キーマンインタビュー

全日本空輸株式会社 大連支店
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全日本空輸株式会社 大連支店

支店長 岩田裕之 氏 2019年6月号

選ばれる航空会社として
「認知度」、「想起度」の
向上をミッションに邁進


26年のうち中国で過ごして間もなく通算15年が経過


 私は1993年に全日本空輸株式会社(以下ANA)に入社しました。4年後の1997年には当時の日中航空交渉がまとまり、関西空港を中心に発着枠が広がりました。このとき弊社も天津便、アモイ便、瀋陽便の3路線を開設したのです。そのひとつ、今は無き関西-天津便の路線開設に伴い、準備立ち上げで天津に向かいました。5年間天津で過ごしたのち一旦日本へ帰任し、東京の本社や羽田空港を拠点に、中国線の営業を軸とした部門や、中国域内就航拠点の空港でのハンドリング契約部門に所属、中国線事業に9年間携わりました。その後2011年の成田-成都線就航に伴い異動発令を受け、開設準備のため再び成都で駐在員生活に。引き続き2016年の成田-武漢線就航が正式に決定し、開設準備のため再度の異動となりました。私は26年の社会人生の中で延べ15年を中国で過ごしました。今回大連で中国赴任4拠点目。これまで各地で培った経験や中国に対する熱い思いを、全て大連に注ぎたいと思います。


事務所開設の仕事とは


 私はこれまで3拠点にわたり新規に事務所を開設する経験をさせて頂きました。具体的な仕事の内容は、政府関連機構への各種申請、事業所の選定、人材公募や雇用調整、従業員の初期訓練策定などです。例えば事業所の選定を例にとると、弊社がグローバル契約をしている提携会社より複数の候補地を紹介していただきます。その中から家賃や発展度合い、今後発展が見込めるかといった要素を元に候補地を選定します。発券カウンターを構える場所ですから、そこがお客様にとって利便性が良い場所かどうかも大切なポイントです。家賃などの費用と利便性を天秤にかける必要もあります。また古いビルであれば耐震性も考慮しなければなりません。特に以前駐在していた成都は地震が多い地域であり、ことさら慎重な考慮を必要としました。選ばれた候補の中から自分たちで交渉をしながら選定をしていく。これが事務所開設の中で苦労したことのひとつです。
 天津時代の私はまだ20代と若く、駐在員ではあったものの、五里霧中の日々で近隣の北京支店や日本サイドに頼ることばかりでした。成都では何も存在しない状態からの準備であり、過去の中国に触れた経験など一切参考にならず、当日2歩進んだ翌日は4歩下がるような感覚にも陥りました。日々の不安や緊張で体重が激減したこともありました。一方で3拠点目の武漢では、就航決定から初便運行まで約4カ月強という限られた時間の中での開設準備でしたが、これまでの経験を随分生かすことができたと感じています。


大連支店とこれまでの支店の違い


 弊社の大連支店は今年で33年目、中国線においては最も歴史ある支店です。一方で、天津は22年目、成都は9年目、武漢は4年目になります。私の印象では、歴史の浅い事業所は経験値が低いこともあり、上司から与えらた指示を忠実にこなすことが任務と言えます。しかし大連は現地化を重視している事業所であり、現地雇用スタッフ(ナショナルスタッフ)を多数幹部職に登用している成熟した事業所です。約50名の社員のうち日本人は私を含めて5名、残りは全てナショナルスタッフですが、このうち5名以上は管理職になっています。彼らは大連外国語大学など、日本語教育で有名な学校を出ており、事業所内のコミュニケーションは基本的には日本語が中心です。これからも現地の環境に合う方法で事業所を運営していくことが基本ですが、ナショナルスタッフを含めたマネジメント層が積極的に人材育成に参画し、ANAの事業所として、組織全体でANAのミッション、ビジョンを共有、実現していくことで、従来以上に現地化を推進できるものと確信しています。

 この様に、私自身の中国で業務や生活の時間はある程度の長さにはなっていますが、これまで新規に事業所を開設するという仕事は過去に経験させて頂いても、前任から仕事を引き継ぐという経験はありませんでした。これは私にとって大きな不足点です。ですから自分自身は、築き上げられた佳き歴史を引き継ぎ、そこに全員を巻き込んだ改革や改善を適宜融合させることで、更に優秀な育成を推進して現地化を促進させることが最重要任務と考えています。


中国で最初に選ばれる会社を目指して


 弊社は1952年12月に日本ヘリコプター輸送株式会社として創立しました。便名の数字の前に付与される2文字のローマ字が「NH」であるのはこれが由来です。1986年3月には国際線定期便の運航を開始しました。大連は弊社の中国線が最初に就航した都市です。1987年4月16日に就航した東京-大連-北京線が初便となります。当時私が高校生であった頃の話であり、歴史の長さを改めて感じる次第です。
 弊社の今年度の目標は、来年2020年に世界一流の航空会社になることです。これはグループ全体のグローバルミッションであり、弊社の掲げるビジョンでもあります。一方で中国における目標は「中国で最初に選ばれる会社になる」ことです。民間の企業ですから、様々な競争に打ち勝つ必要があります。同時にお客様にとって最初に選んでいただける航空会社になること。これを今後目指していきます。
 私たちにとって大事なポイントは「認知度」そして「想起度」です。「認知度」は一般的に、商品がどれだけユーザーに知られているかを示す度合いを指します。弊社に当てはめるなら、ANAはどんな会社か聞かれたときに、たとえば日本で飛んでいるファイブスターの会社だな、といった具合でしょうか。「想起度」は消費者がブランドを想起できるかを示す度合いです。「中国から日本に飛んでいる会社を5社挙げなさい」と聞かれたときに入ってくるかどうか。また何番目に入ってくるかということです。私たちが提供する様々なサービス、空席照会・運賃の検索やご搭乗手続き、機内サービス、搭乗後のケアまで全ての段階において、日本籍のお客様、そして中国をはじめとした外国籍のお客様にもご満足頂けるサービスのご提供を目指し、中国で最初に選んでいただける、高い総合評価をいただけるような取り組みを進めていきます。来年に向け既に社内では様々なミッションが設定されており、その達成に向けた具体的な行動を計画的に実施しています。

 私たちANAは、おかげさまでスカイトラックス社のレーティングで世界最高評価の「5スター」を7年連続で頂戴することができました。今後もお客様より変わらぬご評価を頂けるよう、グループ全体でお客様志向を徹底し、お客様に寄り添ったサービスの提供と改善に努めたいと思います。



先人の築いた歴史をしっかり引き継ぎ、更に優秀な人材の育成を推進して現地化を促進させることが最重要任務と考えています。これが自分に叩き付ける挑戦状になります。



大連支店のある森茂大厦1階お客様ご案内カウンターにてスタッフ全員で記念写真。「あんしん、あったか、あかるく元気!」をモットーに、最強かつ熱い組織づくりに努めていきたいと考えています。


PROFILE
いわた ひろゆき

1969年京都府出身。大阪外国語大学卒業後、1993年全日本空輸株式会社に入社。企業派遣で上海复旦大学に留学後、1998年より天津-関西線就航に合わせ支店設立準備から駐在。その後2011年より成都、2016年より武漢でも支店設立準備に携わる。2019年4月より現職。趣味は16歳より32歳まで現役でプレーしたラグビーと魚釣り。


<岩田さんをさらに知る>


上海复旦大学の学生宿舎にて


部屋はボロボロでしたが、ここが生活の拠点でした。1996年、当時27歳の私は、頭髪はまだ辛うじて普通を維持していましたが、密かに当時一世を風靡した育毛剤「章光101」を使っておりました(効果なし:笑)。


天津支店のカウンターにて


勢いとパワーで乗り切るような日々で、海外事業所の運営に悩んだことが多々ありました。今の私があるのは、この時の様々な学びがあってのものであり、感謝の気持ちでいっぱいです。


運航乗務員から頂いたラグビーボール


武漢線初便に乗務した機長が偶然ラグビーで知り合った仲間でした。ボールに全クルーのメッセージを頂き、家宝になっています。身体を作り直して、10分間でもフルスピードでラグビーがしてみたいものです。


全日本空輸株式会社 大連支店
西崗区中山路147号森茂大厦1階
℡(0411)8360-6611
www.ana.co.jp/cn/j/

全日本空輸株式会社 大連支店

住所 辽宁省大连市西岗区中山路147号森茂大厦1楼 MAP
電話 8360-6611

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