キーマンインタビュー

Sarah Lai Limited
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Sarah Lai Limited

創立者・デザイナー Sarah Laiさん

親しみやすく個性的なファッションを届けたい

金融界で働きながら、自分のファッションレーベルを立ち上げたSarahさんが、起業までの道のりとファッションへの熱意を語る。

ファッション界へ飛び込む

 初めて自分のブランドについて考え始めたのは、2013年のことです。ずっと金融関連の仕事に従事してきましたが、物足りなくなり、何か新しい事を学びたいと考えていた時期です。ちょうど同じ頃、同僚がサイドビジネスとして上海でスパをオープンし、「だったら私にもできるのではないか?」と背中を押されたような感じでした。香港で販売されているデザイナーレーベルは非常に高価です。何気に手に取ったスカートが1万ドル以上などということはよくあり、お洒落を楽しみたい方にとっては大きなネックだと考えます。親しみやすく、かつ個性的なファッションレーベルを創りたいと思いました。自分でリサーチを進め、有給休暇を使ってロンドンの芸術大学、セントラル・セント・マーチンズの短期コースも受講し、ファッションの基礎からレーベルの立ち上げ方などについて学びました。
 私のブランド「Sarah Lai Label」の最初のコレクションは2014年に完成しました。撮影が得意な友人が、カタログに使用する写真を撮影してくれるなど、その時は大勢の友人に助けられました。自分のビジネスを持つこと自体、全くの初心者でしたので、ゆっくり手探りでパズルを1ピース1ピースずつ繋げて行くような感じでした。

失敗も成功も学習のチャンス

 起業に挫折はつきものです。私もビジネス運営の経験が浅いことから、騙されたこともありました。それらも教訓として受け止めて、次に活かすことにしています。一番大切なのは、その過程で何を学んだかということ、そして同じ過ちを繰り返さないことだと考えます。また、このプロジェクトを通して今まで気付かなかった自分の一面を発見することができました。専門が金融業ということもあり、コストや利益など数字にフォーカスする事が多いのですが、ファッションビジネスを通じて、オンラインショップの立ち上げ方や原価と利益などの運営面、ファッション業界に関する知識を得ることができ、小売業の株価分析方法もより上手になり、株式投資のセンスがよくなりました。方向性の違う二つの事業を持てたのはとても幸運だと思います。片方で挫けそうになっても、もう一方が努力するモチベーションに繋がったり、一方で学んだ事がもう一方のインスピレーションになったりと、以前に比べバランスの取れた人間になれたように感じます。

二つの事業の掛け持ち


 私は今でもフルタイムで金融の仕事をしています。「2つの事業をどうやって掛け持ちしているの?」とよく聞かれますが、一番大切なのは頼れるビジネスパートナーを持つことだと思います。ブランド立ち上げ段階で今のオペレーションマネジャーに出会えたことはとても幸運でした。彼女はアパレル製造の経験があり、布の材質や服の生産過程を熟知する大切な裏方です。また、このファッション事業は自分の子どもだと思うようにしています。多くの母親たちは働きながら子育てをしています。それに比べるとビジネスの運営はまだ調整がきくものだと考えます。平日の勤務時間はもちろん金融の仕事を最優先にしますが、夜や週末はブランドの経営に注力します。余暇の時間は減ってしまいますが、自分の思い通りの服ができ上がったときの喜びや達成感にはそれだけの価値があると感じています。今後は、キーオピニオンリーダー(KOL)とのコラボレーションも進め、「今着たい服、今に必要な服」とは何かを探索していきたいです。

PROFILE


サラ ライ

アメリカの大学で金融を専攻し、卒業後はグローバル規模の金融企業に従事。2013年から自分のファッションレーベルの立ち上げを考案。ロンドンの芸術大学「セントラル・セント・マーチンズ」でファッションを学んだ後、2014年に「Sarah Lai Label」をローンチする。

時間があれば旅行へ。写真はタイにて


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