キーマンインタビュー

在瀋陽日本国総領事館 在大連領事事務所
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在瀋陽日本国総領事館 在大連領事事務所

領事 所長 亀井啓次氏 2020年1/2月号

日本と密接な大連の地で
在留邦人の安全確保と
民間交流の活性化を支援


長きに亘る中国との関わり


 88年からの北京の在中国大使館勤務で最も印象に残っているのは、89年の事件です。あの時は北京在住の日本人の方々の緊急帰国のお手伝い等をしたことを今も鮮明に覚えています。事件後、日本からの政府開発援助や日中間の経済交流もストップし日中関係はどうなるかと思っていましたが、91年に海部総理(当時)が訪中したことにより、日中間の交流は正常な状況に戻っていきました。92年には先の天皇皇后両陛下が訪中され、日中関係は最良の状況となりました。
 その後、外務省経済協力局を経て、95年から広州の日本総領事館で勤務が開始し、再度中国との関係の下で仕事ができるようになりました。92年の鄧小平氏の南巡講話以降、改革開放が進み、その先頭を行く当時の広州は90年前後に見た中国とは様変わりをしていました。97年からは北京の大使館領事部で勤務することになり、中国各地で活躍する多くの日本人の方々とお会い刺激を受けました。当時日中関係はきわめて良好で、中国の政府関係者とは一緒に食事をしながら仕事の話をする中で、公私共々何でも連絡ができる関係を作ることができ、よく助けて頂きました。
 2001年に中国を離れ、次に中国で勤務するのは年2012年でした。久しぶりに北京で勤務をした時は中国の大きな変化に驚きました。この10年間で中国は経済規模で日本を追い抜いて世界第2位の経済大国となり、人々の生活も豊かなものになっていました。2012年9月に反日デモが発生した際には、大使館領事部長として中国に滞在する日本人の方々の安全・安心を守ることが最大の課題であり、中国政府機関への申し入れや地方にいる日本の方に面会したり等奔走しておりました。
 その後、日中関係が徐々に回復し、日中間の交流も増えてきました。最も大きな変化を実感したのは中国観光客の訪日者の数です。北京の大使館での2012年10月におけるビザ発給数は約5千件に満たない程度でしたが、私が北京を去る2017年前半には月に10万件以上まで伸びており、ビザ業務の効率化が私の大きな任務となっていました。
 2017年4月に在上海総領事館に転勤になりました。上海は日中間の文化交流の最先端の場所であり、街には日本食があふれ、特に総領事館の周りで中華料理店を探すのがむしろ難しいといった状況でした。また、日本からアーティストが来訪し毎日のようにコンサートが開かれており、日本文化が市民の日常に溶け込んでいるという印象でした。


大連と日本との密接な関わり


 大連に来て数カ月の間に、大連の政府関係者、対日交流に尽力されている民間団体の方々にお会いしましたが、皆さん口を揃えて大連と日本との関係がいかに密接か、日本との交流をいかに希望しているかを熱心に語ってくれました。
 大連市政府は、日本との関係を全面的に推進したいとの方針を打ち出しています。日中産業園区や対日自由貿易試験区といった構想を掲げる他、2019年4月には譚成旭市長(当時)が、11月には譚作鈞書記がそれぞれ訪日し大連への投資を呼びかけています。譚書記は日本滞在時の講演において、大連が有する改革開放以降の日系企業とのつながりや優秀な日本語人材、地方自治体との多層的な交流など、対日関係における幅広い優位性を挙げられつつ、さらに交流・協力を推進していきたいとの決意を披瀝されました。我々も大連市側のこうした要望にできる限り応えて参りたいと思っています。


民間交流の促進に尽力


 日中関係の改善に大きな力を果たすのは、政府間の対話のみならず、双方の民間交流の力も重要であると思います。一昨年(2018年)の中国からの訪日者数は約838万人(JNTO統計)、日本からの訪中者数は約269万人(中国文化旅遊部統計)でした。お互いの国の印象はやはり交流の深さで決まると感じます。日本人観光客の中国への誘致は第一義的には中国側の仕事であるとは思いますが、日中間の交流を進めるためには相互の交流が必要であると思います。

 日中双方の首脳間では、2019年を「日中青少年交流推進年」と決め、今後5年間で3万人規模の双方向の青少年交流を実施していくことで合意し、これまでにも各種の交流事業を実施してきております。また、2019年11月には、第1回となる「日中ハイレベル人的・文化交流対話」が開催されました。席上、これまでの取組が成功裏に実施されたことについて歓迎するとともに、本年(2020年)を「日中文化・スポーツ交流推進年」として、人的・文化交流を一層推進していくことで一致しました。青少年交流、文化・スポーツ交流のいずれも、民間の方々が主体となって交流して頂くことが重要です。大連と日本との交流は、民間ベースで既に頻繁に行われており、当事務所としては、今後もそのような交流が継続的に行われるよう環境作りに尽力したいと考えています。


「日中新時代」のさらなる発展に向けて

 日中両国が「日中新時代」を迎えるにあたり、本年(2020年)予定されている習近平国家主席の訪日を契機に、さらに両国関係が大きく発展することが期待されております。こうした両国間の文脈の中で、大連では従来5月にはアカシア祭り、9月には日本商品展覧会等大きなイベントがありますが、大連市側はそのイベントの規模を大きく拡大することを計画していると聞いております。大連においても新しい時代に即した日中関係を構築することを目指し、青少年交流の推進、文化・スポーツ交流の推進に尽力したいと考えています。
 当事務所としては、民間交流を支える日系企業や邦人の皆様が安全・安心に大連で活動できることが大前提であると考えておりますので、最大限支援をしていきたいと考えています。最後になりますが、本年が皆様にとって素晴らしい一年となるようお祈り致します。


私は1985年に大学卒業後、外務省に入省しました。86年に語学研修生として天津の南開大学へ留学をして初めて中国に滞在して以来、30年以上に亘って中国と携わってきました



3年間当事務所で勤務した同僚が昨年10月に離任となり、館員でお見送りをしました


PROFILE
プロフィール
KAMEI KEIJI

1960年生まれ、兵庫県洲本市出身。拓殖大学卒。1985年、外務省入省。1988年、在中国日本国大使館。1991年、外務省経済協力局。1995年、在広州日本国総領事館。1997年、在中国日本国大使館。2001年、交流協会台北事務所。2004年、外務省アジア局中国課 課長補佐。2008年、交流協会本部 総務部長。2012年、在中国日本国大使館 領事部長。2017年、在上海日本国総領事館 首席領事。


<亀井さんをさらに知る>


趣味はゴルフ


初めてゴルフをしたのは1988年の北京でした。大連でも素晴らしいゴルフ場があると伺っており、暖かくなりゴルフに行ける日を楽しみにしています。


最近参加したイベント


先日、仙台行直行便開通セレモニーに参加させて頂きました。大連は日本との直行便が毎週95便あり、これは中国では上海、北京に次いで多いです。大連と日本の地方交流がさらに進むことを期待しています。


忘年会での様子


お酒を通じて、色々な方と話をするのが最高のリフレッシュ方法です。先日開催された日本商工会の忘年会でも、お酒を飲みながらの懇談を楽しませて頂きました。


在瀋陽日本国総領事館在大連領事事務所
西崗区中山路147号森茂大廈3階
℡(0411)8370-4077

dalian.cn.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html


在瀋陽日本国総領事館 在大連領事事務所

住所 辽宁省大连市西岗区中山路147号森茂大厦3层
電話 (0411)8370-4077

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