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野村綜研（大連）科技有限公司

キーマンインタビュー

野村綜研（大連）科技有限公司

董事総経理菅原能孝氏

長年のノウハウを活かした
高付加価値のサービスで
企業の業務効率化に貢献

中国3番目の拠点としてBPOに注力

　野村総合研究所（NRI）がどういう仕事をしているかご存知ない方もいらっしゃると思います。多くの皆様は頭の中に野村證券を思い浮かべるのではないでしょうか。我々はコンサルティングとITソリューションを組み合わせたビジネスを展開しており、主にBPO（業務プロセスアウトソーシング）とシステム開発を手掛けています。もともとは野村證券の調査部と電子計算部から独立する形で設立され、現在はアジアや欧米など14カ国と地域に42拠点を置くグローバルな企業に成長しました。各拠点が連携しながら、調査研究、コンサルティング、ITソリューションなどのサービスを提供しています。
　大連を拠点とする弊社、野村綜研（大連）科技有限公司は、NRIの中国3番目の拠点として2010年に設立し、今年で8周年を迎えました。ここでは主にアウトソーシング方式でのデータ入力や情報処理、ソフトウェアシステム開発を行っています。我々は、NRIが長年蓄積してきたITマネジメントのノウハウを引継ぎ、コミュニケーションの必要な付加価値の高い領域をビジネスに結び付けることで、他社との差別化を図っています。

アナログな作業も多い現場

　業務内容を大きく分けると、資産運用BPO、投資情報BPO、ITソリューションBPO、KPO（知的業務委託）が中心になります。資産運用BPOについては、日本の資産運用会社が運用する投資信託の基準価格算出業務や、運用報告書の作成業務を展開しています。例えば、国内大手全国紙の基準価格面。約2800銘柄の基準価格を毎日算出しているのですが、日々限られた時間の中で対応することになります。基準価格算出のピークは中国時間の15時から16時の間、社員とパートナー合わせて約45名の大所帯で作業しています。また投資信託会社と信託銀行で金額が一致しているかどうか照合をする必要があり、これは電話で行います。金額が1円でも違えば原因を突き詰めていかなければなりません。
　このほか、投資情報BPOでは、有価証券の属性データや企業財務データの入力、標準化、補正を行い、日本の多くの金融機関や大手金融ポータルサイトでも我々のデータが使われています。ITソリューションBPOでは365日24時間のサポートデスクなどを提供するほか、KPOはNRIコンサルタントのアシスタントなど非定型の業務が中心になっています。
　人事管理面では、現地化を積極的に進めています。私がこちらに来てから組織を事業部門制に刷新しました。部門長は全員現地スタッフです。人材育成にも力を入れており、基礎スキルを身につけるために金融やIT関連の資格取得を推奨しています。現在までに延べ150人を越える社員が資格を取得しました。このほか年次有給休暇制度の充実や、今年から自社年金制度を導入するなど、優秀な人材に末永く働いてもらえる環境作りを目指しています。

BPOに不可欠なITテクノロジー

　これからはITの変化、デジタル化への波に乗れるかどうかが今後の事業継続の上で大きな鍵となるでしょう。BPOは業務の効率化やコストの適正化などを目的としたコーポレートITの上に成り立っているビジネスです。しかし昨今のデジタル化により、新しいサービスやマーケティング、営業力強化などを目的としたビジネスITへ移行しており、この上で成り立つ新しいビジネス像を作り出していかなければなりません。この両者を組み合わせたものが、我々の進むべき道だと考えています。具体的なアクションとしては、日本の金融機関と協働しながら、既存業務にAIを適用する実証実験を始めています。
　一方で、KPOの分野も伸ばしていきたいと考えています。我々の会社はもともと金融業務に関するオペレーションからスタートしており、金融のスペシャリスト人材が豊富にいます。金融データや統計データの収集分析について、従来は日本と欧米が中心でしたが、今後は中国やアジアに向けてサービスを提供していきます。また、現在はNRIグループ内部向けのサービス提供が7割と高いので、これからは中国の日本企業様向けにも我々の高付加価値のサービスを提供し、多くの企業の業務効率化に貢献していきたいと考えています。