キーマンインタビュー

コラムニスト

エリア：その他

林慧美さん

日本の魅力を香港で広める日本フリークの先駆者

日本各地を巡り、観光スポットだけでなく、日本の文化・伝統を紹介する林慧美さんに、活動の取り組みについて伺った。

編集者からフリーライターへ

　専門学校卒業後、香港の「ELLE」社で編集・ライターとして5年働いたのち、2005年1月にフリーライターに転身しました。最初の仕事は、知人の紹介で香港の雑誌や新聞への日本旅行の紀行文の寄稿。日本旅行がテーマにしたのは、日本が好きで何度も訪れた経験から得た日本旅行の魅力を香港の人に伝えたいと思ったからです。6歳の頃、家族旅行で初めて日本・熊本の阿蘇山に訪れたときに豊かな自然に魅了され「日本」に強い興味を持って以来、日本の様々な土地を旅してきました。半年後には、会社員時代に日本旅行をしていた時に撮り溜めていた写真を使い、長野県・木曽路にある宿場町「妻籠宿・馬籠宿・奈良井」をテーマにした『日本田舎散歩紀行』を出版。幸運なことに、編集者としての経験と、趣味だった日本旅行経験が、武器になりました。同年、東京観光スポットや文化を紹介する『激安遊東京』、また翌年には、執筆のために阿佐ヶ谷に一年住んで中央線沿いの街を取材した『東京JR中央線散策』や、東京離島・伊豆諸島北部の文化を伝えた『東京島旅日誌―伊豆諸島北部』など、現在までに6冊の本を出版しています。
　
旅行以外の日本の魅力を伝えたい

2011年、フリーライターとして働く中で、ライターとしての幅を広げようと、以前より興味があった日本料理を勉強しようと思い立ちました。香港人に日本料理について正しく伝えたいという思いから、有名日本料理のシェフが構師となる政府の料理学校や、日本の辻料理専門学校の通信制で学び知識を得ました。また、日本のお米が好きなことから日本酒にも興味を持ち、同年日本酒の利酒師の資格を取得しました。ライター業に活かすために学んだ料理や酒でしたが、学校を卒業後、実際に日本料理店をやってみたいと思うようになり同年、日式のしゃぶしゃぶ専門店を友人と立ち上げ、2017年まで7店舗の経営者として働きました。
　日本への旅を重ねるなかで、日本の地理的な魅力にも気づきました。それが火山であり温泉です。温泉の成分・泉質によって、効能・特徴が違い、田舎の人の社交場でもある。もっと深く知るために、温泉について学んだ結果、10種の資格を獲得しました。知識を得てから体験するとより楽しめたり、さらに深く理解することができます。現在は、温泉についてもっと知りたいため、毎月温泉を目的に日本へ行っています。今後、日本の温泉に関する本を出版しようと考えています。
　
今後も日本に携わった活動をしたい

　今後したいことの一つに、農家として働きたいという夢があります。自然の中で営まれる田んぼが好きなので農業に興味があるからです。日本語で日常のコミュニケーションを図ることはできますが、農業についての知識がまだまだありません。以前訪れた、農家が営む民宿で宿の主人と話をしたときに、農家の人たちは自分の土地が好きで、農業で試行錯誤しながら代々土地を守り続けていると聞き、感銘を受けました。中国本土、香港にはない日本ならではの考えで、魅力を感じました。私もそんな農家をしてみたいです。
　もう一つの目標は、日本でのボランティアの継続です。常々、自分は日本のおかげで今の仕事があるのだと、大変な恩を感じています。少しでも役に立ちたいと思い、東日本大震災後には被災地南三陸町での仮設銭湯での受付や掃除のボランティアに参加しました。そのほかにも、九州の田植えの手伝い、五島列島での塩作りなども経験しました。これからも、ボランティア活動含め、日本に関わり、書くことを通じて香港の人たちに日本の魅力を伝えたいです。

PROFILE

メイ　ラム

日本文化と旅行のコラムニスト。香港生まれ、香港育ち。香港の専門学校在学時に日本とカナダの学校へ短期留学。温泉観光士をはじめ、温泉ソムリエ、温泉観光管理士など、温泉に関する10種の資格を持つ。現在は、NPO法人別府八湯温泉道名人会香港支部長、日本酒業連合会幹事を務める。日本酒利酒師。

最近は野湯巡りをメインに日本全国を巡る

観光だけでなく日本文化も紹介した出版本