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増値税の調査ツール ~当局からの質問対処法

何の前触れもなく税務局から質問を受けた経験はありませんか?今年から全国の徴税システムが更新され、今後その傾向が強まるかもしれません。


納税システムの更新


 上海市では7月から増値税額の過少納付に対する徴収強化が進められています。更新された納税システムは、「金税三期」と呼ばれ、仕入増値税と売上増値税の相関関係を、業界別、類似会社別、地域別、数量別に効率よく比較分析することが可能となっており、税務当局による徴税強化の強力なツールになると考えられています。これにより仕入・売上増値税額と各種数値の相関関係が、業界、地域、数量別に比較分析することが可能となりました。以下では増値税調査のきっかけとなる警告指標につき解説します。


30%基準とは 


 増値税の税負担率に、前期比30%以上の変動があるとシステムが自動的に警告を発します。
●税額増減率=(当期税負担率−前期税負担率)÷前期税負担率
●税負担率=納税額÷課税収入
 負担率が減った場合だけでなく増えた場合にも質問が来るので注意が必要です。当局の視点は「簿外売上」と「偽発票による過大控除」を疑っており、調査では販売関連の原始証憑、販売記録、売掛金明細、現預金、在庫数量につき質問してきます。

10%基準とは

 仕入増値税額の過大申告による増値税の過少納付を、理論値と実際値の比較により検出しようというものです。乖離率が10%を超えると警告が発せられます。
●乖離率=(実際仕入増値税額÷理論仕入増値税額)−1
●理論仕入増値税額=当期仕入額×仕入増値税率+運輸仕入増値税額)
●当期仕入額=当期売上原価+期末在庫残高−期首在庫残高
 当局の視点は、「従業員の福利厚生目的あるいは役員の個人消費目的の財サービスの購入」を疑います。また、在庫を非正常損失として処理(費用化)した場合には、売上原価の増加→理論仕入額の増加→マイナスの乖離率となります。調査では、原材料の入出庫記録、非正常損失処理した原材料・仕掛品の仕入増値税転出(費用化)処理の正確性を確認します。

1.0基準とは

 売上の増減率と納税額の増減率の動きが連動しているかをみるものです。
●指標=売上変動率÷納税額変動率
●売上変動率=(当期売上高−前期売上高)÷前期売上高
●納税額変動率=(当期納税額−前期納税額)÷前期納税額
 売上に応じて納税額が伸びている、或いはその逆であれば指標は1.0に近くなり、問題なしとされます。1.3などプラスの高い数値のうち、売上の伸びに納税額が追いつかない場合は問題とされますが、売上のマイナスに比べて納税額のマイナスが少ない場合(両者ともマイナスだが指標はプラス)の場合は問題とはされません。納税額がマイナスの場合に問題があると考えます。指数がマイナスの場合では、売上がプラスで納税がマイナスだと問題です。
 売上の季節的変動による納税額の増加や非清浄損失の費用化では、正しい処理をしていても警告→質問となるわけであり、質問、調査にあたっては慌てずに対応することが肝要です。ただし、説明資料だけは怠りなく直ぐに出せるようにしておきたいものです。



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