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中国著作権法の手引き(10)

前回中国の著作権法で例示列挙されている権利の制限⑤~⑧まで紹介しました。今回は権利の制限事由について最後の4つを紹介します。


 著作権の制限において、法定許諾および強制許諾は、著作権者に一定の使用料を支払う必要があります。支払う使用料の基準は、一般的に法律法規または業界の慣例によって決められています。

【①教科書】

     中国の著作権法の第23条では、9年制義務教育および国の教育計画を実施するために編集・出版される教科書は、著作権者の許諾を受けず、すでに公表された著作物の一部またはその他の著作物の利用が可能ですが、報酬の支払いを定めています。

    本条の規定を適用する場合、以下の点に留意する必要があります。

①9年制義務教育を実施する場合に限る。

②すでに公表された著作物の一部または短編の文字、音楽、単独の美術、写真などの著作物のみ、また少量の複製に限る。

③著作者が事前に使用を禁ずる場合、使用できない。

④著作者の氏名、著作物の名称掲載が必要であり、かつ著作権者が本法によって享有するその他の権利を侵害してはならない。

【②新聞・雑誌への転載】

    中国の著作権法の第33条第2項では、著作物の掲載後、他の新聞・雑誌はこれを転載しまたは要旨、資料として掲載可能ですが、著作権者に報酬の支払いを定めています。

本規定では、以下の点に注意が必要です。

①新聞および雑誌への転載のみ可、図書、インターネットへの転載は適用外。

②著作権者が転載、抄録を禁ずる場合、他の新聞・雑誌はこれを転載してはならない。

    新聞・雑誌社が一方的に自身の著作物を転載、抄録を禁止する声明を出すことがありますが、著作者に禁止する声明を出すよう求めることは可能ですが、新聞・雑誌社が自ら声明を出すことはできません。

【③録音製品の製作】

    中国の著作権法の第40条第3項によると、他人がすでに合法的に製品にした音楽著作物を使い録音製品を作る際、著作権者の許諾は不要ですが、報酬の支払いが必要です。

    本条の留意点は以下の通りです。

①本条の法定許諾で認められているのは、音楽著作物の複製のみであり、映画著作物や演劇著作物は含まれない。

②すでに合法的に録音製品にしている音楽著作物のみ録音製品を作ることができる。

   本法定許諾は、著作権者または授権された者のどちらが合法的に製品にした録音著作物なのかについて区別していません。ただし、非合法の製品については適用外です。

【④すでに公表された著作物の放送】

   中国の著作権法では、他人が公表した著作物を放送するラジオ局やテレビ局は、著作権者の許諾は不要ですが、報酬の支払いが必要です。また、出版された録音製品を放送する場合も同様です。

【⑤強制許諾】

   強制許諾と法定許諾との違いは次の点です。法定許諾は、法律で明確に規定された形式によって予め許諾を与える規定であり、著作権者と交渉することなく著作物を直接使用できます。一方、強制許諾は、使用者が正当な理由により著作権者に依頼を拒絶された場合、政府の主管部門に強制的に許諾を受けられるよう求める制度です。ここで述べておかなければならないのは、中国の現行の著作権法には、強制許諾に関する規定がないということです。


張 継文 パートナー

北京中諮律師事務所

zhangjiwen@zhongzi.com.cn

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