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キーマンインタビュー

国誉家具(中国)有限公司/国誉装飾技術(上海)有限公司
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国誉家具(中国)有限公司/国誉装飾技術(上海)有限公司

  • エリア:人民広場

董事長 奥井 壮司氏

優秀な人材を確保しつつ
日本で培った働き方改革に
資するオフィス空間を提案


主に中国とASEANをメインに、ファニチャー事業の海外統括を担っていらっしゃる奥井董事長。文具と並ぶコクヨグループの主力商品であるオフィス家具についての、変化の早い中国におけるこれまでの展開と今後の展望についてお話を伺った。



中国でのオフィス空間構築ビジネス

 当社では日本、中国、ASEANを中心としてオフィス空間構築ビジネスを展開しております。具体的には、顧客企業が効率の高い快適な業務を行えるよう、空間提案から始まり、内装全般の施工、オフィス家具生産から販売までをワンストップで行っております。  
 中国では2003年より事業を行ってきておりますが、当初は中国に進出される日系企業をメインのお客様として事業を展開してきました。その後、中資企業、欧米系企業にも拡大し、現在では上海、北京、深圳に自社拠点、13の都市に代理店を設置し事業を行っております。コクヨグループは弊社が扱うオフィス家具のみならず、皆様に幅広く認知されている祖業の文具でもトップシェアを誇ってきましたが、海外売上比率はまだ全社売上の10%程度しかありません。日本では少子化が進み、働き方が変わりつつある中、国内売り上げの更なる拡大には限界があります。海外事業の拡大はオフィス家具事業、文具事業ともに我々にとって喫緊の最重要課題であり、その中でも中国は最優先攻略国であり最も重要な地域と言えます。
 現在、中国事業全体における売り上げ構成比は日系が半分、残りが中資・欧米系という構成です。以前は日系の売り上げが全体の9割を占めていましたので、この5年ほどで構成比が大きく変化してきました。進出当初は日系以外でのコクヨブランドの認知度が非常に低かったこともあり、かなりの時間と資金をブランディングに投じてきました。このショールームもその一つですが、お客様のみならず様々な方にコクヨを知ってもらうためにショールームの1階を一般企業に貸し出して自由なイベントを実施して頂く取組みを行ったり、アーティストの卵の方にギャラリーとして使って頂いたり、我々が主催してヨガ教室や生け花教室を開催したりと少しずつ地道に認知度向上に努めてきました。


優秀な人材をマネジメントする困難さ

 中国では、日本や私が以前駐在したドイツ、ASEANでは考えられないような問題が日々発生します。業務上では、お客様が移転されるビルが予定通り完成せず、数カ月遅れるというのは日常茶飯事です。当社としてはビルが完成するまでは何もできないのですが、少しでも早く移転されたいお客様のためにできる限り我々の納期を短縮して、少しでもお客様が早く新しい事務所で業務をスタートできるようお手伝いしています。
 社内的には競合企業、特に欧米系競合からの引き抜きが多く、優秀な人財をいかに確保して長く働いてもらうかということは、他国とは比べられないほど大きな課題です。欧米系企業は長期雇用を前提とせず、短期間で高い成果を求め、結果が出なければ簡単に切り捨てますが、その代わり高報酬で人財を引き抜いてしまいますので、特に若くて優秀な営業人材は、せっかく育てたと思ったら引き抜かれるという事がよくあります。報酬面で欧米系競合と競争しようとしても勝ち目はありませんので、オフィス環境を充実させることはもちろん、やりがいを引き出す人事制度、企業文化等を組み合わせることで会社としての魅力を感じてもらい、優秀な人財に少しでも長く一緒に働いてもらえるよう努力しています。
 今回の駐在ではじめて中国人スタッフと仕事をしましたが、中国人スタッフはとても頭が良く要領もよく仕事が速く驚きました。先般ある会社の適正診断テストを全社的に行い、その中で足し算をひたすら行う試験があるのですが、彼らの処理スピードが驚くほど速く、日本人駐在員のほとんどは中国人スタッフの平均を下回っていました(笑)。優秀だからこそ、自分であればもっとより良くできるだろうという思いも当然あるでしょうし、何か指示をした際に、それ以上のことを良くも悪くもしようとするところがあります。


事業生産性向上に繋がる提案が鍵

 今後もさらに自社、代理店に関わらず販売エリアの拡大を通じて中資企業向けの販売を拡充させていきます。また、日本製の商品自体は日本では何万点とありますが、それらを中国に持ってきてそのまま販売できるお客様は、価格も高く仕様も異なるため非常に限られています。現地に根ざした中国製商品レンジの拡大を積極的に行っていくことも必要だと考えています。
 上海、北京、深圳などの1級都市では特にそうですが中国は本当に変化が早く、働き方やオフィスに対する考え方についても進んでいます。実は中国はアメリカの働き方改革の影響を強く受けておりABWという「働き方に応じた様々なオフィス空間をオフィス内で提供する」という先進の取組みが進んでいます。ASEANではまだ、オフィスは単に働くための場所という認識が比較的強いですが、中国では、「成果を出すためにはどのような効率的なオフィスであるべきか」ということに経営者の関心が高く、そのための投資を惜しみません。コクヨグループが日本を含めた他国で培ってきたワークスタイル提案とそれにあった空間づくりの知見を活かして、中資企業のお客様に対して他国での事例を参考にしながら空間提案を進めています。中国の競合他社と価格だけで勝負をしようとしても絶対に勝つことはできませんので、当社が優位性を発揮することのできる事業生産性向上を重んじる風潮になってきているのは追い風だと感じています。また、当社の中資優良顧客は中国から東南アジアやインド、日本への新規進出、事業拡大を進めているケースが多く、そういった優良顧客へのクロスボーダーでのアカウントも弊社の拠点網を活用して途切れなく継続していくことで、面展開を拡大していきたいと思っています。



私は2015年から中国で事業に携わっていますが、それまではマレーシアで4年、ドイツで7年駐在しました。中国の変化のスピードには驚くばかりで、働く場所に対する考え方もどんどん新しいものを取り入れており、変化への対応力はASEANや日本よりも早いと感じます。


今年3月に行われた社員旅行で、東京品川本社にて撮影した集合写真。スローガンは「ここから始まった夢、ここから広げていく」です



PROFILE

TAKESHI OKUI

1967年生まれ、兵庫県出身。1990年関西学院大学文学部卒業。同年コクヨ株式会社入社。1999年~2006年ドイツ現法、2011年~2015年ASEAN総代表、2015年4月より現職の海外統括兼国誉家具(中国)、国誉装飾技術(上海)董事長に就任。



奥井さんを知るキーワード

南の島

高校時代にタイ、中国の前にマレーシアに駐在していたこともあり、南国の海が好きです。この写真はマレーシアボルネオ島、センポルナ沖のセレベス海に浮かぶ孤島マタキング島に行った時の写真です。これまで行った中で一番綺麗な海でした。少し遠いですがあまり知られておらず超おすすめです!


ランニング


健康のために朝、毎日ジムでランニングしています。アスリートランナーではないのでフルマラソンなどは滅相もないですが、時々旅先でミニマラソンに参加しています。写真はバンコクでのミニマラソンに現地の社員と一緒に参加した時のものです。

ゴルフ

ゴルフを始めたのは会社に入ってからで年に1,2回ラウンドする程度でしたが、2011年のマレーシア駐在時代を機に回数が増えました。中国では赴任した2015年から上海大学対抗ゴルフ大会に参加しています。総勢500名を超える参加者はおそらく海外で行われる日本の大学対抗ゴルフでは世界一の規模。

国誉

国誉家具(中国)有限公司/国誉装飾技術(上海)有限公司

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電話 021-6141-3005