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中国著作権法の手引き(16)

前回はネットワーク環境下の直接侵害と間接侵害の概念および区別についてお話ししました。
今回はその具体的な事例をいくつかご紹介します。

(1) 事例

①オンラインゲームの盗作↓直接侵害を構成

米国の某ゲーム開発会社Mはオンラインゲームを開発し、M社のネットプラットフォームを通じてリリースしました。ユーザーがM社のゲームを入手するには、(1)オンライン上でライセンス契約を締結する、(2)オンラインで購入する、(3) M社から暗号解除キーを取得する、(4)ソフトをダウンロードしてインストールする、といったものが合法的なプロセスになります。
 しかし、中国の某ゲーム会社Aは、M社のゲームの暗号を解除し、無断で編集・変更し、A社が開発したとしてその名義でゲームをオンライン販売しました。この場合、A社はM社のゲームソフトを盗取する形で直接侵害を構成し、その侵害対象はM社のゲームソフト(著作権)の排他的権利となります。A社は「著作権法」および「権利侵害責任法」の規定に基づいて厳しい権利侵害責任を負わなければなりません。

②ネットを介し他人のゲームソフトを伝達↓間接侵害または共同侵害を構成

上記の事例において、仮に中国のネットプロバイダB社が公衆にネットリンクサービスを提供する際にA社の盗作ゲームのサイトに自動的にリンクさせた場合、M社に対して間接侵害を構成したことになります。ただし、権利侵害については、B社に主観的な故意があるか、または過失の有無により判断する必要があります。
 「情報ネットワーク伝達権保護条例」第5条第2号には、「情報ネットワークを通じて、権利者の許諾を得ずに権利管理電子情報を削除または改変された著作物、実演、録音録画製品であることを明らかに知り、または知り得べきでありながら公衆に提供してはならない」とあります。
 B社が間接侵害または共同侵害を構成する前提として、直接侵害を行ったA社が存在し、権利侵害行為に幇助または公衆を教唆、誘引して権利を侵害したゲームを伝達させ、客観的に侵害を悪化させたかどうかといった点がキーポイントとなります。

③ネット伝達権事件の複雑性

ネット技術が進化する今日、ゲームのネット伝達権を侵害するその手法は巧妙かつ悪辣になっています。
 例えば、D社がM社のゲームをデコーディング後、匿名の個人にネットワーク情報ストレージ(百度雲など)上にそのゲームを置かせ、公衆にダウンロードさせたことがありました。この事例においてM社は、訴訟の際に盗作ソフトをD社が作成または提供したかどうかは証明できず、盗作ソフトへのリンクをD社が提供した事しか明らかにできません。ここで権利者がすべきことは、直ちにD社に警告書を送り、盗作ソフトへのリンクを遮断、または削除を求めるべきです。D社が警告状に従わなかった場合、理論上M社に対する間接侵害を構成します。

(2) 原告の挙証責任

上記のどの事例であっても、原告のM社は民事訴訟を起こす際にしかるべき挙証責任を負わなければなりません。しかし、被告の権利侵害の証拠取得は大変複雑な作業となります。一般的に、公証機関を通じて被告が盗作したソフトをネットを介して違法に伝達したという証拠保全の公証書の取得が必要で、調査会社を通じてさらなる証拠を集める必要もあります。



張 継文 パートナー

北京中諮律師事務所

zhangjiwen@zhongzi.com.cn

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