キーマンインタビュー

上海銀得隆建材有限公司/ JKホールディングス株式会社
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上海銀得隆建材有限公司/ JKホールディングス株式会社

  • エリア:中山公園

董事・総経理 坂巻 信吾 氏

日本品質の住宅建材販売を通じ、

中国全土において快適で豊かな住環境を創造


1937年に創業し、高品質建材の製品開発、安全な建材の提供により人に優しい住宅環境を世界規模で創出してきたJKグループ。中国でその一翼を担い、果敢に新規事業に取り組む坂巻董事・総経理にお話を伺った。



当社は、住宅建材卸し問屋であるジャパン建材を中核としたJKホールディングス株式会社100%出資の中国子会社として2004年に設立しました。日本の親会社向けに中国産合板などの買い付け業務、中国国内向けには中国で生産し、日本向けに輸出している家具工場様向けの日本品質材料の卸売りを中国事業の柱にしてきました。主にMDF、接着剤、メラミン化粧板のF☆☆☆☆製品(日本基準の低ホルムアルデヒド製品)を中心に取り扱っています。

中国での事業拡大の課題

 本来、当社が得意とする日本の住宅建材の中国の住宅市場向け販売を目指していたのですが、①住宅建材流通の日本との違い②売掛金回収の問題③日本の他の製品と比較して住宅建材の需要が低いこと④施工品質の問題等の理由でなかなか思うように事業を拡大できずにおりました。
 中国ではメーカーや専門の代理店から購入する形態ですので、当社のような問屋的な立場の企業が介入できないという流通の弊害がありました。同時に当社はメーカーではないので100%前金での販売が非常に困難で、与信を設定して掛売りで優良企業とされている大手企業に販売したとしても、きちんと支払いをしてくれるかは別問題であるといった日本よりも大きな回収リスクがあります。また日本の住宅建材は高額だが地味であると一蹴され、見た目が華やかな欧米のデザインの内装を富裕層の象徴として選ぶ方が多く、当社も含め、成功している日本の建材メーカーは多くありませんでした。当社の同業である建販商社も続々と中国から撤退していき、さらに既存事業については、お客様である家具工場様のベトナム等の第三国への移転も進むなど、需要が年々減少するという状態下、苦悩の日々を過ごしてきました。
 5年程前から中国の住宅市場のニーズに変化を感じるようになってきました。施主の世代交代、日本を始めとした海外居住経験者の帰国なども原因と推量しますが、住宅に限らず以前のように豪華さを自慢するのではなく、品質や機能を自慢の対象にする人が徐々に増加してきたように感じました。そこで、この機を逃すものかと中国国内向けの日本品質住宅建材販売の事業モデルへの挑戦を約4年前に開始しました。

J-GREEN新規事業への挑戦

 まず、言い訳を取り除くことから始め、当時の組織体制を改正し、日本での販売形態モデルへの固執をやめて当社の役割を見直しました。結果、メーカーポジションを取るべく日本品質建材をブランド化し、設計を含む住宅内装建材をトータル販売することで、メーカーにはできない、当社だからこそ可能な事業モデルを確立し、且つ前金100%商売にてリスクを回避し、商内拡大を目指すことに方針を定めました。
 まずは日本の内装住宅を一般の方に知って頂くことと、需要調査、問題点の発掘、及び同時にFC店の募集も行う為のショールームとして出店をし、日本でも未経験であったBtoCでの販売を開始することにしました。
 中国では一般的に建材を販売する場合、建材市場や建材の商業施設に出店するのが常識ですが、住宅購入、もしくはリフォームを検討していないとそうした場所にはまず足を運ばないと考え、日系の百貨店への出店を検討しました。日本でも建材を扱う百貨店はなく前例がありませんでしたが、ネット販売が難しい建材の取扱いを提案したところ、様々な百貨店様が提案に乗って頂き、新しい試みとしてかなり好条件での入店を許可頂くことができました。
 当初は思うように売上が上がりませんでしたが、徐々に売上も上がり、需要が確実にあることを確信することができました。しかし、自社だけでは日本品質建材の中国市場への普及は困難であるため、自社でのBtoC事業での拡大を目指すのではなく飽くまでBtoBにて地場の内装会社の協力を得ながら日本品質建材の中国全土への普及を目指し、J-GREEN事業の足固めをしています。
 本事業の確立にあたっては、費用対効果が未知数のため思い切った資金投入に踏み切ることが困難であることや、中国での内装設計会社や政府関係者との人脈が希薄であるなどの課題がありました。そこで、資金力と人脈を有する中国企業を慎重に選定し役割を明確にして協業することで、機会損失が生じることのないようにすることが必要でした。そうして昨年から瀋陽でフローリング材を製造し日本へ輸出を行っている中国企業との協業を開始しました。  
 まずは遼寧省14都市58区の1区ごとに代理店を設置し、日本品質建材のBtoB販売網を構築した上で中国全土に、さらには中国と同じような住環境の変化を辿るであろう東南アジアを中心に事業モデルを移植していく構想を描いています

日本本社に対する感謝

 また、本社の理解を得ることも事業の成否に関わる重要な点です。当初、大連の企業との合弁会社として中国に進出しましたが、失敗。さらに合板工場を建設するべく広西省の中国企業との合弁、投資をしましたが、工場がなかなか完成せず最終的に合弁を解消したという経験がありました。その際の印象を日本本社側ではなかなか払拭できていないのが実情で、本社の理解を得るのは非常に困難な状況でした。以前は日本本社に対して、中国市場をなかなか理解して頂けず不平不満がありましたが、「理解して頂けないのは当たり前、だから私が中国に駐在している。」「過去失敗しているのに、それでもまだ中国企業と一緒に挑戦する許可を頂けている」と考えるようにし、目先の利益を追求する部隊と、中長期での事業を追求する部隊とを分けて黒字を確保し、本社の理解を得る努力をしています。
私は自ら志願して9年前に中国にやって来ましたので、まだ中国で仕事をさせて頂けていることに感謝する気持ちを忘れることなく、最後までこの事業を成し遂げたいと思っています。


董事・総経理として上海銀得隆建材、銀得隆建材(香港)の経営管理全般に携わりつつ、新規事業の立ち上げ、事業所の整理、組織体制の再構築を行ってきました。


JKグループの80年に亘る経験と知識を活かして、拡大を続けている中国住宅市場の発展に協力していくことを目標としています



PROFILE

プロフィール 
SAKAMAKI SHINGO

1976年生まれ、東京都出身。武蔵大学、経済学部卒業。2000年4月にジャパン建材株式会社へ入社、茨城県つくば営業所勤務(建材ルート営業)。※2006年10月に純粋持株会社へ移行し商号をJKホールディングス株式会社へと変更。2010年10月より上海銀得隆建材有限公司へ出向し、董事・総経理として勤務。現在に至る。



坂巻さんを知るキーワード

個人的なチャイナリスク

中国に赴任してから...。この5.6年前の写真との違いがチャイナリスクです。妻からは詐欺師と呼ばれております。業績もこの勢いで伸ばしていきます!


サイクリング


高校生の時から友達と自転車に乗って遠出をしたりキャンプをしたりしていました。大学生の時には、東京から北海道宗谷岬、千葉県一周などを走破しました。

某中国人社長に言われた一言

全ての人や物、事に感謝すると考え方や気持ちが大きく変わり、嫌なことや納得できないことも自責の念で捉えることが出来、物事が上手く回り始めることを体感しています。

上海銀得隆建材有限公司

上海銀得隆建材有限公司/ JKホールディングス株式会社

住所 長寧区定西路988号銀統大厦南楼2205室 MAP
電話 021-3100-7760

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