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vol187:対外支払における税務リスクの自主検査

国家税務総局は利益移転に関する規定の公布を行っており、6月30日には、浙江省国税局が先駆け「企業の国外関連会社に対する費用支払いの税収リスク管理のガイドライン」に関する通知を公布しました。

当該ガイドラインは、より実務的な判断、操作基準を提示しており、各税務機関の法規執行の規範化を目的としています。会社にとっては参考となる項目が多くあります。ガイドラインでは、税務機関が会社の関連会社への支払いを調査する際に、独立企業間原則に従った取引であるか、以下の方法で審査するとしています。

テスト項目
①真実性のテスト
・契約書の内容と実際の経営内容がマッチしているか(必要に応じて実査を行う)
・役務契約書に記載されている内容が実際に提供されているか、無形資産の価値が実際に存在するか
・国外関連会社が当該収入を得ることで相応するリスクを負担しているか、実質的な事業活動を行っているか
②必要性のテスト
・海外からの役務提供、技術あるいは休眠製品の導入は会社の経営にとって必要か
③受益性のテスト
・企業が海外関連会社に役務費用あるいはロイヤルティを支払うことにより、経済的な利益を得ているか
・支払う費用に対して得る経済的利益がマッチしているか
④価値創造のテスト
・無形資産の価値創造に貢献しているか(外国企業は無形資産の法的所有権を所有するのみであり、価値創造に貢献していない場合、企業はロイヤルティを支払うべきではない。国内外で共同研究開発を行っている場合、国内企業の無形資産の価値創造の貢献度合を確認。国外関連企業がすでに所有しており、国内企業が当該無形資産の応用、技術的な改良等に対して貢献があるか審査を行う)
・国外関連企業が提供した役務の実際の発生地(源泉)はどこか
⑤重複性のテスト
・会社が同じサービスあるいは同じ技術にもかかわらず、異なる項目の費用として複数回支払いを行なっていないか
⑥対価の妥当性のテスト
・国外企業の得るべき役務報酬(関連契約書を審査し、国外企業が提供する役務原価をテストする)と企業が国外関連会社に支払う費用がマッチしているか
・会社が国外へ支払う費用が移転価格あるいはその他の取引に対する補償ではないか(会社と国外関連会社間の役務あるいは無形資産の取引以外にその他関連取引が存在するか審査し、相殺取引が存在するか判断する)

具体的なアクション
税務機関は真実性のテストを行う際、特にタックスヘイブンに所在する関連会社との取引に重点を置きます。必要性のテストでは海外からの役務提供あるいは技術導入が必要であるか確認します。企業の国外役務費用の支払いを調査する場合、受益性のテストおよび負担する機能の分析を行います。また、無形資産の対価を支払う時は、受益性のテストおよび貢献度の分析を行います。
会社は対外支払いあるいは関連企業と取引契約を締結する場合、先ず取引内容と上述の真実性、必要性、受益性等のテストを自主的に行い、事前に対応策を準備します。

ガイドラインで具体的なテスト項目が提示されたことにより、関連会社に対する対外支払いに関する税務調査の重点項目が明確になり、今後は会社自ら対外支払いの内容を吟味し、何時でも調査に対応できる体制作りが必要となります。


田 雲
Tian Yun  
上海衆逸企業管理諮詢有限公司 コンサルタント
info@u-achievement.com

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