けるようになりました。子供の成長を上海から見守りつつ、次は私が独り立ちする番ですね。

山月堂(上海)装飾有限公司/GOODRICH GLOBAL LTD.

山月堂(上海)装飾有限公司/GOODRICH GLOBAL LTD.

住所 長寧区仙霞路137号盛高国際大厦25階 MAP
電話 021-6428-8876

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