キーマンインタビュー

三菱電機(香港)
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三菱電機(香港)

社会インフラ事業部総経理 鳥海 寿郎氏

高度な技術と、香港・日本のチーム力が生む「総合力」で香港からマカオ、中国本土へ

私たちの香港生活に欠かせないインフラ技術を提供する、三菱電機(香港)社会インフラ事業部。総経理の鳥海氏に現在の取り組みと、今後の展望を伺った。

香港の電力・交通・公共事業を牽引

 三菱電機(香港)は、三菱電機が100%出資する現地法人の総合販売会社です。昨年の2016年10月に、50周年を迎えました。我々の社会インフラ事業部は、香港の快適な生活に欠かせない「電力」「交通」「公共」事業を担っています。1976年に電力事業から始動し、交通・公共事業と拡大してきました。現在、香港島全域とラマ島を管轄する「香港電力」では、電力機器の約90%に弊社機器が採用されています。年間停電時間が1分未満という「電力の安定供給」のベースともなっている弊社電機品はすべて日本製で、兵庫県の神戸、伊丹、赤穂、香川県の丸亀工場で製造されています。「交通」事業では、MTRの車両約1000両のうち80%に弊社電機品が採用され、定時発着や安全運行に寄与しています。そして、「公共」事業では、香港の沙田競馬場やハッピーバレー競馬場、香港SOGOに設置されている「ダイヤモンドビジョン」と、2016年4月に香港国際空港に納入した「ライダ」があります。気中にレーザー光をあて、埃やチリの動きから乱気流を検地するライダは、安全飛行するために欠かせない装置です。これらの事業が香港内外で高く評価され、香港からマカオ、中国全土へと事業拡大をしています。

組織改革で「見える化」受注UPへ

 約3年半前の着任当初は、仕事を円滑にするために必要な「報告・連絡・相談」が十分なされていないため、現地スタッフと日本人スタッフのコミュニケーションが上手くいかず、組織機能に課題がありました。そこで、大幅な組織改革を実施。一例として、当時はGM(事業部長)とDGM(副事業部長)が日本人だったのを、DGMを日本人と香港人に変えたことで、年度計画や人員計画に関する重要な会議で、現地スタッフの意見も取り入れた方針決めが可能になりました。現在は、現地スタッフにも「報告・連絡・相談」が浸透し、部内の風通しが良くなり活性化に繋がっています。また、「ダイヤモンドビジョン」と「ライダ」の新規市場の開拓及び拡販活動の加速化を図るため、2人のプロフェッショナルをアサインしました。
 私が特にこだわったのは、部内一人ひとりが持つ情報の「見える化」です。このことから、現地スタッフと日本人が常に同じ舟の上で、ひとつの目標に向かっていく意識を育てることができ、結果的に受注増へと繋がりました。
 組織改革をした一方で、香港の文化に合わせたのはスピード感です。香港だけでなく、中国にも言えることですが、日本よりもスピード感が求められます。業績を伸ばしている香港や中国の企業は判断が素早く行動が早い。それに対応していくためには一人ひとりの自己改革が必要でした。組織が変わっても、一人ひとりの意識が変わらなければ何も変わることはできない。そのため、私はスローガンとして「Dramatically Change」を掲げました。スピード感を持って動くには、従来の考えや仕事のやり方にこだわらずにもっと柔軟に対応していける自由な発想でという意味を込めています。最近は個々に浸透し、今までは上司である日本人に意見を言っても、却下されてしまうことを恐れて言わない人も多かったのが、今では多くの人から意見が出る組織に変わりました。

香港から中国本土へ展開していく

 今後は、「電力」は香港・マカオエリア、「交通」では香港の地下鉄事業、そして「公共」は「ダイヤモンドビジョン」「ライダ」の導入を香港からマカオ、中国大陸を視野に入れて事業拡大したいと考えています。
 中国の第13次五カ年計画では、2020年までに新空港が74カ所、既設の空港の滑走路拡張工事が139カ所計画されています。安全な離発着を確保するためにも、空港用大型ライダの潜在重要はあると考えます。香港国際空港に納入した実績は北京でも高く評価され、昨年11月に北京の新空港にも採用されることになりました。次は、新空港が計画されている成都或いは山東省の青島への導入に向けて拡販活動を展開しています。また、広東省では白雲空港、深センの宝安空港の滑走路の拡張工事も決定しているため、合わせて導入を提案します。また、中国全土では、環境改善の一環でCO2の削減が実施されています。今後発電所は石炭火力を廃止し、天然ガス、水力・風力・太陽光の再生エネルギーを増やす動きがあります。我々は風力分野で貢献できる技術を提供するため、小型ライダを開発しています。一番効率よく発電するため、どこに風車を建てればよいのか、風の強さや向きを観測する機器です。
 ダイヤモンドビジョンでは、中国の内需拡大政策である2020年開園予定のユニバーサルスタジオ北京や大連のワンダーグループの15ヵ所のリゾートプロジェクトに同製品を拡販していきたいと考えます。

 香港からマカオ、中国へ、我々の技術が活用される機会を拡大できるように現地スタッフと共に取り組んでまいります。


香港SOGOの「ダイヤモンドビジョン」。縦19.2m×横71.68mで、香港最大のビル外壁設置高解像度スクリーン。屋外の過酷な環境下でも美しく鮮明に映像を映し出す。日本での名称は「オーロラビジョン」。

PROFILE

とりうみ としお

兵庫県神戸市出身。関西学院大学を卒業後、三菱電機に入社。香川県丸亀工場へ配属される。1998年から中国・西安の製造・販売合弁会社に4年間勤め、シリア、イラクでは発電リハビリを提案。2014年4月に社会インフラ事業部の総経理として来港。


<鳥海さんを知るキーワード>
落語経験が今に繋がる

高校では落研に入部。きっかけは、内向的な性格を変え、誰とでも社交的に話せるようになりたい、との思いでした。一人で何役もこなし、間をとりながら笑いをとる難しさを学びました。今では、すっかり、どこの国でもどんな相手とでも深く交流できます。

イラクでの貴重な体験

戦争で砲撃を受けた発電所の復旧調査を行いました。街中では停電が頻繁に起き、テロ攻撃回避のため、宿泊は24時間監視体制の塀の中で、装甲車での移動でした。電力の安定供給、安全な生活を送ることが如何に大変か、考える契機となりました。

日本酒で異業種交流を図る

蘭桂坊にある日本酒と旨いつまみが食べられる「地酒処 吟」で、月に一度程「吟の会」を開いています。異業種交流だけでなく、蔵元が来港する機会に合わせ開催することも多いため、香港にいながら日本酒を深く知ることができるのがいいですね。



三菱電機(香港)

住所 20/F, Cityplaza One, 1111 Kings Rd, Taikoo Shing, HK MAP
電話 852-2510-0555

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