キーマンインタビュー

上海太舎公寓管理有限公司
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上海太舎公寓管理有限公司

  • エリア:徐家汇

CEO 林 旭彬 氏

「シティライフをより豊かに」
徐家匯から世界へと広がる
サービスアパートメント


日本人をはじめとする多国籍のゲストに快適で安全な暮らしを提供しているTymsサービスアパートメント。グローバル展開を視野に、向学心を抱いて運営管理に携わる林CEOに、これまでの経緯と今後についてお話を伺った。



徐家匯エリアのベンチマーク

 Tymsは宏伊グループ傘下のサービスアパートメント管理ブランドであり、China Hotel Starlight Awardなど数々の賞を受賞しています。宏伊グループは商業不動産の開発企業として、商業、オフィス、サービスアパートメントの開発と運営に注力してきました。2009年、モルガンスタンレーの徐家匯におけるプロジェクトを買収したことをきっかけとしてTymsブランドは生まれました。私は当時の買収全体を担当していました。本プロジェクトを8年間管理および推進した後、宏伊グループの戦略的開発ニーズと組み合わせて、2017年にTymsブランドを設立し、集中型+分散型ビジネスモデルを確立させ、多国籍の入居者様に快適で安全なサービスアパートメントを提供することに取り組んでいます。
 Tyms徐家匯サービスアパートメントは徐家匯の中心エリアに位置し、1〜3つのベッドルームを有する114室の洗練されたお部屋をご用意しています。2009年のオープン以来、専門的かつ標準化された運営管理の下、国内外の2,500社以上の著名な企業と提携してきました。開業間もない困難な時期を経て、現在では90%以上の入居率を安定して上げるようになり、私たちは徐家匯エリアのサービスアパートメント全体におけるベンチマークの1つになったと自負しています。また、近い将来には虹橋ビジネスエリアと漕河涇エリアにおいて、新たなTymsの集中型アパートを建設予定です。
 集中型アパートの限界を認識して、Tymsブランドは2018年より分散型アパートの市場に参入しています。上海の各地域のアパートは、Tymsスタッフチームによる再構築とリーンマネジメントにより、お客様のニーズに合ったアパートへと生まれ変わりました。オーナー様へ利益をもたらすと同時に、入居者様へは更に多様な選択肢をご用意しています。Tymsが管理する分散型サービスアパートメントを人民広場、新天地、淮海路、静安寺、徐家匯の中心エリアにて保有し、集中型サービスアパートメントと変わらない高水準のサービスを享受できるようにしました。


ローカル社員の活用の重要性

 日本人と中国人の考え方・感覚の違いについてさらに挙げられるのが、給与・待遇に対するものです。人件費の上昇スピードの速さもあり給与に対する考えが直接的で、優秀な人は簡単に転職をしてしまうため、いかに人材を確保し定着させるかが重要となります。私が就任して以降、給与システムを全社員がある程度一律に増加するものから、積極的に差をつけて優秀な人材には投資を惜しまない仕組みに転換させました。賞与についても以前は基本的に毎年徐々に上昇していくというものでしたが、現在は会社全体の業績と部門の業績、そして個人の評価を掛け合わせることで増減の幅に差がつくようにしています。
 また、従業員340名のうち駐在員を2名のみにしていることも含め、ローカル人材の幹部登用を積極的に推進しています。役割の大きい社員には相応の報酬で報いるのはもちろん、継続的に高いパフォーマンスを出す社員には私を上回る給与を支払っています。当然のことですがここは中国であり、当社の顧客の9割以上が中国の企業・組織であるため、中国の方に活躍してもらうことなしにビジネスがうまくいくことは絶対にありません。それに加え、当社では公用語を中国語・英語にし、日本語を使うことはほとんどありません。英語でのビジネスが主流の香港から本社機能を移管したという経緯もありますが、英語を公用語にすることで、ローカル社員と東京の担当部門とで直接コミュニケーションを取ることが可能となります。また、中国の人材マーケットにおける日本語人材と英語人材とでは圧倒的に後者が多いため、人材の層が厚いので優秀な人を確保しやすくなるというメリットもあります。


企業管理の徹底と高サービス

 Tymsでは「シティライフをより豊かに」というブランドコンセプトを掲げ、多国籍の入居者様に快適で安全なアパートを提供します。サービスアパートメントとは、主に「ホーム」の基本的なニーズを拡張した「サービス」に反映されていると思います。入居者様の関心に基づき、健康的な生活や文化交流に関連する各種イベントを開催し、空間と時間を越えて様々な都市文化を体験頂くことができます。サービスをご提供する際は、入居者様の満足度を第一とし、入居者様のために価値を創造するという思いのもと、入居者様の観点から物事を考えるようにしています。様々な矛盾に直面した際には、常に迅速な対応と解決を図ることで、皆様から高い評価を頂いています。
 また、インテルとGoogleが使用するOKR(Objectives and Key Results)という目標管理ツールや6色ハット発想法など、最新の企業管理方法を導入し、業務の推進とチームの成長に活用しています。「実事求是、オープンで透明、平等な対話」という価値観のもと、入居者様へ価値を生み出し、高次のニーズを満たすことに注力しています。
 長期賃貸アパート市場では、高価格で買い上げ低価格で貸し出す点や資金チェーン断裂などのいくつかの問題を抱えています。我々のチーム文化の支えのもと、実際のデータに応じて着実かつ迅速に発展し、キャッシュフローと様々なデータを効果的に運用および管理します。

 多くの企業は問題に直面した際、問題の分析と再発防止のために多くの人材と時間を費やしながら、結局何も解決できていないことがままあります。困難に直面した場合、私たちは問題解決のスキルを用いて最速で計画を策定し、然る後行動します。最高の防御は攻撃です。天下一の武術も早いスピードのみは破ることができません!スタッフチームのそれぞれが独自の個性と機能を持っていますが、自身の長所を磨き、それをもって1つ1つの困難を克服していきます。問題や課題は現場の従業員の意見によってもたらされ、経営陣は問題を迅速かつ効果的に解決する必要があります。また、PDCAサイクルを運用して業務プロセスの改善に努めます。問題の発生を恐れるのではなく、問題の発生を減少させることが重要です。マーフィーの法則で述べられているように、恐れ心配していることほど、得てして起こりやすいものです。したがって、何かを行う前に考えなくてはならないことは、問題や困難が発生するかどうかということではなく、問題や困難が発生した際にどのように解決するかということです。仕事は生活であり、器が心の状態を決定し、心の状態が人生を決定します。


リーディングカンパニーを目指して

 Tymsは上海に拠点を置き、グローバルに事業を拡大していきます。今後10年間で、世界の一級都市にてハイエンドのサービスアパートメント市場を開拓し、世界で5万を超えるハイエンドなアパートメントを管理する予定です。私たちの目標は、サービスアパートメントの分野におけるTymsの影響力を高め、リーディングカンパニーとなることです。Tymsの運用基準を体系的なサービスシステムへと編成し、市場へ参入することで、サービスアパートメント市場全体のオペレーティングシステムとサービス基準をリードし、最適化していきます。「シティライフをより豊かにすること」が私たちの理念です。



宏伊グループの董事およびTymsブランドのCEOとして、私はTymsブランドの経営戦略の策定と執行を担当しています。「実事求是、オープンで透明、平等な対話」をチームの価値観とし、国際的なビジョンと最新の管理概念を備えた管理チームの構築に取り組んでいます。


Tymsブランドは2017年にアップグレードさせ、ご提供するサービスや運営体系も刷新しました



PROFILE

Linson Lin

大手国有企業であるCITICグループにて11年勤めた後、その後上海の著名な不動産開発企業である宏伊グループの董事副総経理を務め、いくつかの大規模プロジェクトの買収に成功し、企業戦略、合併と買収、資金調達、チーム管理など、この分野における豊富な経験を有している。 2017年にサービスアパートメントの管理ブランドであるTymsを創立し、CEOに就任。



林旭彬さんを知るキーワード

座右の銘「上善水の如し」

水は万物に利益を与えながらも、他と争わず器に従って形を変え、自らは低い位置に身を置きます。 私たちは利他主義の前提の下で、他人が成功するのを手助けする過程において、自分自身の成長と完全性を完成させるべきです。


愛読書


老子道徳経や金剛般若経などの哲学に関する本や、企業経営に関する本をよく読みます。チーム作りについて考えさせられることが多く、良書は従業員にも読むよう勧めています。

極限への挑戦

ゴビ沙漠を通り抜け、マラソンを走り、アフリカの最高峰であるキリマンジャロを登頂し、「一人であれば速く進むことができるが、グループであれば更に長い距離を進むことができる」ことと、「理想、行動、粘り強さ」が目標を達成させることを悟りました。

tyms

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住所 徐匯区辛耕路81弄永新世紀11-12号楼
電話 021-2411-8888