キーマンインタビュー

キヤノン医用機器(大連)有限公司
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キヤノン医用機器(大連)有限公司

董事長・総経理 比企進氏 2019年9月号

絶対品質の構築を目指し
患者に優しい機器の開発で
世界中の医療に貢献


患者さんと医療関係者を第一に


 キヤノン医用機器(大連)有限公司は昨年2018年3月に設立しました。弊社の親会社であるキヤノンメディカルシステムズ株式会社は、疾病の早期診断、早期治療に用いられるCT、MRI、超音波診断装置、X線診断装置などの画像診断装置やヘルスケアITソリューションを開発、製造し、世界150カ国以上に提供しています。その中で弊社は、中国全土に広がる生産部材、生産技術、人材を活用し、これらの機器生産を行うことで、親会社を介して世界中の医療に貢献しています。
 私自身は超音波診断装置用プローブ(センサー)開発に長く従事していました。超音波診断装置用プローブには、検査部位や臓器によって様々な形状のものがあります。また内部の仕様も装置のグレードにより異なります。最適なセンサー開発のためには、人体の構造を知らなければなりません。例えば脳内血流を検査する場合、骨の薄いこめかみにセンサーを当てるのが一般的です。当時はこのような人体構造や生理機能を理解するために、頻繁に病院に通ったものでした。一方で、医者と意見を一致させるのには大変苦労しました。患者さんに苦痛を与えないためにプローブを小さくして欲しいと言われるのですが、当時の技術レベルでは難しい。その折り合いに苦心したこともありました。
 キヤノンメディカルシステムズのスローガンは「Made For life」です。これには、患者さんや医療関係者の皆様に命の価値を提供して一緒に成長したい、医療に貢献したい、という意味が込められています。私達はお客様に安心して医療機器を使用していただくために、絶対品質の構築を目指しています。例えばCTは放射線を使うため被曝する可能性があります。私達は被曝低減技術を持っていますが、この技術をオプションではなく、上位機種から普及機クラスまで区別なく全機種に標準搭載しています。このほか、造影剤を投与することなく画像を撮影できるMRIも私達が世界に先駆けて開発しました。造影剤は薬剤であり体に侵襲的な部分がありますから、造影剤を使用しないということは体に優しいということになります。このように、私達は患者ファースト、医療関係者ファーストの考え方で機器の開発製造を行っています。


マレーシア・ペナンと大連


 私は2015年より東芝メディカルシステムズアジア製造社の社長として、1年間マレーシアのペナンに赴任しました。現在も立場は異なりますが、大連とマレーシア・ペナン拠点をそれぞれ管理しています。マレーシアは多民族国家であり、マレー系、中国系、インド系の国民が同じ土地に暮らしています。当地の工場は様々な文化的背景の従業員を雇用しており、職務規定もこれらの異なる文化に対応する制度になっています。例えば一部の従業員には1日に2回のお祈りや、金曜の午後にモスクでの礼拝の習慣がありますが、他の社員はこれを当たり前のことと許容していますし、私達もこれを労働の一部と捉え、労働時間の調整は行っていません。またマレーシア、中国ともに出稼ぎ労働者が多く働いていますが、中国においては農村部から都市部への国内出稼ぎが多いのに対し、マレーシアでは、ベトナムやインドネシアからの外国人が多いことが特徴です。このようなバックグラウンドもあり、マレーシアは異文化に寛容な土地柄であると言えます。
 一方で中国のスタッフはストイックで、仕事に対して真面目な印象を受けます。特に大連ではその傾向が強いと感じます。私は東芝時代、2003年から東芝大連有限公司医用機器工場の立ち上げに出張者として参画し、その後工場長として4年駐在しましたが、仕事を教える場面で皆熱心にメモをとっていたのを覚えています。キヤノンに変わってからも、工場が移転しても従来以上の生産効率を確保できている背景には、このような仕事に対する真摯な姿勢が大きく影響していると言えるでしょう。


東芝からキヤノングループへ


 現在私達の会社は中国やマレーシアを含め、世界各地に製造や研究開発拠点を展開していますが、研究開発の成果を含めて日本側で管理を行っています。各拠点をどのように活用していくかというディシジョン・メイキングも日本側で行います。私は本社側の常務でもあり、生産統括の責任者でもありますが、中国国内においては、中国全土に広がる事業をどのようにマネジメントし、私達の品質を担保する確実な仕事をいかに継続していくか。そこが一番大切だと思っています。そのためには、大連や上海、深センなど、都市ごとではなく中国を面として捉える視点が必要です。私達は決して人件費が安いからではなく、品質が良いから中国で操業を続けているのです。
 2016年には東芝メディカルシステムズをキヤノンが買収し、キヤノングループ入りしました。私は当時赴任先のマレーシアから呼び戻され、商号変更までの2年間、医療機器メーカーとしてのキヤノンブランド認知のため、ブランドイメージの向上に奔走しました。一方で生産の現場では、意識レベルでの変化もありました。キヤノンはものづくりを大切にしている会社で、内部付加価値を高めることに重点を置いています。OEMやODMのような外部委託ではなく、自社のリソースに価値を置くということです。キヤノンは生産・検出・評価技術や設備など豊富な内部リソースを保有しています。これらのリソースを使えるという意味においても、私達のモチベーションは以前と比べて大きく向上したという実感があります。生産側の視点から見れば、買収は私達のスタッフに良い影響を与えてくれたものと確信しています。
 弊社工場は昨年稼働したばかりですが、ここに来て私が作った言葉が「今すぐに、真っ直ぐに」です。東芝からキヤノンに移行する状況でも中だるみのないように、会社が変わってもすぐ行動して欲しいという思いを込めています。主体を品質に置くことが大切であり、品質レベルの担保をどう実現していくかというのが、私にとっての使命でもあります。



会社の将来を担う4人の幹部とともに董事長室にて。日本と大連、マレーシア・ペナンを行き来する比企氏にとって、ともに過ごす時間は短いですが、仕事の困りごとなど親身になって相談に乗っています。



2019年新年会の写真。会社設立後、初めての新年会の一コマ。したたかに酒を酌み交わし、社員手作りのアトラクションを見て、朋友としてのつながりを確認しました。気持ちがつながった瞬間は格別です。


PROFILE
ひき すすむ

1961年茨城県出身。㈱東芝入社後、超音波技術部でセンサー開発に従事。東芝大連有限公司医用機器工場の工場長、東芝メディカルシステムズアジア製造社(マレーシア)社長を歴任。キヤノン買収を経て、2018年3月よりキヤノン医用機器(大連)有限公司設立に伴い現職。2019年3月よりキヤノンメディカルシステムズ㈱常務に就任。大連及びマレーシア・ペナン拠点を管理する。


<比企さんをさらに知る>


マレーシア・ペナンでの街歩き


仕事から離れ、リフレッシュのための街歩きが大好き。ペナン島内の世界遺産、ジョージタウンの壁画の前で撮影。ちょっとおどけた感じの写真ですが、日常から離れられるひと時です。


ペナンのヘリテージカフェ


世界遺産の街ジョージタウンは元イギリス領であったことから、マレー系、欧米系、中国系、インド系が混在する人種のるつぼです。歴史的建造物をカフェに改造しているところも多く、そこで飲むコーヒーは格別。


大連駐在時の街歩き写真


森林動物園をスタートして勝利広場まで完歩。途中でカフェに寄ったり、ランチは大連B級グルメ。かなり疲れましたが、街を知るには良い経験でした。オリンピック広場五輪モニュメントの前でガッツポーズ。


キヤノン医用機器(大連)有限公司
開発区准河西路23号
℡(0411)8706-7111

キヤノン医用機器(大連)有限公司

住所 辽宁省开发区淮河西路23号 MAP
電話 0411-8706-7111

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