キーマンインタビュー

日本料理宮楽

女将金春愛氏

「また来たい」という
お客様の気持ちを大切に

理想に一歩ずつ近づくやりがい

　日本留学中に、アルバイト先の日本料理店で料理人をしていた夫と出会いました。夫も同じく長春出身で、いつか中国で日本料理店を開こうと想い描いていました。将来を夢見て小物を買ったり、のれんを買ったり、料理のメニューを考えたり……。そして中国へ戻り、日本料理店を出そうという想いを抱え、2009年9月に、念願の日本料理店「おふくろ亭」を大連・人民路エリアの明澤街にオープン。カウンターにテーブル3つ、奥には小さなお座敷が2つととても小さな店でしたが、ありがたいことに多くの常連さんに支えられてきました。しかし、夫にとっては小さな厨房では作る料理にも限界があり、私自身も着物を着ておもてなしするという夢を叶えるため、場所を新世界名店坊に移し、名前も新たに「櫻川」とし、2012年にオープンしました。厨房も広くなり、今までできなかった料理のレパートリーを増やすことができ、私も着物を着てお客様をもてなすことができ、やりがいも一掃増しました。
　お店を運営していく上で、お客様からのご意見は非常に貴重なもの。そんな声の中から、隣の話し声が気にならない空間、畳の席が苦手なお客様にも気軽にご利用いただけるテーブル席など、個室環境をさらに充実させた店を作りたいと考えるようになりました。そして同じく名店坊内に、櫻川の3倍の広さとなる「宮楽」を2016年12月にオープンいたしました。

サービス、おもてなしを追求して

　仕事をする上で大切にしていることは「信頼」。お客様はもちろん、スタッフに対しても確かな信頼関係を築くことを重視しています。そしてサービスに対する意識。お客様が求めるものを事前に察知し、声がかかる前に行動を起こす。これこそがサービスの真髄だと思います。そしてお客様にお出しするおしぼりは業者さんに任せず、すべてスタッフでお絞り専用の洗濯機で洗い、準備します。お店の中のほんの一部分ですが、そういったちょっとしたことが合わさり、お店のイメージは作り上げられていくものです。
　数ある日本食メニューの中でも、宮楽の自慢は活魚料理。ウニ、アワビ、フグなど素材ごとに水温別の生簀で管理。世界の方に好まれる日本料理の代表格であるお刺身、お寿司を最高の状態でお出ししています。
　宮楽と同時オープンした姉妹店、「ジャズ＆ワインバー　CLARA」では、毎夜ギター弾き語り演奏でしっとりした大人の時間を演出。宮楽でお食事いただいたあとに、二次会で階下のCLARAをご利用いただくお客様もいらっしゃいます。
　昼夜共に、日本、中国の多くのお客様にランチや接待にご利用いただいています。お一人様で食事に来られる方もいて、このたびホール席にテレビを設置することに。気兼ねなく、のんびり食事を楽しんでいただければと思います。
　今後は何か新しいことに挑戦したいというよりも、お越しいただいたお客様に満足していただき、また来たいという気持ちを与えることに専念したい。今あるもの、できることを大切に、お店を盛り上げ続けていきたいです。