キーマンインタビュー

新事業開拓への道

日中合弁の自動車内装部品メーカー

   弊社は日本の河西工業㈱と、中国東風日産汽車（DFL）傘下の東風延峰汽車飾件による自動車内装インテリア部品メーカー同士の日中合弁企業です。東風日産大連工場設立に伴い、2014年9月、同工場向け自動車内装部品の製造・販売をスタート。
　現在中国ではSUV車がブームとなっており、東風日産大連工場もキャシュカイとエクストレイルのSUV車を生産。弊社はそのSUV車内装部品を生産しています。
　河西工業の製品はドアトリム、インパネ、ルーフトリム、サンバイザー、コンソールなど、内装部品は多岐にわたりますが、ここ大連では、ドアトリム、ラゲージ／トランクトリム、ピラートリム等を手がけます。
  主に樹脂を素材としていますが、ドアトリムには高級車向けの本革、人工皮革、アルミニウム、本木目（純木）等も使われ、スイッチ類やスピーカー、イルミネーションなど電子部品や縫製品、吸音材や緩衝材も含む、すそ野の広い産業です。

軋轢を生みながら切磋琢磨

    河西工業は海外30拠点で生産を展開し、日産、トヨタ、ホンダはもちろんフォルクスワーゲンやジャガー、ランドローバーなど、グローバルに部品を供給する実力を持ったサプライヤーです。一方、パートナーである東風延峰は東風グループ傘下で長年の実績を持ち、中国事業展開において技術面はもちろん、人脈、顧客対応力、交渉力の面で非常に頼もしい存在。そんなお互いの「良いとこ取り」を以って相乗効果を上げることが日中合弁の理想とするところです。
　 しかし実際に会社経営をスタートさせてみると、日本と中国の違いだけではなく、モノづくりに対する考え方や、方法論の違いでぶつかりあうことも度々です。しかし、それはけして悪いことではなく、議論を重ね、淘汰し、良いモノを生み出すことが、双方が目指すところです。
　 中国には東風汽車、第一汽車、上海汽車など国を代表する自動車メーカーがありますが、大連には東風日産設立までは大手自動車会社が存在しませんでした。よって開業に伴い、経験を積んだ自動車エンジニアが乏しく、人材集めには相当の苦労をし、それは今もなお抱える問題です。設立時はパートナーである東風延峰から多くの人材支援を受けることができたのも、合弁企業のなせる業。現在はこの東風河西で経験を積み、成長した実地技術者で新しいモノづくりをしていこうと息巻くところです。
    近年に見る労働賃金の上昇も深刻な問題ですが、物流費も同様です。特に弊社の製品は大きくかさばる製品であり、且つ車に乗る人に直接触れる部品であり、少しの擦りキズも許されません。それ故に、コストの中でも輸送費・梱包費の比率が高い。
 　弊社の生産品は現在すべて東風日産大連へ納品されますが、工場までのわずか2.5キロの距離でも慎重な対応が必要です。

インフィニティ参入を視野に入れ

   日産は高級ブランド「インフィニティ（英菲尼迪）」を確立し、中国国内でも展開中です。インフィニティ車種およびその部品を生産できる工場、部品会社は必然的に高級車として「選ばれた者」であり、そこに参入していくことが我々の当面の目標です。
　私自身、かつて安徽省にて奇端汽車との合弁事業に6年携わってきました。ここ大連では、中国を生産基地とした加工貿易という形が主流であった日系メーカーも、売先として巨大な中国市場参入へシフトしています。中でも独資進出が多数を占める点も大連日系企業の大きな特徴といえます。独資進出企業は日方親会社とその派遣総経理のトップダウンで物事が進められますが、中国との合弁企業となると、その運営はそう単純ではありません。ときには日中双方で対立する意見を受け入れ、方向性を見出し、一歩ずつでも前に進む。その積み重ねがお互いの信頼関係を築いていく。これを身を以って体感・体験してきました。奇端汽車との合弁事業での貴重な経験を、ここ大連に於いても同じように活かして行くことを、日々心掛けています。
   地元または近隣地区からの人材が多く、社員の安定した定着率に支えられ、事業を進める上での好環境を実感する大連。河西工業の技術力とノウハウ、そして東風延峰の持つ実績を武器に、販売力をより一層強固なものとしたい。さらに他の河西と東風延峰の中国拠点との人材交流を通じ、自動車を軸とした技術者、マネジメント人材育成にも目を向け、邁進して行きたいと思います。

今年の1月に行った毎年恒例の社内迎春年会にて。日中合弁の強みを活かし、指導者層は日本や広州、武漢での経験者多数。従業員は約100名、平均年齢26歳の活力溢れる若いメンバーが集結！ （ただし総経理を除く平均年齢（笑））

PROFILE

あらい　りょうた

1957年生まれ、東京都台東区出身。1980年慶應義塾大学法律学科卒業後、日産自動車㈱入社。生産管理を経て1986年中国（北京／香港）赴任。以降、中、韓、東南ア、欧州を担当。仏・ルノー社との提携で2000年よりパリ駐在。08年日本河西工業㈱と中国奇端汽車の合弁設立のため安徽省蕪湖市に6年駐在。その後タイ・バンコク駐在を経て16年4月より現職。趣味はゴルフ、カラオケ、絵画鑑賞（モネ、モリゾ、フジタなど）

＜新井さんを知るキーワード＞

浅草生まれ、祭囃子が子守唄

祖父から3代続く江戸っ子です。5月～6月にかけ、地元では下谷さま、三社さま、鳥越さまとお祭りが続きます。その時期は大連に居ても血が騒ぎます（笑）。写真は1歳の頃。

エッフェル塔が見えるアパートで

パリ駐在時、家内（左）が好きな画家・佐伯祐三氏のアトリエ跡のアパートで暮らしました。ルーブルやオルセー美術館が近く、よく足を運びました。ルーブルを45分で回る極意教えます（笑）

150キロ越えの超大物カジキ！？

早朝トローリング、陸に上がってすぐゴルフ、按摩を挟んで夜カラオケという「おじさんトライアスロン」で楽しんだバンコク駐在時の週末。写真とタイトルを間違えたか？（笑）

東風河西（大連）汽車飾件系統有限公司

大連市保税区南港路4号
℡（0411）3925-1333