キーマンインタビュー

日本貿易振興機構 上海事務所(JETRO上海)
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日本貿易振興機構 上海事務所(JETRO上海)

所長 首席代表 小栗 道明氏

日中双方がWin-Winに

相互理解の場を積極的に提供

より多くの企業をサポート

1985年の上海進出から20年余り。変化の激しい中国にて、時代の流れとともに、変化し続けるニーズに対応する同機構の歴史、今後の展望を伺った。



中国というダイナミックな市場で


 日本貿易振興機構(JETRO)は独立行政法人として、日本国内および海外55カ国・74事務所を運営。そのうち中国においては上海市、北京市、広州市などに8拠点を構えます。各拠点では、日本へ進出する中国企業のサポートのほか、日本企業の中国市場開拓の面では、農林水産・食品産業、高齢者産業、環境・省エネ産業、自動車産業、サービス産業や消費市場開拓に重点を絞って事業を進めています。

 以前赴任した、北京、広州でも多くの事業に携わりました。北京では2001年に北京オリンピックの開催決定や、WTOの加盟などがあり、日本企業の対中投資ブームが起こりつつありました。そのような背景もあり、2002年には日本の中小企業経営者約70名を受け入れ、当時の首相との面会を実現することができました。この実現には2年間ほどを要しましたが、その準備段階に中国で仕事をするに当たっては相手の立場を尊重し、信頼関係を築くこと、つまりはWin-Win関係の重要性を学びました。北京では中央政府関係者と関わる仕事も多く、両国関係のダイナミズムを感じながら事業を遂行してきました。

 2004年に事務所設立から携わった広州では、広東省政府にとって当時のJETROの存在感は小さく、まさにゼロからのスタートでした。深センや東莞に進出している中小企業の方々と関わりを持つことが多く、どれだけ企業目線で仕事ができるかということの重要性を痛感しました。また、トヨタと日産が広州へ進出したことで、自動車部品関連企業の進出が加速したことに目を向け、2005年に日系自動車部品企業のみを集めた展示会を開催。第1回から約80社もの日本企業が集まったことによりJETROの存在をPRできました。展示会のスタイルに多少の変化はありましたが、同展示会は2004年まで10回継続して開催していました。


時代の流れに合ったサポート体制


 JETROといえば中国に進出する日系企業の皆さんをサポートする機関と認識している方が多いと思います。実際には、日本政府の政策の方向性や中国経済の発展の変化にともない、我々の事業も同様に変化しており、現在トッププライオリティに掲げているのは対日投資支援、つまり中国企業が日本に進出するためのサポートです。 主に3つのニーズを柱に日本に進出する企業が多いのですが、一番多いのは「インバウンドニーズ」です。現在日本へ行く中国人が多いので、そこに発生するニーズ、代表的な事業でいえばエアラインの就航やホテル開業、それに加えWi-Fiの貸し出しなど、インバウンドに対応する企業が多く進出しています。次は「爆買いニーズ」です。インターネット通販サイトを通じた電子商取引を展開する「越境EC」の日本進出や、日本の機械や部材などを調達しようと専門企業が日本に拠点を設置するようになっています。これまで個人が日本へ行った際に日本製品を大量購入する爆買いが目立っていましたが、企業としても日本の良い物を中国に取り入れようという動きがみられます。そして、昨年春頃からニーズの高まりを見せるのが「日本の匠ニーズ」です。昨年の全国人民代表大会(全人代)にて中国首相が「工匠精神(職人精神)」の重要性を指摘しました。そのことで、「MADE IN JAPAN」や日本の職人の持つ優位性に対して、中国企業からの注目が集まるようになりました。日本の優れた技を活かし、研究開発や製品製造を行いたいという企業が積極的に日本へ進出しています。

 日中双方が経済面でWin-Winの関係を築き、発展していくことをサポートするのがJETROの役割です。中国経済が発展する中で貿易でも投資でも、本当の意味で双方向の交流が重要な時代になっています。その中で、企業の具体的なビジネスをしっかりとお手伝いできればと思います。


日中ビジネス理解の場を提供


 ここ数年、日中間の関係も良好なので、中国に進出してくる日本企業、日本へ進出する中国企業もまだまだ増えていくと思います。ですが、日中間の経済交流を拡大する上で最も不足しているのは相互理解です。中国へ派遣され、現実の中国の姿と本社の中国市場への見方とのギャップに悩まされる日本人はたくさんいます。日本に行く中国人の方も増えていますが、中国企業の日本への理解も決して十分とは言えません。そのような状況を解決するためには、両国企業のトップが実際に相手の国に足を運んで、ビジネスの現状を理解してもらう機会を多く作っていくことが重要です。 
 中国は経済規模も大きく、チャレンジしがいある国です。今後もより多くの日中双方企業をサポートするため、互いに交流し、知り合える場を多く提供していきたいと思います。そして両国にとってプラスとなるWin-Winの環境作りを行い、日中を繋ぐ架け橋としてJETROの力を発揮していきたいです。





1995年に出張で初めて来海した小栗氏。日系企業の進出ブームを目の当たりにしただけでなく、中国で生きる現地の人のたくましさ、多くの可能性を秘めた活気に満ち溢れる中国に魅力を感じたのだとか。


PROFILE


日本貿易振興機構 上海事務所(JETRO上海)

所長 首席代表

小栗 道明氏 


1970年生まれ、静岡県出身。立教大学法学部卒業。94年日本貿易振興会(JETRO)に入会(経理部配属)。96年~97年、北京語言学院と遼寧大学で1年間語学研修。99年~04年の5年間、北京事務所に駐在し、04年~06年広州事務所に駐在。06年~11年、本部市場開拓部、在外企業支援・知的財産部、総務部、企画部で勤務。15年9月に上海事務所長として着任。



小栗さんを知るキーワード

昔からのモットー


座右の銘は「気概と情熱」。大学時代から心に置いている言葉です。常にポジティブに考え、行動することをモットーにしています。「Cool head,but warm heart」で仕事に励みます!


家族との時間は宝



家族と仕事が生きがいです。娘たちにも中国について、よく知ってもらいたいと思い、積極的に家族旅行に行くようにしています。家族と過ごせる時間、旅行は何よりの楽しみの一つです。


学生時代のクラブ活動



大学時代、海外インターンシップを行う国際学生団体の活動に4年間のめりこみました。日本国内各地や世界各国の学生との交流や団体運営の経験が、その後の人生に大きく影響しています。



日本貿易振興機構 上海事務所(JETRO上海)

上海市長寧区延安西路2201号上海国際貿易中心21階 
℡ (021)6270-0489

詳細は日本貿易振興機構 上海事務所(JETRO上海)

日本貿易振興機構 上海事務所(JETRO上海)

住所 上海市长宁区延安西路2201号上海国际贸易中心21楼 MAP
電話 021-6270-0489

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